少しはみ出て殴られた【MONO】120309
2012年03月09日 ABCホール
この劇団らしいと言えばそうなんだけど、ずいぶん淡々とした感じだったな。
悪く書くと、物足りなさはある。
役者さんの個性的なところをもっと露骨にあらわにしてもらってもよかったなという気がする。
ただ、シュールな話でもあるから、その微妙なバランスが面白味を引き立てているのかもしれないが。
なるほど、確かにこうなるだろうなあという話の展開で、そこに人の愚かな一面が皮肉に描かれていてたくさん苦笑いさせられる。
ある国の刑務所が舞台。
舞台セットは、普通の具象舞台が組まれているが、天井から巨大な土管みたいなものが吊り下げられている。
何だろうか。
オープンプリズンという形をイメージすればいいのだろうか。
まあ、話の展開は刑務所の外の社会情勢と連動するので、閉鎖空間をイメージすると面白味がなくなるのは確か。
マナヒラという国が分割して、マナヒラとヒガシマナヒラという国になる。
そして、マナヒラの中のコチという地域が独立して一つの国になる。
それを巡って、マナヒラとヒガシマナヒラは戦闘態勢になる。
そんな社会情勢の中で、刑務所内の囚人と刑務官が互いの出身を意識し始め、ふざけて境界線を刑務所内に設ける。
そんなちょっとしたおふざけが起因となり、囚人同士はもちろん、刑務官と囚人も緩い関係で、仲良く気ままにやっていた生活が徐々におかしくなる。
その行きつく先は・・・
戦争が起こるメカニズムみたいなものを描いているように感じて帰ったが、こうしてブログを書いているとちょっと頭が混乱している。
境界線で分けたから、刑務所内でこんな戦い合いが起こったのは確かなのだが、先に戦争が起こっているという前提で境界線をはっきりイメージさせたところもある。
鶏と卵みたいに、戦争が先か、分けるのが先かみたいな感じだろうか。
どちらにせよ、人を争わせるには1本の線で十分というところ。それも実存する形で明確にしなくても、想像上の線でいいようだ。
個人レベルでも同じことかな。
私とあなたの間にその線を置くかどうかで関係は決まる。
この作品の囚人同士のように同じ価値観を共有していても、置けば争いは始ってしまう。
線を置く基準は何でもいいし、どちらが置いても関係ない。
人同士が分かり合う関係を築くなんて無理だと思えるようだ。
でも、この作品のラストは、そのことをネガティブには描いていないように感じる。
線で分けられたもの全てを包含する形にして、その線を見えないものにしてしまう。
見えなくなった線は、やがて互いの頭の想像からも取り除かれ、元へと戻っていく。ただそれには時間がかかることも匂わせたような終わり方だ。
そんな人の愚かなところがもろくも感じるが、同時に潜んでいる大きな力も感じられ、人間ってやっぱりいいよなとも思う。
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コメント
こんばんは。
金曜日はどうもありがとうございました♪
ご一緒できて楽しかったです。
お仕事頑張ってくださ~いヽ(゚▽゚*)
投稿: まゆ | 2012年3月11日 (日) 23時13分
>まゆさん
お疲れ様。
遅くまでごめんね。
また、メールします。
というか、これ書き終えたら、すぐに。
また、面白そうなのあったら、観に行きましょう。
投稿: SAISEI | 2012年3月12日 (月) 20時54分