JUKE BOX【ThE 2VS2】121216
2012年12月16日 インディペンデントシアター1st
いつもどおりのコントオムニバス。
今回は初登場の役者さんがお二人参加。その代りと言ったらなんだけど、いつもの客演の方がいらっしゃらなかった。ご都合がつかなかったのか。残念。
今回もアイディア豊富な作品に溢れています。
もう定番になった下ネタコントやら、意味分からん不条理作品から、心温まる優しい話まで。
楽しい時間を過ごしました。
・考古学者の憂鬱
自らの仮説に基づいて、遺跡の中の秘宝を探索する考古学者とその女性助手。
助手は、遺跡の中で考古学者に告白。学者もまんざらでない。
ついに見つかる秘宝。二人の愛は高まる。将来を誓い抱き合う二人。
一方、遺跡を荒らすハンターなのか、二人の男が必死に何かを探索。
荒れ狂う男に、それをいさめる男。
ついに見つかる秘宝。こちらは通帳。男に貢いでいるのか、貯金はかなり目減りしている。
愕然とする男を、慰謝料でいい暮らしをと抱きしめる弁護士。
完全にミスリードさせながら、思いもよらないオチに。
不信と憎しみの塊となる長橋秀仁さん、飄々と悪びれもせずに男を手玉に取る荒井美紀さん(Common days)。
・まんじゅうほわい
男が部屋に入ると、何かが机の上に。
まんじゅう。でも、この男はまんじゅうを知らない。
続いて、また男が。
まんじゅうを説明するが、全く理解できないらしい。
女性も入ってくる。
まんじゅう、まんじゅう。あんこが詰まっている。
いやらしい。女性がいるのに。拒絶の表情を見せる。
また、男が。
まんじゅう。あ~、まんまんね。まんまん。
キレた女性は無理矢理、男にまんじゅうを食べさせる。
おいしい。あんまんみたい。
あんまん・・・あんまんって何。
訳の分からない不条理会話劇。
下ネタとして単純に捉えればいいのかな。それとも、まんじゅう、何かのメタファー?
平然といやらしく語る白井宏幸さん(ステージタイガー)、すごい顔してキレる荒井さん。
・さいしょがさいご
倒れる男。慌てて介抱する男。あなたの名前は。長橋・・・息絶える。でも、笑っている。自分も笑っている。
なんだ、この状況は。記憶が無い。
巻き戻し。少し前から。
これを繰り返し、事の全容がようやく分かる。
結局、キノコを毒見していたという事実が浮き上がるのがオチ。
時を遡り、全容を見せていくお決まりのパターンだが、その行き着く先があまりにも・・・
・悲しきG.I
戦場で砲台を撃ち続ける白いヘルメットをかぶった二人の男。
これでいいのだろうか。
古くは12歳の時から撃ち続けている。
昔ほど何発も撃てなくなった。撃った時の感激も少なくなった。
もう辞めた方がいいのでは。一発撃てば、3億もの命が失われる。
男たちはデモをする。もう辞めよう。いつの間にか入ってきた男と共に、3人でプラカードを持って行進。
それぞれ、E、N、D。終わりを告げる。
銃声。Nが撃たれた。
これで・・・
ここのところ、もう定番となった戦争をモチーフにした射精下ネタ。
しかし、相変わらず、すごいアイディアで作品を創り出す。
下ネタでさんざん笑うのだが、最後に感心してしまう。
2VS2ならではの、下ネタだろう。感心する下ネタはここでしか多分観れない。
・インポスター
絵画に興味はないですか。一人の女に声をかけられる男。
ちょっと色気も出てしまい、高額の絵を買ってしまう。
ほくそ笑む女性に男は語る。
あなたは今、うまく騙せたと思って喜んでますね。でも、きっとそんなことをしたのは、あなたも騙されたから。心の傷があるのでしょう。全てを話しなさい。
女は涙ながら、騙されたことを男に語る。
これからもいつでも話し相手になります。その時は、この水晶玉で私に話しかけてください。
水晶玉を買ってしまう女性。
騙された。今度はこの水晶玉で占い師となって再び男を騙す。
男はオレオレ詐欺で対抗。
そんな姿を見ていたある男は、気分を落ち着かせる水を持って二人の下へ向かう。
詐欺の連鎖反応。
騙し合っていた二人は、最後は、より強い詐欺にとって喰われる。弱肉強食か。
騙し騙されの掛け合いを面白く展開する、番匠真之さんと荒井さん。
オレオレ詐欺で、未来のオレからの電話という設定は面白かったなあ。これ、実例あるのかな。2VS2で考えたなら、これまたすごい発想だ。
本当にこの劇団、人を騙せそうだな。面白くなくても、言葉巧みに面白いと言わされそうだ。気を付けないと。
・観察
マザコンの男。
どもり癖もあって、母とたった一人しか友達がいない。
母が亡くなった。
その日から、母からもらった望遠鏡で、星空を観察して、母に今日あったことを報告するのが日課。
そんな彼を友達は心配する。
新しいレンズをプレゼントして、そんな、もういない母親の妄想に囚われていないで、ちょっと覗きでもしたらどうなのなんて冗談で言う。
その日から、男はある場所を覗き続ける。それに母親の名前を付けて、話しかけている。その周囲にはいつもつきまとっているものもいるみたいだ。
おかしくなったのか。覗きで見える女性に恋をしてしまったのか。
必死に止めようとする友達を振り切り、男は手紙を書くなんて言っている。
男はオドオドしながら、会見に臨む。
新惑星の発見。名前は母親の名前。そして、同時に発見した衛星。もちろん、その名前は友達の名前。
2VS2は、絶対にこんな作品を創らないなんていう固定観念があるのと、またマザコン男が長橋さんという、いかにも覗きオチで締めそうなキャラなので、完全にミスリードさせられる。
愛情と友情。
そんな心温まる作品で公演を締める。
いつものオープニング、幕間、エンディングは、今回はジュークボックス開発会社2VS2のリーダーである番匠さんの苦悩で綴られる。
せっかく開発したジュークボックス。
まず、客が好きな音楽を選べない。一度始まるとトイレにも行けない。年間に3~4回ぐらい、決まった時にしか動かない。
赤字は膨れ上がる。ふと、気付く。
これはジュークボックスではなく、演劇の舞台にすればいいのでは。
そうして出来たこの公演。ジュークボックス。
といった流れ。
エンディングは嘘か本気か、本当に莫大な赤字が溜まっていることを暴露して笑いを誘う。
本当なら、この公演で唯一笑えん冗談であるが。
写真は当日チラシ。
いつも趣向を凝らした当日チラシを作られるので、公演名から、多分レコードジャケット風にするんだろうなとは思っていたが、ここまで立派なLPサイズの物を作るとは。
これまでの公演に関わった人たちが全部写真で載っていて、中に入っている冊子にそのリストが全て記載されています。
素晴らしい一品です。
19回目で何の記念でもないのに、こんなお金掛かりそうなの作ってしまって・・・
身を呈した自虐ネタでしょうか。笑っちゃいけないけど・・・
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