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2013年4月 6日 (土)

(すでに)そこにあった【ダンスカンパニー足一】130405

2013年04月05日 うずめ

コンテンポラリーダンス、無声の芝居が絡み合った独特の空気感がある作品。
ダンス、演劇、美術などなどいわゆる芸術作品を鑑賞することを楽しむ人たちが、各々これまで楽しんできた視線で、無理せず楽しめるような作品に仕上げているのかな。
セリフもなければ、表情もかなり消している。
観るのは舞台に立っている役者さんそのもので、そこから想像力を膨らまさないといけない。
苦手な観劇スタイルではあるが、舞台となる長屋の部屋という趣のある雰囲気や、何かを見つめているような役者さんのたたずまいを緊張感持って観てみた。
よく分からないが、今の自分って何か無理していて、どこか本当の自分がいたところに戻りたくなるような感覚を得る作品だった。

(以下、ネタバレ注意。と言っても、会場の作りや演出の一部を言及しているところが、ちょっと面白味を無くす可能性があるかなといった程度。一応、公演終了まで白字にはしておきます。公演は日曜日まで)

会場は普通の家。
長屋の一室。昔ながらの趣のあるところで、隣には小さなケーキ屋があったりする。
いわゆる町屋公演といったものだ。
土間の様なところで靴を脱ぎ、全面ガラス戸を開けて部屋に入る。
右はダイニングルームか。ダイニングテーブルに4つの椅子が置かれている。
左は何もない一間。
共に6畳程度の狭い空間である。
客はその間にある部屋に、入ってきたガラス戸側と壁側に対面して座る。もちろん、そこも狭い空間であり、10名ぐらいでもう満員。
足を伸ばせば、向かいの人にぶつかるぐらいである。

食卓。
テーブルを中心に、5人の方々がうごめきあう。
家族?
親子のようだったり、兄弟のようだったりと感じさせられるシーンはあるが、はっきりと強くそれを意識することは出来ない。
そもそも、人では無さそう。
男性役者の動きを見ていればゴリラなど類人猿系の動物をイメージする。女性役者からは、ウサギなど可愛らしい小動物系、そして、この人はそんな動物たちを可愛がる人間なのかなあなんて思わせる人も。
まあ、とりあえずは家族として観ておく。私の貧相な想像力では現時点ではこれが精一杯。なんせ、役者さん方は一切喋らず、表情もかなり消している。頼みの綱はその動きだけであり、その人自体がそこに立っている姿から何かをイメージしないといけないのだから。
ここで思っていたのは、家族と言うよりかは、そこにあったコミニュティーみたいな感じか。
でも、互いに存在認識はあるものの、友達のように仲良しの姿には映らない。
感覚的には野生動物が本当の野生で自己責任の下、生きている姿みたいである。
各々が自由に振る舞うが、1つのコミュニティーの中の一員であることは認識している。
互いに尊び、慈しみや思いやりの心を感じさせる空間。

ここからもう一つの部屋に移動していく。一人一人、いや一匹、一匹と。
ここでは互いに密な接触が生まれ始める。
と、最初の方はそう思いながら観ていたのだが、どうも自分の中で設定が崩れる。
どうも、先ほどの食卓での登場人物のままで捉えるとおかしくなるような気がする。
ここはここで、また先ほどの食卓空間で感じ取って残った感情を頭の隅にでも置いて、別の世界として観ることにする。
この場所は動きから想像するに閉じられた閉鎖空間みたいになっている。
上からは何か重みがのしかかってくる。周囲は見えない壁が存在し、この空間から出るには、相当な勢いが必要。
その中で、ちょっとした競争意識が芽生えたり、ちょっとした仲間認識が生まれたり。
まあ、感じられるのはいわゆる普通に生きている社会か。
野生動物が動物園にでも連れて行かれる感覚で捉えていたが、そんな感じでもなさそう。
それよりかは、先ほどの食卓では強く感じられなかった家族という無理に意識しなくてもいつも隣にいた者が、そこにいないという世界で生きていかなくてはいけない厳しさの中でも精一杯生きるといった強い覚悟を感じさせる人たちに映る。
感じるのは、懸命に生きる姿であり、何となく大変そうに見えてくる。
そうだな。もう感覚でしか書くことが出来ないが、都会かな。そして、さっきの食卓は田舎。
先ほどの食卓でのシーンは何かよく分からないことばかりで、こちらの部屋でのシーンの方がダンスなどアクティブな動きや音楽も多く、見た目はいいのだが、何となく先ほどの食卓での皆さんの姿が懐かしく思えてくる。
こんな感情を抱きながら、もう頭が意味不明状態になって混乱しているので、あきらめて、お気に入りの役者さんの素敵なダンスを見ながら楽しむ。
ただ、そんな懐かしみの感情は決して間違っていなかったのだろうか。
最後、その部屋で、先ほどの食卓でのシーンが映像となって壁に映し出される。
そのシーンを思い起こすかのように、あの頃の動きを再現し始める方々。
そして、やがて、みんな元々いた食卓へと戻って行く。

やはり、よくは分からないが、家族というある狭いコミュニティーから外に旅立った者たちが、経験する社会の厳しさ。そこは自分がいた場所よりももっと広く、自由そうなのだが、意外に窮屈であり、自由に動けない。でも、そこで得られた経験を基に、もう一度、自分が元々いた場所を見つめ直す。そこには、互いに何も言わずとも分かり合える大切な空間があった。経験したからこそ分かった自分の大切な気持ち。そんな成長した人たちが新たに大切な絆のあるコミュニティーを創り出そうとするまでのお話といった感じに捉えてみた。
よかったな、単なる観劇で。試験だったら、この答えではきっと落ちている。

最初に登場するのは繁澤邦明さん(劇団うんこなまず)。この何者なのか分からせず、何をしようとしているのか、どう話を進めていくのかを全て霞にかけながら、冒頭から客に緊張感を持たせてしまう登場は、sputnik.の公演で拝見した時と似ているかな。この雰囲気は、以後ずっと話が終わるまで続くだけの力を持っており、空間創りにとても長けているのだろう。
次にウサギみたいな可愛らしい動きで登場するのがかえるさん(西田美咲/劇的☆ジャンク堂)。芸名つけたのか。食卓でも色々な動きをするが、印象に残るのは視線だけで、そこに何かある、その先から何かが始まると思わせるような独特の目の動きをされる。もう一つの部屋では、これまでも何度か拝見したことのある、小さな体から生まれる力強い迫力のある動き。閉鎖空間を突き破ろうとするようなパワーを感じさせられる。
食卓ではそんなウサギの頭をなでたり、優しい印象の平山ゆず子さん(演劇企画うかれやまい)。一番、目を惹いたかな。細かな動きがとても綺麗で、しなやかさや何かちょっとエロっぽい感じがする。多分、私がこうした動きを観る時に、動きから止まる時や、止まってからまた動き出す時に注目しているみたいで、そこがとてもきちんときまっているように思う。
色々と分からないだらけだが、ピンク色の羽織を着ている海野仁美さん。決して悪い意味ではなく、どこか一人浮いているような感じがする。コンテンポラリーダンスというものがよく分かっていないのだが、基本的にこの作品のように表情は消して感情を露わにしないようにするのだろうか。その点で言うと、この方は何か優しい微笑みのようなものが滲み出てきてしまっているように思う。普段、演劇を観る者にとっては、こういった方の方がどうしても目が行きがちになるかな。訳の分からない動きでの表現をずっと見ているのはなかなか厳しく、どこか人間味のようなものを求めたくなる。そういった意味では、この方が発揮されるオーラと同じく、どこか癒しであった。
何かキングコングみたいに、襲ってくるもの登場みたいな感じで姿を現される社長★吉田さん。うん、この方も浮いていると言えば、浮いているか。ダンサーさんなのだろうか。あまり繊細な動きは無く、荒い印象を受けたが。ものすごく、懸命感を出される。ダンスよりも、芝居をしている感覚の方が強かったような気がする。だから、何となく安心感があって、海野さんと同じく、混乱の中でのオアシスみたいな感じだった。

まあ、私にとっては依然、難しいジャンルの作品だが、徐々にここを通じて、そんな作品にも慣れていこう。

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