5分前にできた【ダンスカンパニー足一】120401
2012年04月01日 月眠ギャラリー
そうかあ。よく考えたらそうだよな。
いや、LINX'Sでダンサーさん、劇的☆ジャンク堂で役者さんとして、魅力的なお姿を拝見している、最近、自分の中で注目ランキング急上昇中の西田美咲さんが出演されるみたいなので観に行ったのですが、彼女の雰囲気から、何かノリノリのライブみたいなものを想像していた。
手拍子、手拍子、イエイ、イエイみたいな感じで、そんなノリは無理かなあなんて思いながら足を運んだのが今となっては恥ずかしい。
馬鹿だから、ダンス=クラブみたいな発想しか持ち合わせていなかった・・・
実際はとても芸術性のある美しい表現としてのダンスを観れる公演です。
言葉や文字は無く、体の動きだけで伝えてこられますので、絵画のようにその本質を掴むのは難しいです。
それでも、いい絵を見た時と同じように、何か満足感は残り、楽しかったなと思っています。
意外にこんな感じの公演も、自分は好きなんだということが分かり、少し自分に驚いています。
最初、舞台の隅に男が身を潜めるように座り込み、もう一人の男が舞台上に現れ、体を使った表現をされます。
この時点で、上述したようにこれは芸術作品だと気付くのですが、昔、同じような経験をしたことがあります。
もう今から3年前、観劇を始めたばかりの頃に拝見したウミ下着の公演です。
まあ、この時は何のことやら分からなくて、途中で半泣きでしたね。
それ以後、ダンス公演は何回か拝見していますが、身体表現だけを見て、その登場人物が織りなす物語を理解するのは私にはなかなか難しく、無理矢理でもいいから、自分で物語を創作してしまうのが楽しく観れるコツ。
創り手側からすると不本意な客なのでしょうが、素人はそうでもしないと退屈して、眠りの世界へと向かってしまうのです。
今回は登場人物が男2人に女1人。
単純に思い描きやすいのは、女を巡った男同士の争い。
例え違ったとしても、最初にもうそう思い込んでしまったので、そう考えながらの観劇です。
とりあえず、部屋の隅にうずくまっている男は、失恋とかして閉じこもってしまっている人、舞台前方にいる人は、今、楽しく生きている人として観劇スタート。
最初、舞台の前方で表現される男性。
失礼ながら、名前がどちらか分かりません。小関宗一郎さんか寺西翔太さん。
バレエのダンサーですといった感じのナルシスト風の方。感情を抑えた感じで、その反面、体は何か抑えきれないような動きをされます。どこか自信に満ち溢れているかのような印象を受けます。
目力と言うのか、目線の動かし方でしょうか。この見つめるという行為がとても緊迫感を呼びます。逆にこちら側も集中して相手を見るということにつながります。派手な動きよりも、よほど人を注目させる効果があるようです。
この視線の強さはこの方だけでなく、他の方もそれぞれの魅力を終始出されているようでした。もしかしたら、ダンスのような言葉の無い世界では目で訴えるという行為が非常に重要なのかもしれません。
このナルシスト風の方は、どこか冷淡で相手を見据えているような感じ。上から見ている印象も。
うずくまっている方は、常に相手を追い求めているような動きを見せます。少なくとも同格、もしくは下から見上げるような感じ。
女の視線はどこに向かっているのかよく分かりません。自分を見ているだけのような感じです。少なくとも2人の男には向けられていないようないように見えました。
やがて、うずくまっている男は動きだし、もう一人の男と動きを同調させていきます。
ここも勝手に、閉じこもった世界から、楽しそうにしている男を見て、そこに引き込まれていったことにします。その真似をして、自分も楽しもうといった感じで。
うずくまっている男は今風のさわやかイケメンみたいな感じ。路上でかっこよく踊ってそうな印象です。
この方は、少し表情も出されます。
女が登場します。西田美咲さん。
男に交じって、同じような表現をしたり、2人の男とは異なる表現をしたり。
動きがとてもダイナミックです。むしろ男の方が繊細な表現をしていたように思います。
何というのか、急にクルッと回ったり、腕を回したりする時がすごく切れている感じがして、そういう動きのたびにドキっとします。そう、そういう動きをした後に、ぐっと視線を客側に向けられる姿はかっこいいというか、痺れるというか。多分、英語だと両方の意味を兼ね備えたクールみたいな言い方が当てはまっているのではないでしょうか。
このあたりで、最初にこじつけた私の設定に狂いがだいぶ生じているのですが、女は自由人で男には目もくれず。ナルシスト男は自分がいけると思っている。閉じこもり男も負けじとチャレンジみたいな考えで乗り切ります。
このあたりから、観ながら、本当にこの作品の物語はどういうものなのかを考え始めます。
男2人、女1人という中での関係を描いているとは思うのですが、それがめまぐるしく変化します。
特に同じ表現を繰り返し数回行った後に急に違う表現にある者だけがシフトするみたいなところが幾つかあり、複雑性が増します。
入れ子構造みたいになってるのかなと考えてみたり。
そもそも、この空間はどこなのか。この人たち、人なのかとか。
上や横からも重力がかかるかのような動きを見せる不思議な世界。ひもで引っ張られているかのような動きは、何かコントロールしている第三者の存在があるのかと思ったり。
まあ、よくは分かりません。
この時間帯は少し、そんな考え事をしながら、漠然と舞台を見ていたのですが、ちょっと面白い発見。
周囲が白い壁なので、影を目で追っていると、なんか面白いです。それでどうだからという訳ではないのですが、動きがより美しく見えたりします。
で、最後は閉じこもり男がまた、何か打ちのめされたような感じになって、ナルシスト男と女が一緒に舞台を去って終了。
ここまで乗り切ってきた私の思いこみ話では、元の木阿弥でまた閉じこもってしまう男。結局、ナルシスト男の勝利で女もそちらになびく。の割には、お二人の表情は冷静で淡々としてました。これはおかしいですね。恐らく、最初の設定が間違っていたのでしょう。
もしかしたら、ナルシスト男と女は閉じこもり男の妄想キャラなのかと思ってみたり。
まあ、違うでしょうが、自分なりにはオチが付いたので良しとします。
やはり依然、難しいとは思うのですが、どこか楽しみ方がまだまだあるような気がします。
公演時間が30分でしたが、これくらいの時間だと単純に動きだけ見ていても、日常生活では見ない動きですから新鮮に楽しめるように思います。それ以上だと、やはり物語性はどこかで理解できないと厳しくなりそう。
時間はあっという間に過ぎ、集中して観るというの点では相当でした。
やはり役者さん方の強烈な視線や圧倒的な動きによるオーラが、通常の観劇よりも強く感じたのでしょう。
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