« クワイエット・ルーム【劇団オレと松本】120811 | トップページ | 『バビロンまで』【リリーエアライン】120812 »

2012年8月12日 (日)

ユニット美人の三国志 vol.1 ピーチの園でつかまえて【ユニット美人】120811

2012年08月11日 KAIKA

久しぶりに手放しで楽しめる作品だった。
それも、あの三国志でこんな思いが出来るとはねえ。
とにかく、めちゃくちゃ面白かった。

ただ、観終えて非常に困っている。
vol.1と称しているように、9月から毎月、vol.4まで公演の予定があるのだ。
公演は土日のみが多く、数も少ない。
果たして観れるのか。いや、どうしても観たい。
でも、京都は遠い。地元の大阪だってたくさん公演がある。
これを考えると、いっそ見逃しておけばよかったとも思う。
DVDとかは出さないのだろうか。なるべく生で観たいが、見逃しても、どうなっていくのかは知りたい。

普通の会社でOLとして仕事をする33歳独身女性。
「お前は誰かのために命をかけたことがあるか」。
そんな彼女が、謎の声に導かれて三国志の世界へ。
おかしな女性から手渡された横山光輝の漫画、三国志を読み漁り、いつの間にか着いた先はあの劉備・関羽・張飛が結束を固める桃園の誓いの場。
いったい何をすればいいのか。誰を助ければいいのか。ミッションがはっきりしないままに、とりあえず三国志の歴史の中に紛れ込む。
かくして、女性の史実を守るための奮闘が始まる。現実世界では仕事がトラブり、一刻も早く上司に連絡をしないといけないにも関わらず・・・

有名な劉備・関羽・張飛の義兄弟。
会社OLとしての経験を活かし、うまい具合に潜り込んでこの中の一員となる。三兄弟ならぬ、四兄弟の結成。
反董卓軍を結成させ、無事に進むと思いきや、どうも張飛がしっかりしない。
酒癖が悪く、劉備や関羽への嫉妬や愚痴ばかり。蛇矛を振り回す強い姿なんて想像もつかないくらいに、自信を失って自暴自棄気味。
挙句の果てには、酒のトラブルで自分の家臣を怒らせ、敵方の呂布に城を奪われる始末。
三兄弟の契りももはやこれまで。ジ・エンド。
・・・、これではダメ。やり直し。

時が戻されて、もう一度。
うまくいくまで、元の世界には戻れないらしい。現実世界では、仕事の方がかなり揉めてしまっているみたいだ。一刻も早く、対策を取らないといけないのに何もできない。今、出来ることはとにかく、この三国志の世界をきちんと成立させること。
戦略が必要である。
現実世界では会社という厳しい組織の中で、上司や後輩との人間関係に気を遣いながら、ビジネスの世界を戦っている女性。
それを活かしたビジネス的戦略でこれに立ち向かう。

関羽は後々、曹操へ寝返る可能性がある。だから、接触させないようにする。
劉備の子供が国の柱になることを意識付けする。
劉封・孟達という優れた家臣は持ち上げてうまく使う。
・・・
関羽というキーパーソンの戦略と後輩育成に主眼を置いた見事な戦略。
女性は、これを実行すべく、色々と立ち振る舞う。

関羽の千里行、長坂の戦いと順調に事は進む。
しかし、どうも今度は関羽の信頼を得ることが出来なくなってしまったみたいだ。
遂に、南蛮行で、史実と異なる事態が起こる。
またもや、ミッション不成立。
どうも、この三兄弟はダメみたいだ。相性が悪い。
ビジネスは素早い撤退も必要とばかりに、目は敵方の呂布へ。
そして、次回に続く。

いかにも現代の女性がタイムトラベルして、昔の三国志の世界へみたいな書き方だが、実際はそんなことを全く感じさせない演出になっている。
舞台は、普通のオフィスのままであり、酒はポットから出てくるし、女性の姿もOLそのままである。
そもそも、三国志の登場人物も全て女優さんが演じ、そのまま当たり前のように女性として扱われている。
戦いの武器はオフィスの掃除道具であったり、鎧も何やら黒いヒラヒラのスカートを纏うだけ。
新体操のリボンを使って、縦横無尽に暴れる姿を表現したりと、むちゃくちゃである。
言えば、向こうからこちらにやってきて、このオフィスの場でシミュレーションのように再現している感じである。
このはちゃめちゃな演出が妙な面白さを醸し出している。
そして、三国志はビジネス論に通じるとはよく言われているが、そんなイメージそのままに、数々の史実をビジネス論的な考えにすり替えて話を展開しているのも面白い。それも、様々な人間関係が仕事に左右するOLの現場とオーバーラップされているかのようである。

現代女性が紙本明子さん。先日、劇団衛星の公演で拝見して魅力的な方だなあと思ってはいたが、今回はそれを再認識どころか、もう天才的な魅力を発揮されている。不条理とも思えるこの設定の中で、孤軍奮闘する姿が面白くてたまらない。
劉備、金乃梨子さん(てんこもり堂)。リーダーではあるが、まだまだ未熟なところをたくさん残した不思議な劉備像を描かれる。頼れるのか頼れないのかよく分からない感じである。体力をかなり消耗されるのか、かなり限界ギリギリになっているところがちょっとおかしい。
張飛、黒木陽子さん。酒を飲んでくだをまく。その酒で多くの失敗をする。ダメサラリーマンの典型みたいになっており、あの勇猛な張飛の弱いところを強調した姿となっている。当日チラシで、ご自分方が創り上げた作品から、劉備が張飛を許したりすることの?が解消されたと書いてあったが、きっと、張飛をはじめ、登場人物がこういう普通の人間としての姿で描かれているからではないか。本で読む、いいところだけを強調した人物像とは異なり、人間味を強く感じさせている。
関羽、生方友理恵さん。真面目で遊び幅の無い関羽である。忠義を貫いた真面目な男という知識があり、そのイメージどおりである。でも、実際にこういう人が組織にいるとちょっとやりにくいなあみたいなことを、観ていると感じる。こんな感じ方をさせるのも、この劇団が創り上げる三国志ならではだろう。
曹操はじめ、色々な役で登場する小林由美さん(イッパイアンテナ)。自劇団の公演では周囲に強烈な個性の強さを見せる役者さんが多いせいか、どちらかというとクールビューティーな感じで冷静に振る舞われる印象がある。それが、こちらでは、その貯まったものを吐き出すかのように、多種多様なキャラで思いっきり弾けられていた。服装こそ変わりないが、イッセー尾形ばりの一人キャラクターショーである。

5人の女優さんの見事な掛け合いの中で展開する楽しい三国志であった。
これで、少し三国志を分かった気になっているが、恐らくそれは裏の三国志であって、きちんと表面も勉強しないと大恥をかきそうである。

|

« クワイエット・ルーム【劇団オレと松本】120811 | トップページ | 『バビロンまで』【リリーエアライン】120812 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ユニット美人の三国志 vol.1 ピーチの園でつかまえて【ユニット美人】120811:

« クワイエット・ルーム【劇団オレと松本】120811 | トップページ | 『バビロンまで』【リリーエアライン】120812 »