« 可夢庵6<徳島> | トップページ | てるてる坊主【劇団大阪新撰組】130504 »

2013年5月 2日 (木)

銀河鉄道の夜 teamA【大阪大学ロボット演劇プロジェクト×吉本興業】130502

2013年05月02日 ナッレジシアター

劇場に向かうまでが大変だった。
うめきた・グランフロント大阪がGWということもあって、まあ混雑していて。

うめきた・グランフロント大阪に出来たナレッジシアターのこけら落とし公演。
それも、ロボットと人間による世界初演の銀河鉄道の夜。

銀河鉄道の夜の中に込められたメッセージが強く伝わってくるような面白い作品だった。
ロボットが演じるということが、単に技術力を見せるとかではなく、演劇作品の中で、その存在が重要であることをしっかりと言及している。

(以下、ネタバレはありませんが、まだ観られていない方は読まない方がいいような気がします。
公演が12日までと長く、戻すのを忘れてしまうので、白字にはしてませんのでご注意ください。
わずか1時間の公演。
難しく考えずに、楽しく銀河鉄道の夜を観に行くといいのでは。
ロボビーも可愛らしいし)

話は、宮沢賢治の銀河鉄道の夜そのものである。
午後の授業風景から始まって、家に帰って、病気の母と話して、配達されていない牛乳を取りに行って、祭りに向かって、いつの間にか銀河鉄道にカンパネルラと一緒に乗って・・・
上演時間が1時間なので、はしょっているところはあるみたいだが、私のように原作をきちんと読んだことがなく、演劇作品で銀河鉄道の夜をベースに創られた作品からの知識、そして恥ずかしながらwikiでのあらすじだけで、この作品を知る者には、逆に分かりやすく、筋を追いやすい。
子供達に見せることも意識している作品みたいなので、なまじしっかり本を読んでいる子供より知識に欠けた私には、とてもありがたい作りだった。

多くの方がきっと予想に反したと思うのだが、この作品、ロボットがある役を演じるのでは無い。
ある役がロボットなのだ。
この作品ではカンパネルラがロボットである。
だから、それに一番ふさわしい役者さんとして、ロボビー(RobovieR3)が演じているというからくり。

そのためか、普通は、ジョバンニが友人であるカンパネルラの悲しい死を受け止めて、自分が生きていくことを見つめ直すという物語として認識する場合が多いと思うが、そこに人とロボットの関係が入り込んでいる。
カンパネルラは、ジョバンニの大切な友人であるが、厳しい一面がある。よくいる優等生みたいに、いじめられていたり、困っているジョバンニをたやすく助けたりしない。そんな厳しさが、このロボットという設定、そして、ロボットとして放つ無機質なオーラがより引き立たせているように感じた。
カンパネルラは決して冷たい男では無い。現に友人を助けて、自らの命を失ってしまうぐらいなのだから。
ジョバンニが自分で解決しなければいけないことにまで手を出すことはしなかったのだろう。でも、きっとジョバンニが本当に困っている時は、助けた友人と同じように自らの犠牲を顧みずの行動をしたはずである。
そんな、カンパネルラが語る本当の幸せ。
ロボットだから人に尽くすこと。
きっと、それは単に人の労働力として役に立つのではなく、その人のことを想って行動をすることにあるような気がする。
単なる助け合いではなく、相手を認め、その人に本当に尽くそうとする気持ち。
それがみんなの幸せを生み出すなら、生きることの意味はそんなことにあるのかもしれない。

演劇作品では、アンドロイドと人、鬼など妖怪と人などが共存する世界を描いた作品はけっこう多い。
このような作品でも、行き着くところは、真の想い合いで、全てが幸せな世界である。
当たり前だが、アンドロイドや鬼は人間が演じる。
この作品は、それを本当にロボットに演じさせてしまっている。
そこから生まれる、想いの真実味はロボットから発声される言葉の重みとなっているようだった。

仕組みはどうなっているのだろう。
全てセリフや動きがプログロムされているのだろうか。
それとも、セリフは音響みたいにスイッチとかで出て、動きはリモコンとかなのか。
いや、どう考えてもそうは思えない。
ロボットが自主的に動いているように見えたから。
人の役者さんは大変だな。全てをパーフェクトにしないといけない。

姿、形がロボットであっても、カンパネルラの想いはすごく伝わってくる。もちろん、それに応える人のジョバンニも。
これが完全な人間型アンドロイドの姿だったら、まあ、そういう風に感じるのも分かるのだが、どう考えてもロボビーはロボットだ。
それでも、仕草や目線から伝わるものは大きい。
こういうものを全て、ロボットに情報として詰め込む。要は命を吹き込むような作業が、演劇でいうところの演出ってやつなのかな。

とても面白い試みの作品を拝見できて、また演劇の不思議な魅力に触れられたような気がします。

|

« 可夢庵6<徳島> | トップページ | てるてる坊主【劇団大阪新撰組】130504 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 銀河鉄道の夜 teamA【大阪大学ロボット演劇プロジェクト×吉本興業】130502:

« 可夢庵6<徳島> | トップページ | てるてる坊主【劇団大阪新撰組】130504 »