« 029-2「桔梗」 ☆☆☆☆→☆☆☆☆☆ 北新地グルメマップ作成の旅 | トップページ | うしおととら 第二十二章「畜生からくり」【シアターOM「うしとらプロジェクト」】120428 »

2012年4月28日 (土)

喪主もピアノが弾けたなら【The Stone Ageヘンドリックス】120427

2012年04月27日 トリイホール

やっと観れたか。
観劇始めた頃の2008年に、シャレの効いたこの作品名を見て、観に行こうかなと思った。
当時は今ほど精力的に観劇をしていなかったので、いつの間にやら見逃してしまった作品。
数年の時を経て、また出会えて幸せである。
そして、その感想が長い間待ったかいがある最高に満足なものであることも嬉しい。

事故死した父親の通夜の一晩を描いた話。

冒頭は息子が幼き頃の絵日記を読むシーンから始まる。
野球に連れて行ってもらったなど、楽しい思い出。でも、その思い出が急に途切れる。父がオカマであることを知った日から。

父親はなぜかは分からないが、犬を追いかけて車に轢かれたらしい。犬が嫌いなはずなのに。突然の出来事だった。
父親はゲイバーに勤めながら、自宅でアパート経営をしている。
アパートの住人、オカマの仕事仲間が続々と通夜の席に集まる。
父親に幼き頃からお世話になった息子の幼馴染。お腹が大きいその婚約者。ママさん。ゲイ仲間。学校の先生。
そんな中、家を飛び出した息子が数年ぶりに戻ってくる。

息子は父が許せない。同時に父を認められなかった自分も許せないようだ。とにもかくにも、自分がこの通夜の席にいることはいけないことだと思っている。自分と父の絆はもう途切れている。だから、喪主などもってのほか、とてもできないとみんなを困らせる。

ある女性が突然やってくる。
父親とお付き合いすることになっていたピアノの先生。
ゲイじゃなかったの? ピアノなんてなぜ習っていたの?
数々の父親の謎が、集まる人たちの会話から紐解けていく。
面倒見のいい人だった。誰に対しても思いやりのある優しい人だった。だから、通夜の席に集まる人たちはみんな父のことが大好き。
でも、一番はっきり分かったことは、いつの時も息子を一番に想う父の姿であった。
絆は切れていない。父が必死にそれを守っていた。
それを知った息子は、皆から好かれる父を誇りに思って、父との絆を大切にした新しい人生へと向かう。

ワンシチュエーションコメディーにありがちな、登場人物が入れ替わり立ち代わり、スレ違い、勘違いを起こしながら話を展開していく。
この数々のドタバタシーンは、個性あふれるキャラと相まって笑いが絶えない。ただ、そのドタバタがおさまるところで、残された人たちの会話が入る。ここが息子の心を開く要素が語られるところである。時には真剣に、時には冗談めかして話される会話の内容はとても優しく、徐々に亡くなった父の生前の姿が浮き上がってくる。
さんざん笑いながらも、心温まる話だったと感じるところなのかもしれない。

当日チラシに書かれている親の心子知らず。
まあ、確かにそんなもんでしょう。
でも、親の心をいつまでたっても知らずにそのまま自分も死んでしまう人生というのも悲しいものですね。
いなくなってからでも、分かればいい。というか、その過程を経ないと大半は分からないのかもしれません。
生きている間に分かることなんて少ないような気がする。真の想いなんてものは、言葉で伝わるものではないから。
だから、死んで無言になって初めて伝わることの方が多いのかもしれません。
その跡を死んでも残せるように人を想って生きたいし、そんな残った想いの跡を感じられる人でいたいものですな。

目を引いた役者さん。
何か凄い人いたなあ。言えば、ほぼ全員凄い人なんだけど、中でもとんでもない人が。
いつもながら天然キャラで微笑ましい笑いを爆発させてくれる片山誠子さん(ソラ豆)、毎回イメージが変わってしまうけどいかにもいそうなちょっと柄の悪いママさんの大西千保さん、言葉が出てこない強烈キャラの本木香吏さん(仏団観音びらき)、清楚で透明感漂う寺本多得子さん(桃園会)。
みなさん一くくりにしてしまえば女性なわけですよ。でも、全然別次元に生きているとしか思えないキャラです。ここまでキャラを分けてしまえる役者さんの力が恐ろしいですし、そんなキャラでこの感動話を成立させている作品の力に驚愕です。

あとは、石川玲さん(イズム)が印象に残っている。
息子の幼馴染で唯一まともな人でしょうか。母子家庭で父親がいなかったので、故人を父のように慕いながらも、血のつながりの絶対性を説いている。その寂しいながらも、故人を想う姿は、息子の心を開く大きなきっかけになっているし、また自身の子がこれから生まれることによる親子の絆をより強く思わせるものとなっている。
紳士的で力強い優しさを思わせる演技だった。

親子を、特に父と息子を描いた素敵な話。
それだけではなく、周囲の人たちも含めた素敵な家族の姿を描いているところがとてもいい。

|

« 029-2「桔梗」 ☆☆☆☆→☆☆☆☆☆ 北新地グルメマップ作成の旅 | トップページ | うしおととら 第二十二章「畜生からくり」【シアターOM「うしとらプロジェクト」】120428 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 喪主もピアノが弾けたなら【The Stone Ageヘンドリックス】120427:

« 029-2「桔梗」 ☆☆☆☆→☆☆☆☆☆ 北新地グルメマップ作成の旅 | トップページ | うしおととら 第二十二章「畜生からくり」【シアターOM「うしとらプロジェクト」】120428 »