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2012年3月11日 (日)

阿国神舞【劇創ト社 de ネクタルグン】120310

2012年03月10日 インディペンデントシアター1st

あ~、もう痺れて鳥肌立つわ。
最初は美しい踊り子の姿に。そして、後半は人の大切な思いを形にしようと奮闘する男の姿に。
美しいわ、かっこいいわで、観るの忙しかったなあ。
どこ見ても、そこには美しい人かかっこいい人がいるんだもの。何でしょうね。こうまで、この人凄いなあみたいな方ばかりたくさんずっと見せられると、だんだん腹立ってくるんですよね。
もう、いいよ、普通の人、どこ行ったんだよって感じです。
感動のメーターが振り切れると、何かよく分からなくなるみたいですよ。

出雲大社の巫女頭まで務めた伝説の踊り子、出雲の阿国。
身分差のためにかなわぬ恋に破れ、出雲から追われる。
今は、一緒に出雲から逃げてきた忍びの者と、京で色事も兼ねた踊りを見せる一座に身を寄せている。
一座には阿国を崇拝する若い踊り子の姿も。

そんな中、阿国は出雲で愛した男とそっくりの男と出会う。小間物屋の主人だ。
その人と打ち解け合ううちに、阿国は踊りの本当の楽しさを思い出し、最高の踊りを作り出していく。
そんな見事な踊りに目を付けたある一座の長は、大阪に阿国を中心に新たな座を作り、そこで踊り子が色事に身を染めることなしに純粋に踊りを楽しめるような計画を描き始める。

事は着々と進むかと思われたが、出雲からの忍びの追手が迫っていた。
運命なのか。出雲を怒らせて、踊りはできない。
踊りを捨てようとする阿国の下に、その踊りへの大切な想いを信じて、必ず何とかしようと奮闘する男たちが集結する。

ざっくりした流れはこんな感じ。

始まりは阿国の舞から。
阿国は田所草子さん(NECTAR-GUN)。失礼ながら、こんなに美しい人だったかな。表情も豊かで、とにかくその舞をはじめ、振る舞いが美しい。最初、拝見した時、あ~、これは今日は8割方、この人観るなと思いましたが、これが意外なことに裏切られる。上述したように、この方に匹敵するほどの美しさやかっこよさを持った役者さん方ばかりがそろっていたのです。

その阿国が出雲で恋する男がTETSUYAさん(Bugs Under Groove)。ダンサーさんかなあ。まあ、踊りのしなやかなこと。踊ってるだけで、阿国と愛し合っていることを表現してしまうんですね。好きとか、愛しているとか言葉なんか全然いらない。

一座で阿国を崇拝する踊り子が山根千佳さん(TAKE IT EASY!)。今回はかわいらしいが表すのに一番近い言葉かな。純粋に踊りを愛し、阿国を愛する。踊り子の宿命を知りつつも、やはり好きな踊りから離れることはできない。その屈託のない少女のような笑顔が印象的。

小間物屋の主人、木内義一さん(テノヒラサイズ)。この方がめちゃくちゃかっこいい。阿国に本当の踊りの楽しさを教えます。それまでは、職人気質で誰も寄せ付けないみたいな雰囲気を漂わせていたのに、心が通じ合ううちに優しい微笑みも見せ始める。このあたりの表情がまたいい。そして、最後は阿国の想いの下で、出雲の追手を犠牲覚悟で引き受ける男の姿。役どころとはいえ、このダンディズム。最高ですな。踊ったりしない方だと思ってたので、踊りだした時びっくりした。

阿国と一緒に出雲を出た忍び、永井悠造さん(隕石少年トースター)。前半、ひょうきんにちょっと頼りない感じだったのが、後半に向かって阿国とともにその想いを形にする覚悟をします。色々な隠し事をしており、その葛藤の中で実は苦しんでいたことが後の方で分かるので、その時に前半、明るく振舞っていたのが実は大変だったのだろうという気持ちになり、後半のその覚悟が非常に大きいものに見えてきます。踊りは得意中の得意なはずなのに、あんまり踊らなかった。むしろ殺陣でご活躍。

新しい座を作ろうとする長が、湯浅崇さん(テノヒラサイズ)。この方も、後半に向けて阿国のためにひと肌脱ぐ覚悟をする。前半はいつもの面白い小ネタをポロポロはさみながら、三枚目キャラにしておきながら、後半は頭の回転の速い策略家ぶりを見せるのでそのギャップが目を引く。最後に出雲からの追手にすごむシーンがあるのだが、その迫力がちょっと凄い。声が大きいのもあるのだが、いつものお姿からは想像できない凄味が出ており、少しびびる。

出雲からの追手の忍、菊池祐太さん。ある意味で、一番目を引いた役者さん。まあ、悪魔に魂を売ったかのような冷徹ぶり。裏切り者は容赦なく始末する冷淡さ、どこまでも狙い続ける蛇のような執着ぶり、まさに忍の世界。カムイ伝みたいな感じかな。その表情がすごい。ニヤリと笑ったりするとぞっとする。相手をとらえて逃がさないような視線の送り方など、その不気味な恐怖のオーラはすさまじいものがあった。

照明効果とかもあるのだろうが、ラストも美しかったなあ。
ハッピーエンドの中に見えるこれから先への決意。凛とした阿国の表情がそれを写し出している。

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コメント

SAISEIさんへ すっかり御礼が遅くなりました ご来場ありがとうございました。ご観劇、ブログも続いておられて 日々の楽しみにさせて頂いています。SAISEIさんのブログを通して 舞台への想い蓄え、公演へと邁進していきたいと思います。

投稿: ほこき | 2012年3月21日 (水) 18時29分

>ほこきさん

ご無沙汰してます。

バタバタしてるのですが、観劇はまだまだ頑張って継続してますよ。
ただいま、ゲキバカDVDを鑑賞し始めたところ。
また、感想書きます。

次はサザンシアターですかね。
リンクスもそろそろ本格化して忙しくなりそうですね。
お体に気をつけて下さい。
また、劇場でお会いしましょう。

投稿: SAISEI | 2012年3月21日 (水) 19時17分

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