石田アキラ版 西遊記 ~冒険!冒険!また冒険!~【A・I FLIMs Presents】130330
2013年03月30日 堂山小劇場
何か日に日に予約が埋まっていき、いつの間にやら、土曜日の夜公演しか空きが無い状態に。
ちょうど、仕事の都合がついたので、運よく観ることができました。
何かと思ったら、有名なアイドルが多数出演される舞台だったみたいです。
それにしてもなかなか珍しい作品。
よく、チラシにこれは茶番ですのでお気軽に観て下さいなんて書かれた公演はけっこうありますが、たいがい言う程には茶番じゃない。
創り手さんの本能でしょうか。どこかにメッセージ性を組み込んだり、作品の本質を言及したりして、意外にしっかりした話に仕上がっている場合が多い。
そんな中で、この作品、徹底的に茶番を貫きます。
かつ、面白いのがアイドルのイベント要素や単なるコントのようなお笑い要素を色濃く魅せながらも、なぜか演劇作品として成立させている不思議さがあります。
石田アキラさん流の楽しい演劇といったところでしょうか。
これに、見事に応えた出演者の方々の魅せる力に圧巻された公演でした。
まあ、あらすじ書いても仕方が無いんだけど、自分の思い出し用に。
沙悟浄、猪八戒の豆知識小ネタからスタート。以後も、このコンビが話の進行役として、配役とはほぼ関係無しに活躍されます。
二人の天界追放の理由。沙悟浄は神様がエロ本を隠した本棚に置いてあった器を割ってしまった。猪八戒は女に手を出して。
悟空登場。有名なお釈迦様の掌の話。
演出として、沙悟浄、猪八戒の二人登場。
キン斗雲の描写演技に時間をかける。
何はともあれ、悟空、五行山に封印される。
三蔵法師登場。でも、素通り。そのまま先に向かってしまう。
これでは、いきなり話が終わってしまう。沙悟浄、猪八戒、少し話としては早いが登場し、一肌脱ぐことに。
金角、銀角に扮し、三蔵法師に悟空がいないとここを通過できないと思わせて何とか引き戻す作戦に。
ちょっとボケた三蔵法師、これがうまく通じない。
一方、悟空。落ちていた毛で自分の分身を。
分身の手により、いつの間にか封印が解けてしまう。
話の展開上、困るので、封印されたままのていで、分身を三蔵法師の下へ向かわす。
三蔵法師、戻って来たがいまひとつ役に立たない。封印を解くためのお札をうまく破れない。
ややこしくなって、とりあえず、封印が解けたことにして、みんなで出発。
本物の金角、銀角の瓢箪に吸い込まれる。
三蔵法師、悟空、分身、キン斗雲、沙悟浄、猪八戒、そしてみんなを見守るため影ながら付いてきていたお釈迦様までも。
舞台上の全員が瓢箪の中に。
絶体絶命。救えるのは、舞台で音響を担当する人ぐらいか。
で、何か分からないけど助かる。後で思い出せるだろうか。覚書、テレビショッピング。
さらに進む一行。
今度は牛魔王の邪魔が。
炎で覆われた道。このままでは天竺に行けない。
消して欲しければ、三蔵法師の肉をよこせと。
三蔵法師は自分が犠牲になる覚悟。でも、天竺に行かないといけない。
大丈夫。実は三蔵法師の兄、二蔵法師だから。
本物の三蔵法師は悟空の分身。ふむ、だからすぐに封印が解けたのか。無茶苦茶な割に、筋だけは無理に通している。
二蔵法師が牛魔王の下に向かい、炎は消える。でも、正体がばれた。
しかも、キン斗雲はいつの間にやら、何と牛魔王の妻、羅刹が化けていた。
再び、天竺の道を閉ざされる一行。
どうにかならないのか。
悟空はお釈迦様に頼む。力を与えてもらう悟空。この力でみんなを救う。
牛魔王の下へ向かう悟空。
そして、お釈迦様の力を使うまでもなく・・・ 覚書、瓢箪。
数々の難関を超えて、到着した天竺。
そこはただ、何も無い広大な土地が広がるだけだった。
これから経典を作るべくお釈迦様により用意された地。
覚えている限りではこんな感じだったかな。
まあ、何か事件が起これば、そこを遊ぶといった展開なので、すじはどうでもいいのだろうが。
役者さんは全員、ジャージ。特に特殊なメイクもしない。小道具も無し。もちろん、舞台セットなど組まれていない。それどころか、キーボードを置いて、効果音などの音響を担当する人が普通にずっと座っている。
そんな中で、歌やらダンスやら、コントやらのイベントをシーンに好きなだけ盛り込んで、無理矢理に話を展開する。行き詰まれば、どんな手段を使ってでも話を先に進める。
徹底的に西遊記を遊ぶといった感じだろうか。
演劇と言えるのかというぐらいの不可解な公演ではあるが、この自由な空気の中でご自分方の魅力をキャラに合わせて、芝居の中で発揮されるのがなかなか巧い。
個々の力を活かしたエンタメ作品としては十分成立した楽しい作品として仕上がっている。
悟空、滝口ミラさん(ホリプロ)。ネットで調べたらグラビアとかもされてる有名な方だった。お笑い系に少し傾き気味みたいだが。でも、それを活かした形で、アイドルとは思えないぐらいの弾けた演技で場を盛り上げる。
三蔵法師、染谷有香さん(パノラマ党)。ボケた天然の三蔵法師ならぬ、二蔵法師。飄々と笑いを取っていく姿は貫録あり。
キン斗雲、佐々木穂香さん。コントのような掛け合いで、キン斗雲の描写設定を面白おかしく笑いにつなげる前半から、後半は鬼妻のブチ切れた羅刹に豹変。たくさん引き出しがありそうな女優さんかな。
悟空の分身、岸本華和さん(舞夢プロ)。この方もアイドルか。お得意らしいダンス、弾き語りと芸達者ぶりを魅せる。可愛らしい感じではあるが、掛け合いはなかなか巧妙で、演技も力強さがある。
お釈迦様、結奈さん。歌手かな。とても綺麗な歌声。ただ、歌詞はこの作品なのでむちゃくちゃ不条理なものであるが。淡々ととぼけた雰囲気を醸して笑いを取る。
沙悟浄、猪八戒が立花裕介さん、宇野正剛さん([I/X])。何だ、この二人は。悪ふざけまくりのコンビ。舞台で好きなだけ自由に振る舞う余裕。客の掴み方が超越している。
音響、深爪なおさん。各所で巻き込まれて、笑いを誘う。ふにゃふにゃした感じで、他の役者さんと一線引いたままを保つので、なかなか面白い。
普段、拝見する作品とは明らかに異観を呈するものでしたが、これはこれでけっこう楽しめました。
目指した天竺の地は、何も無く、そこから自分たちで創り上げていく。
こんなところに何か伝えたいことが隠されているのでしょうか。
まあ、それを考える気にもさせないくらいに、そこに至るまでをむちゃくちゃに描く話でしたが。
| 固定リンク
「演劇」カテゴリの記事
- 【決定】2016年 観劇作品ベスト10 その3(2016.12.31)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その2(2016.12.30)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その1(2016.12.30)
- メビウス【劇団ショウダウン】161209(2016.12.09)
- イヤホンマン【ピンク地底人】161130(2016.12.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント