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2012年6月25日 (月)

おはこ【ThE 2VS2】120624

2012年06月24日 インディペンデントシアター1st

ギリギリ間に合った。いや1分ほど遅刻か。
ここを観る前の公演が悪いんです。3時間もするから・・・・
第一楽章が始まる直前。番匠真之さんのタクトが振り上げられ、まさにこれから、この劇団の他では聞けない独特の旋律が奏でられるところで間に合いました。

いつもオムニバス形式のショートコメディー作品を数本される公演で、その幕間にラジオドラマ風の一連の作品を盛り込みます。舞台転換の待ち時間すら、じっとはさせないよという劇団の心意気みたいです。
今回は、この幕間作品が少々、これまでとは異なり、楽団のコンサートの中で、次の曲にいく間の時間を想像させるようなものになっています。
次はどんな演奏者のユニットなのか、どんな旋律の音楽を奏でるのかを説明して、指揮者の下、集中して作品が始まるといった感じです。
これが、とてもスマートな印象で、全体を通して、これまでとは異なる洗練された雰囲気を醸し出します。
とは言っても、いつもながらの面白さなんだけどね。
でも、個々の作品はそうでも、全体はやはりちょっと違う。いいのか悪いのかは分かりませんが、私は今回みたいな方が個々の作品には集中して観れますね。

「同窓会白書」
同窓会。
最初、店にいるのは二人の男。一人の男は、目立たず、面白くもなく、ほとんど覚えられてない男。もちろん、この役は長橋秀仁さん。
次々と店に同窓生が入ってきます。
その瞬間、互いに思い出したくない記憶が。
振ったり、振られたりの苦い過去。どこか気まずい雰囲気に。
そんな中、一人だけ、次元の違う記憶が甦っている人が・・・

まあ、長橋さんですわね。
同窓会で覚えられておらず、昔と同じく孤立する悲劇の上に、思い出までもがそれに輪をかけてみんなと異なる。
時を経ても、その孤独が継続している悲しみ。
何で参加したんだ・・・
ガチャガチャしてまとまらない音の中に、長橋さんの悲しい異音を感じ取って楽しむ音楽です。

「うるサイゼやつら」
あのファミレスで談笑する二人の男。
店員をからかい、バカなネタでケラケラ笑い、うるさいガキにイラだち、店に来てる柄の悪い女を品定めするという品の無い時間を過ごしている。
そんな中、店の中で、二人にしか分からないトラブルに巻き込まれ、さらに一人の男が本音をさらけ出す。

特に心に響かないありきたりのバックミュージックの中で、長橋さんと番匠さんの勝手に盛り上がる絶妙な二人ハーモニーを聞き取ります。

「F1グランプリ」
受験戦争グランプリ。愛する母のために常にポールポジションを取り続ける男。
家庭問題に巻き込まれ、ライバルにその座を明け渡す栄光からの転落を描きます。

定番の実況ネタです。
マザコンの男役、長縄明大さんが転落して呆然とする姿、ライバル役の有元はるかさん(シアタータンク万化・はちきれることのないブラウスの会)の飄々としたしたり顔が面白い。
栄枯盛衰の人生観たっぷりのメロディーをかきつぶす騒がしい雑音を楽しみます。

「愛の宇宙」
二人の愛を語るミュージカルの一シーン。そこから、物語は繋がっていく。
それは地球と月、太陽と惑星の宇宙までに行き着く壮大なドラマ。
そして、そんな物語もやがては元の話へと戻り輪廻する。

これも、最近では定番になった話をつなげる妙味のある作品です。
おとなしい音から、壮大な宇宙を思わす旋律にまで広げ、また元に戻って収束させる。
これぞ、本当に一つの楽曲でしょう。話はめちゃくちゃですが、名曲と言えます。

「ファンファーレと熱狂」
男と女。
このままでいいのだろうか。そんな悩みを抱きながらも、今日も自分達を男たちが操る。
勝つしかない。そして、夢の人生を掴み取ろう。

本当に最後の方まで気付かなかった。競馬ネタです。
作品名どおり、高鳴るファンファーレ、そして激しく熱狂し盛り上がる音楽。その先に奏でられる哀しみの音を笑います。

「BOXER」
人の心が読めてしまう男。そのため、どれだけこれまでに傷ついてきたか。
ある日、同じような境遇だった男との運命の出会いに遭遇する。男から学んだことはボクシング。
男は一躍、チャンプに。
でも、いずれはそんな座から身を引かなくてはいけない時が来る。あの男もそうだった。
引き際を間違えて、全てを失った男にあの男から手渡された箱の中には・・・

パンドラの箱ですね。それだけでなく、作品中に公演名をなぞった箱というキーワードを散りばめています。
傷つきどうしようもない気持ちの暗いところから、生きがいを見つけ活躍、それをじわいじわと脅かす時の流れ。でも、最後に残るものは希望という一人の男の起伏が激しいながらも、美しい音で締めくくる綺麗にまとまった編曲でした。

次回は12月と少し期間があきます。
待ち遠しいですなあ。

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