アシュガルドサーガ リストリアの魔導書【林遊眠一人芝居】130518
2013年05月18日 船場サザンシアター
劇団ショウダウンPRESENTSの一人芝居三部作の完結編。
前作のウィンドミルバレー 最後の三日間を含め、二本を同時上演する公演です。
観終えて書いておきたいことは、過去のブログを読み返したら、一言もらさず書いているので、これをもって感想にかえたいと思います。
(月下人魚:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/120421-4386.html)
(ウィンドミルバレー 最後の三日間:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/12/121215-bcae.html)
ちなみに前作は、私の昨年観劇425本中のNo.1作品です。
まあ、凄いですわ。
作品としても、公演としても。そして、林遊眠さん自身が。
錬金術師ヘルメスの手によって生み出された少女、ヒダリア。
感情を欠落したその人間と同じ身体には、あらゆる闘いに対応できる体術が仕込まれる。
生命の終わりの時を迎え、別れることになった父であるヘルメスともう一度出会うために、彼女はリストリアの魔導書を求める。
リストリア王国の武術大会に参加して、鋼鉄の十戦士となり、王国のアシュガルド山脈調査隊の一員となる。
そして、その地にあると言われる魔導書を手に入れるつもりだ。
しかし、まさにそのアシュガルド山脈では、何者かによって村人たちが脅かされていた。
討伐に向かった十戦士は一人を残して全滅。
王国にまで危機が迫る戦いの火蓋が切って落とされる。
国王、専属の錬金術師、たった一人の十戦士の生き残り、そして武術大会で闘い合ったエリーカと共にアシュガルド山脈に向かうヒダリア。
そこには、リストリア魔導書によって生み出された数々の魔物たちが、村人たちを脅かしていた。
ヒダリアに突きつけられるリストリア魔導書の真実。
自分の本当の目的、自分の守るべきもの、出会った仲間たちの想い。
ヒダリアは戦いの中で、欠落していた感情を心の中に生み出していく。
そして、芽生えた感情に苦しみながら、残酷な真実に向かって戦い抜いていく。
破壊兵器のように生み出された少女。
その感情は欠落しているが、創造主であるヘルメスへの父への愛情だけは持っている。
そんな感情の核が元々あったことが、彼女にとって悲しい宿命だったのかな。
鼻から何も無ければ、苦しむことも無かっただろうに。
その小さな核が結晶化していくように、彼女に様々な感情が戦いの中で芽生えていき、やがてそれは心となる。
自分の目的達成のために身を犠牲にしようとしてくれたエリーカ、自分を頼って掴まれる幼き子供の小さな手、王国の平和を託す国王。
想われる自分。
これまでのヘルメスをただ想う一方向だけの感情ではなく、互いに想い合うということを知っていく。
そこから生まれる守りたい気持ち、守れなくて悔しい気持ち。
そんなものが彼女をより強く成長させていったかのようでした。
ただ、その行き着く先は、彼女が生まれた時から持っていた核となるヘルメスへの愛情を打ち砕かなくてはいけないものだった悲しさに心が締め付けられてしまいます。
悲しいことですが、大きく育った彼女の心は、その核を失っても輝き続け、それは全ての者を愛するという女神へと存在を変えていきます。
ヘルメスそのものだったリストリア魔導書自体を自らの手で消し去り、そこから生み出された者を愛し続ける覚悟をするヒダリア。そのことで、打ち砕いた彼女の大切な核は、永遠に姿こそ見せませんが、心のどこかにきっとあるのでしょう。
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コメント
SAISEIさん
ご来場誠にありがとうございました☆
前回同様、お話がちゃんと伝わっていてホッとしております。
次回公演はまだ決定していませんが、次も是非是非、楽しみにしていてくださいっ☆
投稿: 林遊眠 | 2013年5月22日 (水) 15時11分
>林遊眠さん
コメントありがとうございます。
お疲れ様でした。
あのパワー・・・
素晴らしい公演でした。
今回も前作同様、その話の世界に連れて行ってもらい、楽しく拝見しました。
次回公演も期待しております。
客演も含めて。
投稿: SAISEI | 2013年5月24日 (金) 07時39分