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2012年3月21日 (水)

32年生の8時間目【空晴】120320

2012年03月20日 ウィングフィールド

いつにも増してうまく出来ている話。
観る者を巧みに騙し、話の正体をなかなか掴まさない。
なるほど、こういうことかと思って観てたら、それを平気で裏切ってくる。
いつの間にかのめりこんでしまうような展開が絶妙。

前半で散りばめた伏線の後半での回収が気持ちいい。
感心しながら観ていて、最後にその心温まる人の触れ合いに感動させられる。
この劇団ならではの職人技である。

(以下、ネタバレ注意。あらすじは詳細には記していませんが、大事なところを完全にネタばらししてしまっているので本当にご注意ください。大阪での公演は27日まで。その後、4月下旬に博多。公演期間が長いので、忘れてしまうので白字にはしていません)

舞台は小学校6年生の同窓会。
いまや38歳になった生徒たちが、ドタバタしながら話を進める。
小学校6年生の学校生活。
優しく面白い先生がいて、毎日、くだらないことで楽しんでいた。
当時、変なあだ名をつけたり、デリカシーのない言葉で平気で人を傷つける奴がいた。
6年生の3学期に転校した男は、そいつに恨みを持つ一人。
同窓生に連絡をとり、そいつにちょっとイタズラをしてやろうとドッキリをしかける。

連れてきた同窓生じゃない大学の友達やたまたまその場にいた謎の少年を巻き込んで計画は実行されるが、なかなかうまく事は運ばず、事態はぐちゃぐちゃになっていく。
そんな中、病気で入院しているという先生が現れる。

後はDVDが販売されるので、そちらで確認しましょう。

話の進行とともに、先生と生徒、そして生徒同士の絆が浮かび上がってきます。
それは誰しもが経験するような、幼き頃のちょっとしたことでのわだかまりが溶けていくような感じで、また、自分もこんな感じであいつに会えたらなあなんて思うかもしれません。
さらに、謎の少年は実は先生の息子。
教師である母親への反発心がこの事件に巻き込まれることによって薄れ、母への想い、同時に先生としての敬意に変わっていく様が描かれています。また、その子には亡くなった教師を目指していた兄がおり、それに対しても、単に兄の代わりではなく、自分も母親のような教師になりたいと思えるようになった成長へともつながっています。

ドッキリをしかけられる男は、当時はわんぱくで好き放題だったようですが、大人になってからはあまりうまくいっていないようです。
この同窓会でも、自殺をほのめかしていたようなところが見受けられます。
そんな男も、先生の言葉、同級生と過ごした日々を思い起こすことにより、また新たに一歩踏み出そうとしています。

過去を振り返ってばかりではいけないでしょうが、それにより、自分が決して一人ではないことを感じられて、そこから勇気を得れるならそんな時間も必要かもしれません。
自分には家族がいる。大人になったら忘れてしまいがちですが、自分に影響を良かれ悪かれ与えた先生がいる。色々な事情でもう会って話すことがし難い人もいますが、何よりもかけがえのない友達がいる。
自分の今、生きている姿は単なる知識や技術という経験が蓄積されたものだけではなく、そこに人との関わり合いがあったこと。そして、それはとても心地いいものであることを思い出すような作品でした。

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