ミミズ50匹【京都ロマンポップ さかあがりハリケーン】120302
2012年03月02日 ART COMPLEX 1928
とんでもない作品だったなあ。
さかあがりハリケーンは2年前の12月に拝見していますが、あの時と同じ不思議世界へと引き込まれる。
前回は90分だったが、今回は約120分。
観終えた後、あまりにも不思議過ぎて、人格壊れそうになるんだよなあ。現実世界に生きていることを忘れてしまうというか。
だから、このくらいが正常人にとっては限界かな。
しかし、馬鹿げたお話だ。
これをばか騒ぎでやっているわけでもなく、真面目にやっているわけでもない。
この頃あいのいい雰囲気が、とても心地よい。
(以下、ネタバレ注意。まあ、若干なのと、ネタバレしてどうこうという作品ではないので、白字にはしません。公演は、本日、土曜日まで。なぜか日曜日は無いのでむしろそちらを注意。)
あの戦国大名の今川氏真の壮大なドラマだ。
父、義元の死後、元々、器がなかったのか、同盟国の大名、家臣、農民から反発をくらって、3年で没落。
ただの無職になったウジザネは、いいとこ出身の浪費家の妻、戦国大名を目指す子供の学費のために、働かないといけない。
でも、所詮は単なる戦国大名。
偉そうにしているのが災いして、ローソンでバイトしてもすぐ首、ハローワークに行っても職など見つからない。
唯一特異な蹴鞠で一人さみしく時間を潰すだけ。
前半は、この哀れなウジザネの設定を面白おかしく描いている。
ウジザネは高間響さん(笑の内閣)。
今まで拝見したことのない一人語りシーンをまじえながら、その悲しい姿を浮かび上がらせる。
鳴り響く音楽に合わせた口調の変化、戦国大名といえども単なる普通の人。運命に迷走する困惑した姿、虚勢を張っても多勢に屈服する哀愁漂う姿、この作品のウジザネ像を創り上げる。
ご自身も劇団の総裁と名乗るだけに、同じように没落したら、こんな悲しい姿になるのかなあといった見方はちょっと悪意的かな。
妻役の浅田麻衣さんの妖艶で冷淡な表情や振る舞いが、ウジザネの悲惨な状況の想像をさらに高める。
そんな中、出会った一人の人物。
サッカー界の有名人。名前は当日チラシにも書いていないので避けた方がいいのかな。
ウジザネの蹴鞠の能力に目をつけて、セリエAを目指させる。
抵抗するウジザネを屈服させるために、妻と子供を誘拐して、先にイタリアへ送り込む。
後を追うウジザネ。
イタリアへ向かう船の旅。
ここからは、もうめちゃくちゃ。
まともにあらすじを書くと、気がおかしくなったと思われるので辞めておく。
海賊、メス豚選手権、帝主催の蹴鞠大会・・・ 後から自分が思い出すためのキーワードだけ記載する。
ここでは沢大洋さんが活躍する。海賊の船長、選手権の司会、大会のウジザネの最大のライバル。
どれも個性的で迫力あるテンションで笑いをさらわれていた。
途中、海賊にさらわれた母娘の母を海賊の船長指令でウジザネが殺すシーンがある。その後、娘は奴隷として売られるのだが、その主人がとてもいい人で、この人なら母を亡くした娘も幸せに生きれるだろうなというところ。ウジザネはどんな表情をしているのか観てみたら、とても優しい表情をされていた。今まで拝見した中では思いもしない表情だったので少しびっくり。
あらすじを書いていないので分かりにくいが、さらに、その娘は、自分の幸せより、母のプライドを重視して自決する。その時の、ウジザネのぶつけようのない困惑した悲しみや怒りの表情も見ものである。自らも戦国大名の拭い去れない誇りの中で必死に生きていることを考えると、この娘の取った行動は、自らを映した、いや自らは取れない行動だったかもしれず、その複雑な心情が綺麗に表現されている。
このあたりは、この作品を単なるばか騒ぎ作品としては捉えられなくするものである。
キャストが非常に多く、家臣、農民、海賊など多人数役は全て、ある軍団みたいなものを形成した役者陣が対応している。
けっこうな迫力である。
ところどころに小ネタも挟むし、天丼というのかな。何回もネタを繰り返すやつ。これが関連する同一シーンの中で多用される。受けようと、受けまいと多用する。
しつこいまでに笑いを求めてくる姿は、嫌になりそうだが、不思議と心地よい。
全キャストの中で一番目を引いた役者さん。玉一祐樹美さん。
これまでも多分拝見はしており、名前だけは覚えているが、今回は存在感があった。
ウジザネの子供、ハローワーク職員、上記した自決する娘などを演じられるのだが、どれも明確なキャラ作りがなされており、見事なものだと感じる。声がとても綺麗でよく通るのも好印象だ。
面白いのだが、疲れる。虚構過ぎて、頭が混乱する。
それだけ、なぜか気を緩ませることなく観ているということなのだろう。
次回はいつだったかな。終わって安心して聞き逃した。
大阪のどこかでコントをされるようなことを言われていた気がする。
情報入れば、多分、観に行くだろう。
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