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2012年3月 4日 (日)

The Doll 雪の向心力バージョン【坂本企画】120303

2012年03月03日 ロクソドンタブラック

どうしようか非常に迷ったのです。
この前の夜の遠心力バージョン後は、急いで一心寺へ向かう予定だったのです。
終わったのが18:40。急げばギリギリ間に合う。
でも、もう一つのバージョンも観たくなってしまった。
迷うこと2分。
気付いたら、ロクソドンタブラック近くの喫茶店にいました。

ということで、もう一つのバージョンを観劇。
夜の遠心力バージョンは、話は分かるけど、奥深いところがあってなかなか理解が難しい作品ばかり。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/the-doll120303-.html
そんな状態でしたが、何か感じ取れればと。

(夜の遠心力バージョンともに、公演終了まで以下、一応、白字にしておきます)

<死者の家>
非常に美しい作品。
無理した観劇だったが、結論としてはこの作品を観れて良かったというところに落ち着く。

先に拝見したのが夜の遠心力バージョン。
夜と言いながら、舞台は闇をイメージできるのですが、役者さん方の服装は白を基調にシンプル。
こちらは雪と言いながらも、服装が黒を基調にちょっとエレガントになっています。
素人的には逆っぽいように感じますが、これが逆に作品を通じて感じ取る夜や雪のイメージを強めるのかもしれません。

ある人形師専属で髪を売る女性のお話。
その女性のところに、人形師の弟子と名乗る女がやってきます。
いつもは人形師自らがやって来るのに。

髪を得るまでの間の2人の奇妙な生活が描かれます。
女性が人形師に恋愛感情を抱いていることもあってか、最初は主人と召使、姑と嫁みたいなちょっと嫌な従属関係を見せます。
女性は、髪を渡すほんの一時の間だけが人形師と心を通わせられる。それまではひたすら待つ人生です。
そのため、いつも人形師の側にいれる弟子に対する嫉妬感をあらわにするのはもっともかもしれません。
そんな中で、弟子が自らの人生を告白します。
人形のように眠ってしまう病気にかかり、両親に迷惑をかけた。
長年の眠りの後、治ったが、眠る前の両親が知っていた頃の性格とは異なっておりだんだんと疎遠になって家を出た。
今は、人形師になって本当の自らの人形を作り、両親にプレゼントするのだと。

さらに、人形師が亡くなったことも伝えます。
弟子がやって来た時からそのことは分かっていたようで、悲しみは隠せませんが覚悟はしていたみたい。
髪を弟子に渡し、弟子は旅立つ。
女性は、また待つ人生を過ごす。でも、そこには以前の悲しい待つではなく、迎えるようなものが感じられる。

人形を通じた女性同士の心の通いを描いた感じかなあ。
細かな心情描写は正直、感じ取れていないところも多いでしょう。自分が男であるということもそれを邪魔しているような気がします。
髪を切るとか、待つとかは女性の大いなる覚悟をイメージし、その中で生きる悲しみと同時に強さを感じさせます。そんな思いの込もった髪、弟子の両親への思いは、人形に心を宿らせるのだと思います。

最初、女性がすごく嫌な表情で。水木たねさん。人の嫉妬が表面に露骨に出たこんな汚い表情するんだあと困惑していましたが、だんだんと見とれてしまいました。
この作品は8割方、この方を見ています。
見慣れたのではなく、多分、徐々に弟子や人形師への思いが整理されて、優しい表情になっていたのだと思います。最後のシーンのほほ笑みはとても美しかった。
弟子はへりくだりでは無く、純粋なけなげさをずっと出しているのですが、後半に入るとその層々たる覚悟に圧倒される姿に変わっていきます。人の心を動かす態度を見事に表現している感じです。北岡悠さん。

<人形の庭 向心力Ver.>
話としては、遠心力Ver.と同じ。多分・・・
演出を変えています。
こちらのVer.は、人形が表情豊か、男がちょっと三枚目、女がおどおどしている。
ちなみに、遠心力Ver.では人形が無表情、男がクール、女が攻撃的みたいな印象です。
これで、向心力と謳う真意を考えなくてはいけないのですが、これがまた・・・
感覚的には、遠心力Ver.では女が男や人形の中に入り込もうとして、弾き飛ばされて悲しむイメージ。まあ、遠心力で寄せ付けないみたいな。
こちらは、女が知らぬうちに男や人形の中に入り込んでしまい、その中で悲しんでいる感じ。これが向心力ということでいいのかな。
ちょっとしたことで、すぐに捉え方が変わってしまう演劇のこういうところは毎度悩まされます。

ちょっと抜けた感じでほんわかした雰囲気の男役、奥田宏人さん。自分に自信が無くて、現況にオロオロした感じの女役、荘司歩美さん。
この二人の絡みは、遠心力Ver.に比べて幼い印象を受け、そこがとかく暗さが続く作品の中で救われるところです。

<愚者の鏡>
はっきり書きますね。
途中で寝ました。申し訳ありません。
もうね、始める前から、頭が限界きてるなあと思ってたんですよ。
言い訳がましいですが、よく健闘したと思いますよ。昔だったら、もっと早くに力尽きてたと思いますので。
こんな時は、笑い、暴力、エロとかを入れてもらえるとまた起きるんですけど、この作品群になかなかそれを求めるのは無理でしょう。言えば、死者の家でちょっとセクシーシーンはあるのですが、これがここにもあれば復帰したんですがね。
(2012年03月05日追記 もう一つのバージョンの記事のコメントにて、ある方がこの作品のあらすじを書いてくださりました。そちらも参照)

先のバージョンの賢者の閨と対比していると思うのですが、こちらは骨董屋の主人が人形であることを理解していません。だから愚者なのかな。同じ役を中野聡さんがされています。
売れるたびに毎回店に戻ってきてしまう人形たち。まさに向心力なのですが、何の力がこの主人にあるのかが分からない。
最初、観始めた時に、先の作品の死者の家とも関連しているのかなとか色々考えてはいたのですが、どうもしっくりこなくて、こうなりました。

次回はこのシリーズ、電話がテーマみたいですね。
う~ん、どうしようかな。
また、頭悩まされに足を運ぼうか・・・

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