旅行者感覚の欠落【努力クラブ】121210
2012年12月10日 元・立誠小学校 音楽室
興味を惹き付けられながらも、それにきちんと応えてくれないような感じの作品だった。
前半、どうなっていくのかと、期待を膨らませて観ていたが、後半でだれる。
正直、退屈感が残る。
部屋で寝転がっている男
どこか現実感の無い生活。
何気なく、街を歩き、いつもは行かない道を進む。
覗きをする中年男性二人。
誘われるままに覗くと、ちょっとおかしなカップルの普通のじゃれ合い。
でも、不思議と興奮してくる。
その場は覗きはあかんという女の出現でお開きになるが、男たちからチラシを渡される。何かの催しみたいだ。
行くべきか迷ったが、男はそこに向かう。
会場はすでに年配の客中心に席が埋まっている。
舞台に目をつぶった女性が男に連れられて登場する。
男は女性にいいと言うまで目を開けるなと言って、舞台から去る。
残された女性。
耐え切れず、目を開けると、目の前には大勢の人たち。全く知らなかったみたいだ。
騙された女性に対する失笑、嘲笑が渦巻く中、何とも言えない表情で舞台を後ずさりする。
ヒトミセと呼ばれる遊びらしい。
男は、騙された女性に異常な高揚感を得る。
話はここから、男、騙された女性、そしてヒトミセの男の三視点で展開される。
男はヒトミセの常連になる。でも、あの時の女性ほど興奮しない。もっと凄いヒトミセをみたい。同じ常連からヒトミセアワードの情報を聞く。その開催される場所に行けば・・・
女は騙されたことが悔しくてたまらない。その場を去ったヒトミセの男を探そうとする。その中でヒトミセアワードに参加していることを知り、そこへ向かう。
ヒトミセの男は、罪悪感はあるものの、特にすることも無いので、ヒトミセアワードに参加してみようとする。その開催される街へ行き、騙す女性を探すがなかなか見つからない。
女はヒトミセの男に出会い、もう一度自分を舞台にあげろと言う。
ヒトミセの男は躊躇するものの、他に見つからないのでそれを了承する。
客席には男。
幕が開き、・・・
どうなるのだろうという期待感だけ膨らまされて、それでほったらかしに終えられた感じだった。
かなり癖のある役者さんが多く、話の展開の中で、様々なキャラが出てきて笑いを取られる。
それだけ観ている分でも、まあ十分に面白いのだが、肝心の主軸がよく分からなかった。
主軸の部分は、自分を傍観するような語り口調でただ淡々と話を進めていく。
その合間に入り込む、強烈な個性を持つキャラたち。
起伏が激しく、退屈感は無さそうだが、後半はそれにも慣れて、退屈となっていく。
まあ、何とはなしに話が進むのをただ観ているだけ。
この作品に限らないが、観劇前はいつでも期待感に溢れている。
旅行に行く時の、あれも観よう、あれも買おう、あれも体験しよう・・・みたいな感じだろうか。
旅行者感覚はこんなものを意味しているのだろうか。
でも、この感覚をずっと保持するのはなかなか大変で、そのうちだれてくる。
そうなると、もう旅行中でも、日常だ。周りは日常とは異なる場所、景色、物、人に溢れているのに。
それと同じように、自分に合わない作品だと、もういいやとなり、今回のように流れにただ身を任せて観るだけになることがある。舞台では明らかに奇妙な世界観で、日常とは異なる世界が繰り広げられているのにも関わらず。
最初のワクワク、ドキドキが消えていく。
作品名の旅行者感覚の欠落。身をもって体験するという皮肉な形の観劇となった。
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