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2013年4月19日 (金)

どらいのなつゆめ【DRY BONES】130418

2013年04月18日 ウィングフィールド

ウィリアム・シェイクスピア「夏の夜の夢」より。
ふむふむ、野外公演で可愛らしいいたずら好き妖精パックが軽快なフットワークで舞台を駆けまわるコミカルな作品。本物の妖精かと思わせるようなその素晴らしい演技で拍手大喝采で幕を閉じる。
そう、ガラスの仮面で読んだぐらいの知識しか無い。

これでは、あまりにも知識不足で話に付いていけないと困るか。いや、ここはそんなこと関係無しに楽しめる度肝を抜かれるような形の作品を創り上げるだろう。
色々、考えた結果、とりあえずウィキであらすじと登場人物の相関だけはある程度把握して観に行く。

結果、大成功。
これで十分過ぎるぐらいに楽しめる。
今、迷っている。
久しぶりに、もう一度観に行ってもいいかなと思えるくらいの作品だったから。チャンスは月曜日か。
お昼だから、仕事が終えられるか。終わってもこの公演激戦週で週末、取りこぼした他公演を観に行くべきか。
さすがはシェイクスピア。悩ます。

あらすじは夏の夜の夢そのままといって問題ないだろう。
ネットで検索したらいくらでも出てくるので省略。

どんな芝居だったと聞かれて、説明したら、きっと観た人と聞いてる人で話を聞きながら想像する絵がびっくりするくらい違うんだろうな。
王様の姿を写真で見せたら、何、どっかの学芸会を観に行ったのとか言われそうだし、パックを見たら、それは夏の夜の夢じゃないと思うよと優しく諭されるだろう。

取り替えや取り違えに焦点を当てているからだろうか。
登場人物のいでたちやちょっとした小道具、言動が全て間違い探しのような感じになっている。
おい、おい、そこ違うよと常にツッコミを入れたくなるような形で話は進む。
間違っているところで、ホイッスルでも吹くようなシステムだったら、その音が常に鳴り響く公演となっただろう。うまく出来ているもので、その音は客の笑い声といった形で反映されている。

開始1時間で固定されていた役が好きなようにうごめいていく。
ここまでは登場人物がパロっているようなところでおかしかったが、ここからはそれに、ドタバタのコミカルさが加わり、目が離せなくなる。
役の取り替え、取り違いをするというのはこういうことかあ。
これまでの役を違う役者さんがされるだけでなく、同一舞台に同じ役が二人出て来たりして、カオス状態に。
これは、演出の竹内銃一郎さんのら抜きの殺意という作品を拝見した時と同じような演出だ。
この時は役者さんが役名の名札を付けていたので、ただ、観ているだけで何となく分かった。
今回はそれは無し。
混乱は確かにするのだが、キャスト表を見ていれば、まあだいたいは分かる。ただ、正確に分かることと作品の面白さは一致しないのだが。
あんまり観劇中に見ている人いなかったな。見るのは失礼なのかな。舞台見ないで、キャスト表に集中し過ぎるのは確かにダメだろうが、気になって、気になって。
みんな、観ながらも頭の中で整理できるのかな。頭、いいよなあ。

誰が誰やら。
えっ、今、あなたは誰になってるの、さっきと真逆の立場になってしまったんだとか。
明らかにお前はしたらダメだろう、その役はってところも。
めちゃくちゃなんだけど、すぐに何かまとまった感じになり、決して収拾つかない状態にならないのが不思議なところ。
観ていて漂う違和感やぎこちなさが、面白味へと変化していく。

登場人物のセリフは、よくは知らないがシェイクスピアっぽい、あまり同調し難いというか、意味が分からない複雑な形容詞がたくさんくっついたものが連発。
語彙が豊富っていうのかな。
リズミカルで聞いていて心地いいんだけど、言葉一つ一つは決して追えないという、何か言葉が渦巻く宙に浮いているような感覚。
これはこれで気持ちいいというのも、やはり不思議な感じがする。

妖精パックがいたずらで創り出す劇、職人たちの劇団が演じようとしている劇。
普通だったら悲劇となっていただろう現実を、喜劇に変えてしまった妖精。
その素人加減やまとまりの無さで悲劇がどう見ても喜劇にしか見えないような職人たちの作品。
二つの劇が交錯して、舞台となる森の雰囲気とも相まって、夢なのか現実なのか。
今、観ているシーンのどこまでが現実を描いているのか。これは夢なのか。
その不思議な力に魅了されながら、おかしいながらもシェイクスピアを堂々と演じる役者さんの芯の力を楽しめる作品でした。

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