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2012年3月11日 (日)

DOG★STAR【斬撃☆ニトロ】120310

2012年03月10日 ロクソドンタブラック

作・演がchihiroさん。う~ん、覚えている限りでは、3年前に亀井伸一郎さんと一緒に企画公演されたのでは。
その時、けっこう面白くて、カメハウスも観るようになったんだったかな。
ここは3回目公演みたいだけど、なぜかずっとノーマークだった。
観終えた今、非常に残念だ。観逃していたことが。

一人の少女の成長物語。
結局、色々なことから逃げていた少女が、おかしなワンコロ達と一緒に過ごすことによって、新たな一歩を踏み出す。
よくありがちな設定だが、おかしな犬の世界で楽しく明るく話を展開し、さらに極上のパフォーマンスでそれを盛り上げている。
エンターテイメント作品と言えばそれまでだが、そのレベルは高い。

少女が一匹の犬を拾ってくるところから話はスタート。
少女はなぜか犬と会話をすることができ、犬の世界に入り込む。

犬の世界は3つのグループに分かれている。
拾われた犬が所属するやくざ気取りの組、ナルシストがトップに立つ中性的なグループ、飼い犬連盟。
その3つのグループの頂点に今は引退した身の長老。
グループ間では勢力争いが絶えない。
さらに犬たちが過ごす河川敷では工事が計画され、日々、保健所の人が犬たちを捕まえにやってくる。保健所から逃げ出した小犬がやってきてからはさらにそれがひどくなる。
人間は自分勝手だ、信用できない。それは野良犬はもちろん、飼い犬連盟の者たちでさえ、捨てられるという行為をしてこられ、そう思っている。

犬たちは、少女をその勢力争い、人間への対抗に利用しようとする。
そんな中で生まれる人と犬の絆。
そこで、自らを見つめなおす少女。
自分は勝手なのか、逃げているのか、何から逃げている、居場所を探しているのか・・・
そんなことの答えが分かった時、犬と少女はやってやれないことはない精神で逃げることなく、相手に立ち向かっていく。

まあ、書いておいてこんなこと言うのはなんだけど、ちょっと違うんだけどニュアンスはこんな感じ。

人間は少女と保健所の人だけ。あと、少女のお母さんがちょっと出てくる。
少女は平田真希さん。名前はなぜか存じていたが、たぶん初見だと思う。純粋過ぎてちょっとおバカに見える感じ。でも、そのかよわき心を痛めながらも頑張って生きている感が出ている。悩みもいっぱい、逃げたいことだっていっぱいあるけど、精一杯頑張っている。そんな女の子だからこそ、純粋な気持ちが犬たちの心を動かしたというところを理解しやすくしている。
保健所の人はchihiroさん。サイボーグみたいな演技だったなあ。最後の最後までその演技は崩さず。実は家を出た少女の父親で、少女の気持ちにこたえて優しく接するかと思えば、鉄仮面は脱がない。このあたりは、わざと安易に描かないようにしたのかな。いつの日か少女とまた通じ合う姿が思い浮かべることはできるのだが、もう少しそれをイメージしやすい終わり方もよかったかな。

後は全部犬。一匹だけ猫がいるか。
拾われた犬が大熊隆太郎さん(劇団壱劇屋)。表情やら動きやら完璧だな。パフォーマンスといえば、壱劇屋。その筆頭の方。今回も質の高いものを見せてもらう。

やくざ組のトップ、北山貴晴さん(劇団ペーさん’s13)。貫禄あり。執拗なまでにマフィアスタイルを徹底する姿は笑いを誘う。こちらより、大体の人は少女のお母さん役の方が印象に残ってしまっているのでは。
その部下が星村彰さん(演劇集団kuttyZsam)、宮本将吾さん(劇団うんこなまず)。
星村さんは星屑企画とやらで拝見したことがあるような。武闘派バリバリの役。背も高いし、何か真に迫ってて怖いな。
宮本さんはたぶん初見。この前、何かのプロデュースされてた時に時間が合わず観に行けなかったのは覚えている。拾われた犬と友達の役。どっちつかず状態がもどかしいながらも、最後に友を選ぶ。いい人っぽい感じで、ちょこちょこ拾われた犬や少女を手助けする姿が安堵感を呼ぶ。

ナルシストグループのトップ、今西刑事(人造演劇ユカイダー)。濃い。まあそういうキャラなんだけど、何か見てていてお腹いっぱいになる。
その部下、伊藤由樹さん(工房黒猫ハグルマ)、ばんち。さん(演劇集団kuttyZsam)。
伊藤さんも濃い。これも同じ理由なんだけどね。
ばんち。さんは二人が強烈過ぎて普通に見える。かわいらしい感じだしね。歌のシーンか。けっこう思いっ切りのいい笑いの取り方をする。

飼い犬連盟のトップ、梶原くみさん(エニシダワゴン)。いつもはもっと男前っぽい役が多くなかったかな。今回はマダムみたいな感じ。踊りはセクシーです。そして、捨て犬になることへの恐怖をほのめかすシーンでは、独特のキャラから一瞬不安な表情になるところにちょっとぐっとくる。
その部下、土屋甫さん(ether-browser)、にしのあずさん。
土屋さんはマクベスで拝見している。やっぱりちょっと狂気をにおわす雰囲気が出てる。
にしのさんは昔、カメハウスで拝見した覚えがある。かわいらしくセクシーからの柄の悪さへの変換は、まあ笑いのセオリーだな。この方に限らず、基本的に女優さん演じる犬はみんなかわいらしかった。

長老は竹村晋太朗さん(劇団壱劇屋)。見事にはまっていたけど。そして仙人のような感じでのアクションも。さすが、鍛練を積まれているだけあって、動きが人一倍しっかりしているのが素人でも何となく分かる。

小犬、安達綾子さん(劇団壱劇屋)。ちょっと意外な感じがして。小柄な外観から少年役とかはまりそうだけど、あんまり拝見したことないような気がする。だから、ぼく・・・とかしゃべるのを聞いていて、不思議な感じがした。かなりはまっていて、少年らしいというか小犬らしいかわいらしさが出ている。

猫、井上摩美さん。少女の心の中に住む幻影みたいなものをイメージすればいいのかな。少女が新たな一歩を踏み出したら消えていったところから考えても。まったく無表情、むしろ少女を追い詰めるような感じだったところから、最後にちょこっと笑って消えていくところで全部持っていかれた。

まあ、明るく楽しくだな。完全な妄想ワールドだけど、とても楽しい世界だ。

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