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2013年3月25日 (月)

ドリー&メリー~ソフトタッチよろしく~【ノーミン】130325

2013年03月25日 KAIKA

茶番という割には気楽に見れない。
けっこう、気を抜くところが無く、疲れる観劇だった。

考えさせないようにするような演出なのかな。
テーマや伝えたいことがありそうだが、それを考える隙を与えないように、役者さん方の怒涛のネタがマシンガンのように繰り広げられる。
もちろんそれはそれで面白いのだが、個人的にはもう少し余裕や隙間が欲しいかなと思う。
役者さんを知っているかどうかも大いに関係しそうだ。
初見の方が多いと、どうしても話の筋が無いと素直に楽しめないところがある。知っていれば、その方の魅力を味わえばいいので、こんな感じの作品でも存分に楽しめると思うのだが。

星を股にかけて活躍するオカマの怪盗、ドリー&メリー。
上のムスメも、下のムスコも元気いっぱい。
盗みたいものを盗む。そんな精神でどこにでも出没する。
ライバルのロマンにいつもいいところを取られてしまうのだが、怪盗コンビとしてそこそこ有名。
今回も図書館から盗んだ戦利品の星の王子様の原稿をロマンにまんまと取られてしまった。
狭苦しい宇宙船で後を追う二人。
ドリーの強烈なアロマが災いしたのか、緊急事態発生。
宇宙船はどこかの星に不時着。

その星で出会った一人のピーターという少年、いや少女?
ムスメもムスコもご健在。いわゆる中性か。
この星では成人までに、男か女かを自分で選ばなくてはいけない。
選べなかった人は・・・
何とソーセージになってしまう。
少年の同級生はみんな親や友達に相談して性別を決定。
少年は孤児なので相談する相手もおらず、未だ決めかねている。
どうしていいのか分からず、幼き頃に別れた父の写真を眺めては悩む毎日。

で、その写真の人物。
何とロマン。
ドリー&メリーは偶然にもロマンの手掛かりを得た。
それはともかく、少年を助けてあげたい。
オカマでもあるのか無いのかは分からないが、母性でも芽生えたか。
様々な妄想シミュレーションを一緒になって繰り返しながら、ピーターは自分を見詰め直す。

星には同じように性別を決められない人たちがレジスタンスとして活動する。
上も下もしっかりあるドリー&メリーは、そんな人たちにとっては神的な存在。
いつの間にやら祭り上げられる。
ピーターもそこに所属してみるが、どうもしっくりこない。
ただ、選べなくてうじうじとしているだけで、こうありたいというロマンが無い。
男を選ぼうが女を選ぼうが、そして、どちらも選べなくても、みんながそれを認めて、幸せな生活を過ごせる世界でないと。
ドリー&メリーは、この星の本当の救世主となるのか。
ピーターは自らの力で幸せを掴み取って、この星を変えられるのか。

ジェンダーフリーの概念をベースにしながら、自分の生き方を自分で決めるようなことを語っているような感じかな。
盗みたいものを盗む。性別とかにこだわらず、やりたいことをやるという精神で結びついているドリー&メリー。
親や他人の意見に左右されて性別という形で生き方の選択を決められてしまう星。それが当たり前であり、決めることが生き方の幅を狭くしているのに気づかず、みんな普通に従っている。決めれない者は人として不適合とばかりの仕打ちを受ける。抵抗する者も、そのシステムに反抗しているだけで、決めない、性別を選ばないことで、自分はどうしたいのかということまでの考えには至っていない。
そんな星の現状に疑問を感じていたピーターという人が、ドリー&メリーの
二人の突拍子もなく楽しそうな姿を見て、感化されていったようである。
自分の生き方を自分で決める。自分の個性を尊重して、それに基づいた生き方をする。それが出来ない社会だからと悩んでしまったり、そんな生き方を迫害する者に反発した行動を起こすよりかは、こうして生きればこんなに素敵だよってみんなに思わせた方が世の中は変わるんじゃないかなって感じのことを伝えているように感じる。
それがドリー&メリーであり、二人の下にはいつも夢や希望溢れるロマンが渦巻いている。そんなロマンを知らぬうちに常に追い求めるような生き方をしていたピーターって感じだろうか。

まあ、実際はそんなことどうでもいいような茶番です。
深く考えると恥ずかしくなりますと当日チラシに書かれているが、ちょっと思い出しながら、こうして感想を書いているだけで確かにそんな気になります。
本当は、とんでもないごついオカマのドリー(脇田友さん)とめちゃくちゃに弾けたせからしいオカマのメリー(田中希代子さん)が、純朴で可愛らしいピーター(石川佳奈さん)に出会って、ちょっとエロくてセクシーな須崎志緒里さん(劇団テフノロG)や、こじんまりと決め込んでロマンやソーセージの王様みたいな特異キャラを演じる堀乃布子さんや、無理やり連れ込まれたかのように飄々と淡々とあらゆる役をこなす松岡民恵さんらと訳の分からない妄想を繰り広げるような話です。

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