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2013年1月13日 (日)

プラットホーム スピンオフ【劇団もんじゃ】130113

2012年01月13日 ウィングフィールド

駅のプラットホームを舞台にしたオムニバス作品。
チラシに、5回中1回の公演は小さな子供もOKみたいなことが記されている。
観始めて、最初の方は、これは逆で、基本、子供に見せて、付き添いなら大人もいいですよぐらいの感じなんじゃないかと思っていたが、幾つかの作品を拝見しているうちに、これはなかなか大人も楽しめる巧妙な作りになっているぞと思い始める。
実際、かなり楽しめる作品だった。
世代関係なく、みんなで笑いあって楽しめる、とてもいいバランスを取った構成である。
楽しい時間というのは、こんな時間のことを言うのだろう。

(以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで)

・オープニング
役者さん全員登場。画用紙をめくりながら、タイトルコールとクレジット。
うん、手作り感満載。

・黒板
プラットホームにおかれた黒板。
駅員がいつも自分の言葉でお客さんに向けて励ましのメッセージを伝えていた。
それも今日で終わり。
本部社員の指令で、そんな売り上げにつながらないことはやめろと。
そんな姿に変わった黒板を一人のOLが見る。
いつも励まされていたのに残念です。
心のこもった言葉。きっと素敵な人が書いていたのだろうなと思っていました。
そんなOLに恋心を抱き始める駅員。
勇気を振り絞り、食事に誘ってみるが・・・

まあ、お決まりのオチでしょう。
人の良さそうな駅員、圭吾さんのほんのわずかの幸せな一時と、その後に当たり前のように訪れる切ない時にニヤリ。

・P1
母親に連れられて駅にやってきた女の子。
パンダの着ぐるみのかわいらしい元気な子。
自称、乗り鉄。
電車が大好き。電車が合体してロボットみたいなヒーローになればいいのに。
駅員は話を合わせて、困った時にきっとそんなヒーローが現れるよと。
女の子は自分の帽子をわざと線路に落として困ってみる。
そこに現れるヒーロー、プラットフォーマー。

デパート屋上の子供向け芝居みたいな、ほのぼのし過ぎの作品。
かわいらしい無邪気な女の子を田中瞳さん(魔法のチョコレート)が地で熱演。

・T1
いつもみんなに頼られている。
でも、最近は電車の扉近くのあいつのせいで。
あいつのおかげで、扉付近はいつも混雑。
そう、私の名前は手すり。

擬人化ネタ。
頭におっきな手すりをかぶり、面白、電車のマナー向上VTRのように、飄々と教育テレビ風に語る島野悦子さん。

・運
色々なことがうまくいかない。一藤という女性。
何か死にたくなってきた。
危ない。いきなり突き飛ばされ転倒。
おかげで、電車を一本乗り過ごした。
ついてない。
突き飛ばした男は自称、運だという。頭がおかしいのだろうか。
乗るはずだった電車が事故で立ち往生している放送がかかる。運が良かったのやら悪かったのやら。
会社に電話するが、そのまま待機しろと。
困る。今日の商談は重要。しかも、持っているこの商品が無いときっとうまくいかない。
途方にくれていると、向こうに何か紙袋が。

紙袋を抱えてホームに現れる男、二鷹。
紙袋を落としてしまう。中に入っていたお金が散乱する。
どこかから、おばちゃんがやって来て手伝ってくれるが、ちょっとくすねられたりする。
全くついていない。
お前の恥ずかしい写真をばら撒かれたくなければ、お金を用意しろ。
そんな脅迫電話で呼び出されて、ここにやって来ているのだ。

ナスビちゃん。付き添いの女性と一緒に現れる。
どんな店だったのかよく分からないが、ナスビ姿で人気のアイドルだったみたいだ。
でも、総選挙で脱落。店も首に。
お金が欲しい。何といっても、あのフィギュアを手に入れたいのだ。
悪いことをしてでも、手に入れたい。
客の店での恥ずかしい写真をネタに、ゆすることを考える。
紙袋にその写真のファイルを入れて、ホームに置いておき、男に持ってこさせたお金と交換するつもり。

そんな三人がプラットホームで出会い、・・・

ファイル、お金の紙袋。一藤が持っていた荷物の中身はフィギュア。二鷹は実は商談相手。
こんなネタばらしでだいたい収束の形は想像できよう。
綺麗に伏線を回収しており、最後に全てが各々の付き添い、運たちの戯れのようなオチとなる。
ナスビ、荒井美紀さん(common days)。変顔・・・痛々しいアイドル姿と相まって、直視できない哀しい姿で笑わせる。

・T2
擬人化ネタ第二弾。
今度は手すりの徹子の部屋。
櫛谷佳代さんが客も巻き込んで、がつがつとこちら側に入り込んでこられる。

・P2
気の弱いOLと厳しい上司。
自分の思ってることをもっと言わなくちゃダメだ。怒って立ち去る上司。
今日もお叱りを受けるOL。
また、嫌われてしまった。厳しいけど、みんな平等に接してくれる優しい上司。本当は好きなんだけど。
緊張して何も言えなくなってしまう。
困った。
プラットフォーマー登場。どうしたんだい。OLの傍に寄る。
そこに戻ってきた上司。お前、何者だ。彼女に何をした。
激怒のパンチ。ビビリまくるプラットフォーマー。
止めるOLに上司は、お前は放っておけない、心配したと。
OLを抱きしめる上司。
いそいそと決めポーズで恋のキューピッドを名乗るプラットフォーマー。二人には完全に無視されている。

切ない姿の哀しきヒーローを日野慎也さんが見事に熱演。
雰囲気作りが良かったのか、ありがちなネタなのに妙に面白かった。

・ゼニーズ
え~ん、え~ん、・・・円、円。
泣いている女の子。
現れる勇者たち。
ドラクエの序曲?に合わせて、励ましの歌を。もちろん、あらゆる単位を盛り込んで。
泣きやまない。去っていく勇者たち。
え~ん、え~ん、・・・円、円、ウォ~ン、ウォ~ン・・・

うまい。

・I love Japan
日本語勉強講座。
日本語は思いやりのこもった素敵な言葉。
先週は譲り合いがテーマ。
私がやります。いや、私が、いや、いや、私が。だったら私が。どうぞ、どうぞ。
で、今週はすいませんという言葉を実例を見ながら学んでいく。

プラットホームで人を待つ女。遅れて現れる男。
すいません。あっどうも。すいません、遅れて。いえいえ、すいません。
男は水泳選手の取材にやって来たらしい。女はマネージャー。選手はまだ遅れている。
どれくらい練習するんですか。5時間ぐらい?いえいえ、そんなものではすみません。
タバコを吸い出す女。男に尋ねる。おタバコは?いや、すいません。えっ、すいません。火を消す女。
現れる水泳選手。
名刺交換。水間・・・。みずまさん?いえ、すいまと呼びます。あ~、すいません、すいまさん。
今日は雑誌の取材をさせていただきます。うちの雑誌は水泳専門誌です。スイマー専門。すいまーせん・もんです。
と、こんな実例。
色々なすいません。でも、そこには相手を思いやる日本の誇らしさが隠されているわけです。
いい国です。日本は。そんな日本にすみませんか。

これも、うまい。

目で見て楽しく、その内容もなかなか趣向を凝らした、とても面白い公演だった。

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