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2012年5月 2日 (水)

誰も知らない貴方の部屋【劇団ペニノ】120502

2012年05月02日 ロクソドンタブラック

強烈だったなあ。
たくさん観てる方だと思うけど、観ても観ても、不思議な劇団が出てくる。
人が創り出す世界は無限ですねえ。

空間を味わう。
演劇の一つの醍醐味でしょうが、この点ではピカ一だと思います。
気持ちが悪くて吐きそうになるくらいの、偏愛が描かれていました。

二面舞台。
二層になるのかな。凝りに凝った舞台でした。まさに芸術ですな。

受験生の弟が兄の誕生日を祝うために、マンションの部屋で妄想から生まれたおかしな妖精とともにその準備をしている話です。

一幕は上層が描かれる。
腰をかがめないと、普通に立ってはいられないような天井の低い空間。
弟の妄想の産物、豚と羊の妖精が奇妙なオブジェを創っている。悪魔崇拝を想像してしまうような奇妙なキャラです。
外は森。音響のフクロウの鳴き声が静かで暗い空間を創り出します。
部屋には男根そのものの、イスやら笛やら。恐らく、抑圧されたストレスから生み出されたものなのでしょう。
電光掲示板があって、第1話「・・・」みたいにそれらしい題名のエピソードが展開されます。
観ないと分からないですが、サボテンやら何やらの噛みあわない不思議な会話が繰り広げられます。サボテンも恐らくは男性器イメージですね。
男根からイメージされる性、会話から思い描かれる食など、抑えられた欲が異常な方向へと向かっていることが想像できる狂気性が見え隠れします。

二幕は下層。
こちらは、もう寝ていないと無理なぐらいに窮屈な部屋。
受験生の弟の兄への異常な偏愛が描かれます。
タイルが敷き詰められて、オペ室のようなイメージ。
兄を形どったマネキンの頭部がズラリと並ぶ。奥の棚には男根のオブジェがいっぱい飾られる。ここでも、ありとあらゆるものが全て男根になっている。
兄が部屋にやってきて、弟との異常な愛情が描かれます。

三幕は上層と下層の融合。
誕生日パーティーが開かれます。
と言っても、全員でカノンを笛で演奏するだけ。
男根だらけの不思議な空間に、おデブな兄に、制服姿の異常な弟、気味が悪い羊と豚の妖精。
カノンは大好きな曲ですが、これほどの異常世界でも成立する音楽だとは思いませんでした。あの曲の浄化するかのような美しい力を再認識。

そんな話です。
何を伝えたいのかは難しいですね。まあ、単にこの異常空間を楽しむということでも十分かと思うような演劇作品です。

無限に広がるチェスの盤。キングは周囲8マスを自由に動けます。その下に悪魔がいる。キングの邪魔をしようとキングが動くたびにどこかのマスを潰してしまう。それはキングの止まっているマスでなければどこでもいい。
この条件で、キングは永遠に動き続けるのか。
答えはミスさえしなければ可能みたいです。
劇中に出てくる話です。
好きなように動ける欲の下でどんな妄想を繰り広げても生きていける世界。それにピリオドを打とうとする悪魔。終止符が打たれるのは、あくまで自分のミスであり、決して悪魔のマスを潰すという行動には依存しない。
そんな世界で私たちは生きているといったところでしょうか。

兄ももしかしたら弟の妄想の産物かもしれません。何かしらの事件で失ったようにも思えます。
いつまでも、弟は兄の誕生日を妄想の産物である豚と羊の妖精とともに祝うのかもしれません。
異常な空間ではありますが、この空間から脱却するのはあくまで弟自身の決意であり、他のどのようなものにも左右されない。
永遠に狂気と異常な中をさまよう弟の姿は気味悪いようにも思えますが、どこか弱い人間の肯定のようにも映ります。

まあ、実際に観ないと、この不思議な魅力は伝わらないでしょうね。
少し癖になるような魅力が潜む劇団でした。

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コメント

久しぶりにガツンと来ました。
ヤン・シュヴァンクマイエルとアレハンドロ・ホドロフスキーを3Dで見たら、きっとこんな感じになります。
病的に美しく、最高にルナシーでした。

投稿: ツカモトオサム | 2012年5月 3日 (木) 19時22分

>ツカモトオサムさん

ツカモトさんでもガツンときましたか。
強烈でしたねえ。

うっ、書かれている単語が全く分からない・・・
ウィキで調べてみました。
とりあえず、ヤン・シュヴァンクマイエルのルナシーDVD、アマゾンで買いましたよ。
病的で気味悪くて面白そうです。

投稿: SAISEI | 2012年5月 4日 (金) 10時02分

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