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2012年7月25日 (水)

亡いて想ってGIRL【HPF高校演劇祭 大阪産業大学付属中学高等学校】120724

2012年07月24日 シアトリカル應典院

何か凄かったな。
おかしな人しかいないんだもの。
こういう高校なのか、演劇部にこういう人が集まってくるのか、入るとそうなってしまうのか。
とにかく、個性的な面々が揃っていた。そして、それを活かした作品創りが成されている。
コメディー要素は大きく、面白いことが出来る方もたくさんいらっしゃるので、かなり笑いの多い作品になっている。
高校生の作品ではなかなか珍しい、アドリブだろうか、大喜利のようなシーンも盛り込んでいる。下手すれば、作品の空気を変えてしまうような悪乗りの可能性もあるわけで(一般の劇団でもそんなことが多々見られる)、そこを信じて自由に演じさせる顧問の先生方の創作への指導方針や、それをきちんと受け止めている生徒さんの賢さがうかがえる。

評価すべきは、この笑い豊富な面白さはもちろんであるが、きちんと演劇らしい作品に仕上がっているところである。
妄想をうまく使って、多重構造となっている構成は、私のような素人にとっては見事な作りである。
さらに、作品名の意味合いがしっかりと描かれているところも素晴らしい。
亡くなった女を想う。妄想。話自体が、作品名に綺麗に収束している。
最後は、妄想の中から得た自分の想いを現実の世界で表現しようとする姿で締められる。妄想という閉鎖空間から、一歩踏み出し、前へと進んでいこうとする自己脱却のスタイルはある意味、演劇作品の定番とも言えるが、その描き方は若々しくてとてもいい。

ある高校の妄想部。
憧れの女の子や好きな顧問の先生を題材に好き勝手なことを妄想して楽しむ。そんなクラブである。
この作品ほど、気味悪い感じではないだろうが、誰しもそんな妄想はしていただろう。それも退屈な授業中にね。
高校生らしい目の付けどころである。
ある意味、ご自分の深層心理を外に出してしまうような作品であり、プロの脚本家が自分の変態性を丸裸同然に出した作品と似た感覚がある。この潔い表現の仕方は、思春期でなかなか外に自分の心理を出せないだろう高校生が創っていることに少々驚くと同時に感銘を受ける。

妄想部の部員は、同級生の憧れの女の子との妄想にふける主人公の男とMッ気があり、顧問の先生にお熱の幼馴染。顧問は、これまたSッ気のある女の先生。
新入部員も入ってくる。2次元を愛する妄想男だ。
そんな中、文化祭でクラスはダンスの出し物をすることになる。憧れの女の子の提案だ。もちろん、クラブ活動の前にクラスの一員であるから踊らなくてはいけない。
妄想部は妄想作品集を出すことになっており、今では立派なオタクになっている昔の先輩を呼び出してアドバイスを受けたりして大忙し。

主人公の男。ダンスはなかなかうまく出来ない。
憧れの女の子が個別指導をしてくれる。何か少し気でもあるのだろうか。特別視してくれているみたい。
でも、クラスの不良に邪魔される。気弱なのでかなうわけがない。泣き寝入りするしかない。
憧れの女の子によって、ポジションが発表される。何とセンターを任される。
練習は相変わらず、不良に邪魔されて個人レッスンを受けれないが、何とか頑張る。
そして、発表。実際に、劇中劇スタイルでダンスの発表をみんなで行うエンターテイメント部分を組み込んでいる。
まあまあ成功。
少し、これで自信もついたかな。
何と言っても、憧れの女の子も認めてくれたし、ずっと見守ってくれていたらしい。

これで、少し2人の間に愛が・・・なんて思いきや、そんなうまくいかない。
また、不良が邪魔しにやってくる。
逃げてばかりではダメだ。捨て身で不良と闘う。
妄想の世界ではコテンパンにやっつけれるんだけどなあ。ボコボコにされたが、何とか追い払う。彼女を守れた。
今度は逃げなかった。妄想の世界に逃げ込まず、現実と向き合った。
女の子はそんな主人公の男の姿を見て言う。
やっぱり覚えてないんだな。ずっと一緒だったら、こんな楽しいことがいっぱいあったのかもしれない。

そう、思い出した。憧れの女の子は、昔、幼馴染の友達といつも一緒に遊んでいた子だ。あの日、祭りに行く約束をして、浴衣姿を楽しみに待っていたんだっけ。ずっと、ずっと、待っていた。でも、・・・

ハッと目覚める男。
隣には幼馴染の子がいる。クラスメートも一緒だ。でも、憧れの女の子はいない。
先生がやってきて、今度の文化祭の出し物を決めようとしている。
色々な案が出る。
男は勇気を振り絞って言ってみる。みんなでダンスをしようと。

妄想中の妄想部分が入ったりしてややこしいので、だいぶはしょりましたが、だいたいの流れはこんな感じ。
亡くなった女性の妄想の中から、忘れていた想いが甦り、ちょっと成長した自分になったみたいな感じです。
不器用な成長の仕方で、そんなところが愛らしかったりします。

主人公の男が島田皇毅さん。作・演もこの方。素晴らしいですね。話もそうだし、役者さんとしての熱演も。ちょっと気持ち悪いけど、これはキャラだから仕方が無い。つらいことも楽しいこともいっぱいあるから、ちょっとずつちょっとずつ変わっていけばいい。ゆっくりと人の悲しみが分かるような男となってみたいなことを思わせる素敵な味のある演技でした。
幼馴染が空秦輝さん。Mッ気を出した体を張った笑いもなかなかですが、ツッコミとしての重要な役割も果たされています。いい間合いで、ツッコミを入れて、他の役のボケたところをしっかりと拾って活かしています。
新入部員の男、井関拓海さん。次元の違う男。いい表現の仕方だなあ。飄々として憎めない姿は印象に残る。ぼそっとつぶやくセリフがじわじわと面白かったりします。
不良、脇坂征爾さん。これはあまりにも地を活かし過ぎだろう。出オチに近いね。ご自分の魅力が分かっており、役としてそれを最大限に笑いへとつなげる見事なしたたかさ。たっぷりとその魅力を楽しませてもらった。
妄想部の昔の先輩、梅原優樹さん。オタクそのもの。高校一年生。先輩方のような面白キャラの予備軍ですな。この時点でこれだけの役作りが出来るなら、来年以降もここは揺るぎないコメディー作品が創れるな。

顧問の先生、阪本晃乃さん。S嬢ね。それもコテコテの。なかなか貫禄があって、ブレの無い演技です。どこで役作りをしているのやら。ダンスシーンでは普通にジャージで踊っており、やっぱ普通の女子高生じゃんというギャップで少し笑えてくる。
憧れの女の子、龍見明日香さん。いわゆるヒロイン。単なる美人さんじゃなくて、ちょっと芯のあるような雰囲気だったので、こんなお嬢様風よりきつめの方がフィットするんじゃないかと思ってたら、最後の方でそんなキャラに急変するシーンがありました。うん、そっちの方が魅力的ですね。

サッカー部のイケメン二人組、鳥山懸大朗さん、織田俊充さん。妄想部の対称キャラとして登場。まあ、実際にかっこいい方達ではありますが、さすがにあのナルシストキャラはなかなか恥ずかしいだろうに。やり切っていました。さわやか風の鳥山さんと、中性的な魅力の織田さんのナイスなコンビです。まあ、あの決めポーズは、合コンとかで将来、使えばいい。

あと、クラスの女の子、谷元のぞみさん、樋口舞さん、小島彩香さん。
大変、申し訳ないことに役と名前が一致しない。カーテンコールでの紹介だけでは覚えきれなくて。
普通の制服の子、白カーディガンをはおった子、赤いジャージを履いていた子で区別して覚えてはいるんだけど。
赤いジャージの子はなかなか冷たいツッコミの笑いの取り方がうまいんじゃないかな。最後のカーテンコールでも、セリフの噛みを逃さず頭の回転の速いツッコミ入れてたしね。
イケメンサッカー部にあこがれる姿。演技だよね。演技とはいえ、あのチヤホヤぶりは、男は騙されちゃうから厄介だなあなんて引いた目で見てた。

一言でいえば、面白い作品でした。
ただ、描いていること、それを伝えるための演出方法はなかなか巧みであり、そこが魅力でもあります。
面白いことが出来る役者さんが多いだけに、コメディーに偏り過ぎずに、その演劇らしい魅力もバランスよく伝えれているところを大きく評価したいと思います。

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コメント

大阪産業大学附属高校は、そんな劇をしたんですか(^-^)
凄く、凄く羨ましいです。
自分も彼ら彼女らと昔、劇を創っていたのですが、このHPF前に学校に行かなくなってしまったけれど、あなたのこの文章を読んで涙が出てきました。
どうか来年も観に行ってあげて下さい。

投稿: 尾崎拓海 | 2012年9月21日 (金) 18時34分

>尾崎拓海さん

コメントありがとうございます。

お~、もしかしたら、あの舞台のおかしなキャラたちに交じっていたかもしれなかったんですね。
みなさん、輝いていましたよ。

また、舞台に立ちないなあなんて思ったりしませんか。
まだお若いのでしょうから、これからまた機会があるなら、そんな日も選択肢にしてもらえると観劇を趣味にする者としては楽しみの一つになりますね。

来年も、ここを含めHPFは楽しみにしております。

投稿: SAISEI | 2012年9月22日 (土) 09時06分

ありがとうございます。
去年は府大会HPFの主役をやってたので、とてもまたやりたいと思います(笑)
来年のHPFのブログも楽しみにしています

投稿: 尾崎拓海 | 2012年9月24日 (月) 21時53分

>尾崎拓海さん

お~、そんな立派な経験をお持ちの方でしたかw(゚o゚)w
だったら、なおのこともったいない。

昨年は数校しか観なかったからなあ。
来年は今年ぐらいに、いい作品を求めて、HPF会場に足を運ぼうと思っています。

色々な分野でご活躍ください。

投稿: SAISEI | 2012年9月25日 (火) 09時21分

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