« DOG★STAR【斬撃☆ニトロ】120310 | トップページ | 熱闘!! 飛龍小学校☆パワード【演劇グループSomething】120311 »

2012年3月12日 (月)

地中【実践!演劇プロデューサーへの道2011】120311

2012年03月11日 神戸アートビレッジセンター・KAVCホール

正直なところを書くと、観終えてふ~んといった感じで心にはあまり響かなかった。
単に、なるほど確かにそうだなあと思うくらいで、そこから人やら生やら絆やら親近感やら作品の本質を感じ取り、心揺さぶられるところまでいかなかった。

震災をはじめ、今の社会の中で、人とのつながりの大切さを再認識させるような作品は昨年からかなりの数を拝見している。
直接的に熱く描いたり、レポのように淡々と現実を描いたり、抽象的で漠然としているが何か感じるように出来ていたりと、色々な形の表現でそれを伝えているが、共通して感じるのは希望の光のようなもの。
どんな状況でも生きていく、生きていくしかない人の姿に未来への希望を強く想い、人であることの誇りを感じさせるものである。

この作品も同様のことが描かれているような気はするのだが、どうも自分の中でそこまでたどり着かない。
生きている人がある地にいる。その地に歴史あり。そこに確かに生があった。それは地中で地層のように埋もれている。今の生きている自分の存在の中に見える積み重なった生。
ここまでは感じる。
そこから、つながりや多くの人の間にいる自分という気持ちにまでに至らない。
想像力不足だろうか・・・

荒野にいる男と女。
ここに住もうとしているようだ。
荒れた地を更地にして、そこに家が建て始められるのだろう。

地上の世界だ。
何もない地。機能を失いただそびえたつ鉄塔。どこからか聞こえる海の音。
解釈は好きにできるが、公演された日からもどうしても、震災のイメージと直結する。
未来のあの地かもしれない。
長い時が経ち、ようやく人がその地に戻ってきたみたいだ。

シーンは次々に切り替わる。
大きく3つ。
黒い兵隊蟻と白い兵隊蟻の戦いの場。戦いの理由はよく分からない。色が違うだけで、相容れない関係。多くの争いと同じで、理由などそんなものかもしれない。
食卓を囲む家族。誰かを待っている。待っている人は全員老いている。老いて死を迎えて始めて取り戻す家族の絆。生きている間にはそれが出来なかったようなつながりを失い始めた時代か。
図書館で背中合わせで埋まった少年と少女。互いに顔を見ることなく、背中だけの触れ合いの下で会話をしながら死を待つ二人。

地中の世界。
地上のある空間のその下に、地層のように埋もれた生の世界が描かれる。
輪廻を思わすような部分もあり、深く潜った生の姿を掘り起こすことで、地上での新たな生の始まりを感じることはできる。

全てのシーンにおいて、各々の役以外の人は人影というものになり、心情、情景描写のようなものを行う。
役者さんが舞台から一度もはけずに、こういった形で機能させるというのはよく見かける演出だが、この作品にはそれがとてもよく似合う気がする。
その地にある、あった生の姿がその人影という形で見えてくる。
同一空間に存在する一つの生の中に潜む数多くの生。
一人じゃないんだなみたいなことは思うのだが、どうもそれ以上の想像へと発展できないところが残念だ。
たぶん、こちらが観る時期やスタンスを変えないと、今、何回観ても同じだろう。
恐らくはあったであろう各シーンでの言葉のつながりなど細かなところには気づくだろうが。
時間を置いて、また観てみたい作品である。
こういった作品を本来は再演するべきなのだと思う。

|

« DOG★STAR【斬撃☆ニトロ】120310 | トップページ | 熱闘!! 飛龍小学校☆パワード【演劇グループSomething】120311 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 地中【実践!演劇プロデューサーへの道2011】120311:

« DOG★STAR【斬撃☆ニトロ】120310 | トップページ | 熱闘!! 飛龍小学校☆パワード【演劇グループSomething】120311 »