人質になった人たちⓇ Cast B【カンセイの法則】120330
2012年03月30日 芸術創造館
どうもしっくりこなかったので再観劇。
(Cast Aの感想:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/cast-a120329-e6.html#more)
再観劇して思いましたが、これ多分、後述しますが、しっくりこないのは私の個人的な理由だと思います。
よくよく観てみるとなかなか笑えるところがたくさんあります。
それとやはりうまく演出されています。
観れば分かりますが、演劇らしい犯人と人質の勘違いによる混乱や劇中劇になるのかどうかは知りませんが、
景色として見せておいて、後からどんなものだったか見せるとか、音楽で客を洗脳しておいて、この音楽がかかればこの方が登場みたいにスムーズにシーンを展開するようにしてあったり、定番の面白演出があって、巧妙さがしっかりと感じられる作品です。
ただ、2回見て感じるのはなぜか客席が固いです。
だから、あんまり笑いが大きく爆発しませんし、起承転結のはっきりした素直な作品をかしこまって見ているような状態ですね。
これは人のせいにして何ですが、舞台側の方々にも問題があるのではないでしょうか。もしかしたら、ワークショップ公演と名打ってるし、緊張してるのかな。その緊迫感がこちらにも伝わっているのかもしれません。
私が拝見したのは初日と2日目。初日よりは2日目の方が格段と良かったように感覚的に思います。
だから、きっと最終日あたりにはかなりの出来に仕上がってくると思うのです。
もう私は他公演の観劇日程が詰まっており、観れませんので、是非、最高に仕上がったこの作品を観てみてください。
ダブルキャストなので、全役が違う人になります。
キャラは引き継がれると思いきや、ここも変えている役もあります。
例えば犯人グループはAでは、頼りないダメ男リーダー、暗いダメ女、ダメなデブキャラですが、Bではダメは引き継がれるものの、自信のないダメ女リーダー、臆病でオタクっぽいダメ男、ダメな田舎者キャラです。
劇団はAでは全員ヤンキー上がりっぽいですが、Bではちょっとその上のヤクザと情婦みたいなキャラになっている者もいます。そのため、他の者が舎弟といった感じで、より上下関係が厳しい姿が映し出されています。
Aでの刑事はちょっと若い、まだがむしゃらな現場主義ですが、Bでは現場の酸いも甘いも知り尽くしたベテラン刑事のオーラが出ています。
どちらがいいとかはありませんが、役者さんの持ち味を活かした形になっているようです
個人的にはBのキャラ設定の方がしっくりきたようには思います。
この作品の魅力の一つに、こうしてキャラを少々変えても、本質は同じように見えてくるところがあるかもしれません。
Aの感想で記しましたが、先入観や初めからダメだと思っていては何も出来ない。それは、単に何か行動を起こす時のことだけでなく、人との関係を作る時もそうである。
ちょっとした壁を破って分かり合えば、それが互いの自信にもつながり、よりいい人生を過ごせる。
私はそんな風にとらえています。
で、Aを拝見して、どこかしっくりこないところがあったのがここですわ。これはBを見ても解消されませんでした。逆にBを拝見して分かりました。
自分でも気づきませんでしたが、今回、拝見してけっこう面白いのに何が気に食わなかったのかなあなんて思って観ていましたが、最後の方が個人的に気に入らないだけみたいです。
先日の感想で、最後、みんな分かり合えたみたいな書き方をしていますが、実は前科者集まる劇団グループと現場刑事グループは理解しあえていません。
ずっと楽な生き方して、楽しい放題しておいて、いまさら劇団とか言って人前で日の目を見ようとすることを否定する刑事。
あんたらはかしこく真面目に生きてきたのだろうけど、自分たちだってそれなりに生きてきて応援してくれる人もいるんだと反論する劇団。
これに似た経験ってありませんか。
住む世界、いや住んできた世界が違うという理由だけで、お互い相容れない。
こちらが分かろうとしても拒絶するから、もう手に負えない。この作品では刑事が否定してしまっていますが、仮に刑事が劇団を認めても、きっと分かり合えないのが現実だと思うのです。
みんなに認めて欲しい、自分たちはもう一緒の世界に住んでいるのにそれを邪険に扱われる。劇団の言い分でしょうが、この方たちは前科者という価値観を共有しやすいグループでいまだ生きようとしています。しかも、犯人が前科者になりますので、その人には同調して仲間に入れる意思を示す。
壁を破っているようには私は思えないのです。これでは、この先もずっと前科者という壁の中だけで生きていくことになるのではないかな。
そんな時ってこちらも悪いかな。壁があるから、どうやったって踏み込めない。
こちらが壁を解放していないかな。してるつもりだけどしてないんだろうな。この作品では警視正はその壁が初めから無いような方で、この方は最後、劇団とも分かり合っているからそうなのかもしれない。
それぐらいの大きな人じゃないと無理なんだったら、分かり合うなんて本当に普通の人にとっては難しい。
まあ、個人的な経験から、何となく感じたことです。
うん。例えば、水商売の中で生きてきた女性に真剣に惚れて、結婚まで考えてうまく行かないなんてことかな。例えばね、例えば。
何か胸がモヤモヤしていますが。
まあ、そんなことでマイナス要因はそのあたりにあるんだろうなってこと。完全に個人的な理由ですね。
作品自体はうまくまとまった面白いものでした。
役者さんも、個性を活かした魅力を引き立たせています。
ピン子ネタのくだりなんか、ちょっと笑い、我慢できなかった。
で、一番良かったのは、お気に入り女優さんのナース姿が見れたということはあまりにも程度の低い感想か・・・
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コメント
残念ながら時間が押してしまって観劇予定していたのですが間に合いませんでした(^^;;
残念です…
サイセイさんの感想を観て妄想を膨らまします♪
次回は観に行きたいと思います!
投稿: TAKU | 2012年4月 2日 (月) 20時20分
>TAKUさん
Twitterを見て、無理だったみたいだなあと思ってました。
残念でしたね。
場所がちょっと離れてるからなあ。
私は職場が近いので、逆に隙間を見つけてすぐ観に行けるという利点があるところなのですが。
カンセイ、10デシと色々なところで拝見できる役者さん方なので、また私も足を運ぼうと思っています。
投稿: SAISEI | 2012年4月 3日 (火) 08時40分