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2012年5月20日 (日)

オパンポン★ナイト セレクション【オパンポン創造社】120519

2012年05月19日 インディペンデントシアター1st

主宰の野村侑志さんは、かなり拝見している。この日も、午前中にLINX'Sであの有名な姿を拝んできたばかり。
でも、劇団としては初めて。
これまでの姿から、まあ荒々しいバカっぷりを押し出した作品なのだろうと思っていたが、全然違う。
普段の荒々しさを照れ隠しするかのように、淡い雰囲気で進む温かい気持ちになる短編が揃った公演だった。
当日チラシに書かれたテーマである「今(自分)からの脱却」をそのまま感じさせる。
一言で言うと、この劇団は素敵である。

(以下、ネタバレ注意。公演終了の日曜日まで白字にします)

短編4作品。
連作のようにつながっているところもある。

「夏と、俺とアイツとお前」
冒頭は男優陣がパンイチ姿。野村さんはもちろん、あの姿で登場。無意味にこんな姿になっているわけではない。海に少年たちが遊びに来ているシーンからスタートしている。
少年時代のように、目をつぶるとあの頃が甦ってくるようなちょっとほろ苦い懐かしいそんな時代を描く。
転校生の少年は、母親とその愛人に連れられて町にやってくる。まあ、母親は女として生きており、男をとっかえひっかえしているのだろう。そのたびに転校しているようだ。少年はそんな家庭環境だからか、いわゆる、やんちゃもんである。そんな異端児を多くの者は距離を置いて接するが、色々な遊びを知っていて新しい世界へと連れて行ってくれる少年に興味を持って親しむ奴らもいる。仲良し3人組の誕生だ。
楽しい毎日。でもそんな日は続かない。危険な遊びをしたらダメ、恐らくはその家庭環境も知っているのだろう、親たちはそんな子と遊ばせないようにしてくる。
いつの間にか一人ぼっちになる転校生。2人の友達も自分の力ではどうしようもない。この時代の親の力は絶対的であるから。
やがて、転校生はまた転校することになる。最後の遊ぶチャンス。少年たちは3人で遠くの海へと向かう。
これが冒頭のシーンにつながる。
でも、そんなちょっとした反抗も・・・

まあお決まりで結局、親に連れて帰られるような形になるのだが、転校生の母親もこの時は心配して迎えに来る。自分が不要だと思っている転校生の安堵から溢れる涙はけなげで美しい。
作品中にしょうがないって言葉が出てくる。転校生の決め言葉。これを言って親や世間から自由を抑え込まれた時に我慢している。子供だから何もできない。しょうがない。
でも、この頃のしょうがないって、そう言いながらも何かしてるんだな。転校するから会えない。しょうがない。さようならではないもの。やっぱ海へ行って、そこでまたずっと会える方法を考えたり、しばらく遊べないけど、その分たっぷり思い出を作ろうとしたりしている。
大人のしょうがないとはずいぶん違う。大人のしょうがないは妥協や打算の塊だ。子供のしょうがないは、この公演テーマに結びついているように感じる。

野村さん、ゴンダユウイチローさん、吉塚拓哉さんの仲良し3人組の掛け合いが面白い。というか微笑ましい。いや、やっぱり大笑いする。
母親役で二人の女優さんが登場する。友達の母親、池下敦子さん。典型的な一般的な親。我が子の愛情の大きさ、それを乱す者への排他的な感情。世にいる母親の姿が浮き上がった。
転校生の母親、斉藤友恵さん(May)。最後のシーンで登場するまでは子供たちの会話からの想像に頼る。それだけに頼ると、完全に悪質な水商売の女を思い浮かべる。最後に登場した姿を見れば、いい母ちゃんだよ。きっと母手一つで育てないといけない現実と闘いながら、懸命に生きてる。転校生は自分が邪魔だとか言ってたけど、そんなことないな。かけがえのない大切な子と思ってるだろう。そんなことに気づけないのも、また子供だからかな。この夏のこの出来事でちょっと成長した子供の姿がとても可愛らしく、自然に笑みがこぼれる。

「鉄男取扱説明書」
何をやってもうまくいかないOL。
暗いからか、職場でも一人ぼっち。もちろん友達や彼氏もいない。
そんなOLがある日、鉄男というアンドロイドを購入する。このアンドロイド、いわゆるダッチワイフの男版。
こんな物に頼って生きる自分に嫌悪を抱きながらも、このアンドロイドとの生活が少しずつ生き方に変化をもたらす。
その結果、運勢は好転。
職場の上司とお付き合いをはじめ、それをからかってくる同僚と飲みに行ったり。
自分の気持ちの持ち方一つであらゆることがうまくいき始める。
だんだんとアンドロイドが邪魔になってくる。こんな物を買ったことがばれたら、みんなにバカにされちゃうし、彼氏を家にも呼べない。
ついにアンドロイドを始末する決心をし、堤防の上から・・・
この計画自体は失敗するのだが、色々あって、無事始末完了。
これで安心と思いきや、付き合ってる上司には妻も子供も。
お金もだいぶ貢いでしまったし、すっかりまた悪い人生に。
でも、自分が変わった実績は残っている。
もうアンドロイドはいないし、必要もない。自分を変えれるのは自分だけ。そんなことに気づいた女性は強く生きていく決心をする。

ちょっと切ない。アンドロイドもOLも。野村さんと斉藤さん。
これが普通の出会いだったら、それでもうよかっただろうに。
アンドロイドは始末されることが分かった時にどうだったんだろう。心を持たなくても、何でなんだという憎しみや、あとは一人で頑張りなという感情とかが出てくるのだろうか。
覚悟を決めたOLは頼もしい。この後の話で、実はまた登場する。その時はすっかり立派に肝っ玉がすわったいい女になっている。

「王様大脱走」
ごめんなさい。寝ました。思いっきり記憶が飛んでいます。
いやあ、疲れてて・・・ちょっと目をつぶったらそのまま。周囲にいらっしゃった方で寝てやがると気分害した方いたら、申し訳ないです。
監獄の中での囚人同士の会話劇。囚人の一人が王様。何度も脱獄をしており、今度したら絞首刑になる予定。
・・・で、気づいた時には王様、アドバルーンに乗って脱獄してました。もう一人の囚人は泣いてました。
何が起こったの。気にはなるけど、もう取り返しがつきません。DVDにでも期待しますかね。

「赤い糸の先っぽ」
あるカップルがドライブ。
事故ってしまい、何と運命の赤い糸が見えることに。
二人がその糸をたどると、二人はつながっていない。
男は2話で登場するOLと、女は3話で登場する王様と。ちなみに、多分ですが、OLは1話の転校生の母親ですね、きっと。すっかり、図太い生き方する女性に生まれ変わったみたいで。
二人は互いの運命で結ばれた人と付き合おうとする。
でも、うまくいかない。相手もそれを望まない。
運命とは・・・
二人は赤い糸を切る。そして、自分が信じた相手とそれを結べばいいという結論に達する。
自らの運命を、自らで創り出した二人の未来にはきっと幸が。

4編とおして、結局は自分の生き方は自分で決めればいい。それは自分の気持ち次第で自由自在に変えれる。
その結果がどうであろうと、自分で選択した道だからこそ、懸命に生きれるよみたいなことを伝えているような感じです。
何と、真面目で真剣なテーマなんだ。
それを少年や男女などの多彩な設定で共通テーマとして話を創り上げているところがいいですね。

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