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2013年6月16日 (日)

ミーツ【ロロ】130616

2013年06月16日 京都芸術センター

出会いと別れ。
恋愛の喜び溢れる部分と、経験せざるを得ないかもしれないつらく悲しい部分を、不思議なシュールな世界で描いているような作品。

相手のことを想う。
それが幸せな時もあれば、それが辛い時もあるだろう。
幸せな時はそれがどんどん膨らんでいく。
辛い時は・・・
想うことを辞める。
想う方も想われる方も辛く悲しい結末が待ち構えている。
そんな残酷な恋愛の一面を見せながらも、やっぱり出会って相手のことを想う楽しい時間の素晴らしさが伝えられているように感じる。

新 勝新太郎というけったいな名前の少年。
友達の曙 止るというこれまたけったいな名前の少年。
止るは勝新ぐらいしか友達がおらず、学校では虐げられている様子。
勝新にだけはちょっと強気に振る舞えるみたいで、自分は正義のヒーロー、勝新は悪者みたいな設定で遊んでいる。
そんな中、怪我をした怪獣が現れる。緑色でモジャモジャ。言葉は喋れず、鳴き声をあげるだけ。
勝新は怪我の手当てをして、その怪獣を健四郎と名付ける。
鳴き声しかあげないので、勝手に想像して何かを喋っていることにする。
帰ろうとしてもいつまでもついてくる。
仕方なく、家に連れて帰ることに。

話は少し遡る。
自転車で必死に追手から逃げる男女。
もう、俺のことは放って逃げてくれ。男は叫ぶ。
いつもそんな勝手なことばかり。お腹にはあなたの子もいるのに。
でも、こうするしかない。
これを俺だと思って強く生きてくれ。そう言って、さっきまで飲んでいたコーヒーの缶を女に手渡す男。
こんなもの、私は何の思い入れもないんですけど。
いや、これは俺が一番好きなコーヒーなんだ。
そう言って、追手に一人立ち向かうため、男は去る。
男の名前は新 幸一。女は新 麻子。
つまり、勝新の両親。

怪獣を連れた勝新、友達の止る。途中、というか、実はずっとこの様子を覗き見していたピーターパンナという女。勝新のことを常に観察している。
勝新の家のことが説明される。
家には母しかいない。父はコーヒー缶だから、それほど気にすることはない。
玄関を開けたら、まずリビングがある。その奥が勝新の部屋である。
そこまで、母に見つからないようにしなくてはいけない。
一番の難関は、リビングと勝新の部屋の間にある森だ。
母は、毎日決まった時間に父のことを想って大量の涙を流す。それはやがて、滝になり、その周囲に森を作り上げている。
そこを抜けるのにざっと2日ぐらいはかかるだろう。
勝新は母の気を引いて、仲間を森へと誘導しようとしますが、さすがは勘の鋭い母。勝新の隠し事に気付き、なかなか隙を見せません。
仕方なく、強行突破。止るは母に捕まり、散らかした部屋の後片付けをさせられるという囚われの身になってしまいますが、そのおかげで、勝新と怪獣、そしてピーターパンナは森へと向かいます。

一方、父親。
よくよく考えたら、追手など初めからいなかったことに気付きます。
母親とのごっこ遊びから、いつの間にか現実と妄想の区別がつかなくなったのか。
と言って、平然と帰るなど、男としてとても出来ません。そうかといって、追手は倒したなどと愛する母親に嘘をつくのも嫌。
無理にでも追手を探そうと森を彷徨い始めます。
そんな中、出会った一人の少女。
シルバニアンファミリーの家を抱え、たくさんの人形で家族遊びをしているフランスパンナ。
彼女の家族遊びにおいて、父親の役割をしている人形を無くしてしまったことから、それを探すということで、一緒に森を旅することに。

森の中で、勝新、怪獣、ピーターパンナ、そして父親、フランスパンナは出会い・・・

とこれぐらいしか、あらすじは書くの限界。
シュール過ぎる設定で、登場人物はそれほど多くないものの、その関係が交錯しながら話が進むので、訳が分からなくなってきます。

覚書程度に記しておくと、父親は出会った怪獣を追手だと決めつけて、自分を殺すように逆に追い回します。
フランスパンナは、一時の父親との時間が、自分が人形遊びの中で夢見る家族につながったのか、父親のことを愛し始め、彼が死のうとすることをあらためさせようとします。
ピーターパンナは、自分を探し出せとかくれんぼをし始め、勝新に探すように求めます。
怪獣は、勝手な想像で、自分のことを悪と決めつけることに憤慨し、勝新にも勝手な想像で自分の言葉を想ったり、イメージ像を創り上げるのを辞めろと言います。そして、彼がその想像を辞めた時、単なる言葉を喋らず、鳴き声をあげるだけの獣となります。

フランスパンナの無くした父親の役割の人形が見つかります。それは缶コーヒーでした。
父親はその缶コーヒーを手にし、フランスパンナとの人形による家族遊びに付き合います。そして、その人形たちが描く家族像を取り戻すかのように母の下へと向かいます。
そこには、母が自分のことを忘れようと、缶コーヒーを一つずつ、長い年月をかけて積み上げている姿がありました。さみしさの中で、ずっと待ち続け、その想いを少しずつ少しずつ忘れることで消していった。そんな言葉を聞きながら、父親は母が缶コーヒーを積み上げるのを手伝います。そして、その積み上げが限界に達した時、その缶コーヒーが崩れます。同時に、母親は父の姿、声、そして心までも忘れてしまったようです。それを知った父親はその場を去ります。

ピーターパンナは勝新が探し出してくれることを待ち続けます。
勝新は怪獣のことに夢中で、いつの間にかすっかり忘れます。
その勝新への想いを胸に秘めたまま、声を失い、動くことを失い、いつしか、まばたきすることしか出来ない石像となります。そして、やがて、その姿は崩れ去っていきます。

単なる獣となった怪獣と勝新はお別れします。
お別れの前に、勝新はもう一度だけ、怪獣のことを想像します。
出会って、怪我の手当てして、一緒に旅して・・・
怪獣はつまらない話だねと。これは、自分が想像して怪獣から発した言葉。
自分のことを見詰め直して、自分のことを言及した言葉かもしれません。

最後、勝新は石像になっているピーターパンナを発見します。崩れ去る前に見つけられたみたい。
見~つけた。その言葉で、ピーターパンナはまた動き出し、今度は私が探すから、隠れろと勝新に言って、またかくれんぼを始める二人の姿。

解釈はよく分かりませんが、追って追われて、待って待たせてみたいな恋愛を描いているのかなあ。
そこに一つの悲しい結末と、まだこれから希望があるからその愛を育ててみようといった結末を対比させてラストを迎えているように感じました。
父親は母親の下を去り、何かをしていたのでしょう。結局、それはうまくは行かず、母の下に戻る。そのきっかけは、フランスパンナにより見せられた家族の姿でしょう。でも、長年、待たせたことで、その想いは風化させてしまっていた。缶コーヒーを積み上げていきながら、父親のことを忘れていく過程は、その悲しみの時間と、一つ一つの父親との思い出との決別への覚悟を感じさせます。
勝新は自分のことを常に見てくれているピーターパンナに全く気付きません。追われるだけ、待たせるだけ。でも、その想いは消えることなく、ピータパンナは持ち続けてくれていたようです。相手のことを自分も想わないと、自分がどうなのかを見詰めることができない。そんなことを怪獣との出会いを通じて知ったかのようです。ラストのかくれんぼで、今度は勝新は待つこと、そしてなかなか見つけてくれないピーターパンナを追うことを経験することでしょう。その時、きっと二人の恋愛が一つの形になるような気がします。
前者で別れの恋愛の悲哀、後者で出会いの恋愛の喜びが描かれているように感じます。
そして、悲哀を味わった母親は、かつてはその喜びも味わっていたはずで、息子が、これから知る喜びは、またいつしか悲哀になるかもしれない。そんな繰り返しが恋愛というものを通じて、人が成長していく姿を浮き上がらせているように思います。

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