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2012年3月30日 (金)

居酒屋幽霊【楽狂プロデュース】120329

2012年03月29日 スタジオガリバー

いつもよく行く一心寺シアター倶楽の近くにこんな劇場もあったんだあ。
雰囲気は昭和大衆演劇の芝居小屋みたい。
最前列はもう舞台に足を踏み入れているような感じだったので、2列目に座りましたが、それでも役者さん目の前とかいうレベルじゃありません。
迫力と言えば迫力ですが、何かこちらが恥ずかしくなっちゃう。

さて、感想ですが、これがかなりの面白さでした。
相関が徐々につながっていく話自体の面白さはもちろんですが、こんな劇場ですから、役者さんの個性的な演技が存分に楽しめます。
それにしっかり対応できる癖のある面白役者さんが勢ぞろい。それも老若男女揃えているところがイキなところです。

舞台は中年男性の経営する居酒屋。一人やもめみたいです。
今日もスポーツ新聞を読みながら、世間様で起こっている色々な事件を何とはなしにチェックしています。
そんなところに、突然現れる父親。
父親はもう20年前に、自転車に乗っているところを犬に吠えられてびびって溝にはまって死ぬというあまりにも情けない死に方をしてこの世にいないはず。
そう、幽霊になって戻ってきたのです。

少々柄の悪い若いバイト娘、運の悪い常連の客、人形を大切に持っている記憶喪失の男、その男を探している謎の女、いかがわしい自称降霊者を名乗る男。
こんな人たちが絡み合いながら、話が展開していきます。

その展開具合は、決して難しくは無いのですが図解しないとややこしいので省略。説明する自信ありません。
まあ、幽霊定番の見える人、見えない人によるスレ違いや意表を突く登場人物の相関を明らかにしながら、面白おかしく話を進めています。
一応、女は強いみたいなテーマがあるようですが、そんなことどうでもいいよというぐらいに、楽しければいいじゃんとばかりに居酒屋でのドタバタが繰り広げられます。

居酒屋の店主、辻登志夫さん(tsujitsumaぷろでゅー~す)。
突然の父の来訪にアタフタしたり、気の強いバイト娘にやりこめられていたり、困っている男の力になる優しい姿を見せたりとまあ、忙しい。
女優とは一風変わった男優ならではの七変化でしょうか。味があるなんて言い方すると、その魅力が十分に伝わらないかもしれませんが、かなり魅力的な方です。

バイト娘、家ノ上美春さん(テノヒラサイズ)。
まあ、柄悪い。今どきの女の子なんでしょうが、近づきたくない感じですな。と言いながらも、この作品では店主は手を出したりしているのですが。
自劇団の公演で拝見するときは、大御所級役者さんに囲まれて、猫でもかぶっているのかおとなしく清楚な感じですが、これまで拝見した客演2本では思いっきりのいい演技を見せてくれています。
あ~言えばこう言う、反論する余地ないくらいに男を追い詰めていく女性特有の会話の間合いがうまい。多分、演技じゃなくて地なんだろうが。

運の悪い客、ことぶきつかささん。
面白いの一言ですな。何もしてなくても面白味をだしてしまうそのオーラ。
シーン切り替えで降霊者とちょっとしたコントみたいなシーンを演じられるのですが、そのオチが必ず、情けない自虐的な表情で終わらせる。これが最高に面白くて、また間近で見てしまったので思わず吹き出してしまった。
情けない男のすべてを出し切る演技は見事です。

記憶喪失の男、大澤真也さん。
かっこいいし、面白いしで本当に魅力的な役者さん。
ご自分がかっこいいことを絶対意識しており、それを巧みに利用したギャップ笑いをどんどんぶつけてこられます。真面目な顔して面白いことをすれば、より一層面白くなるという原理です。
何をしても憎めない感じ。それを証明するかのように、この作品では殺人を犯していますが、悪い人とは思えない感じで飄々と振る舞います。

男を追う女、皷美佳さん(劇団 MAKE UP GIRL)。
謎の女ですが、本当に謎めいている。この方も綺麗な顔立ちを利用して、そこからは想像できない会話・行動でのギャップ笑いを誘う。最後は卑怯な笑いをさらっていかれます。

父親の幽霊、山本拓平さん(極東第四次産業)。
軽薄な男を演じられます。その軽さ具合がこの作品を楽しくさせているのですが。他の役者さんにも同様のシーンがあるのですが、一人妄想芝居みたいなものを演じるところがあります。この客の掴み方が貫録です。

降霊者、清原正次さん(劇団 大阪)。
びっくりするくらいいかがわしい。演劇経験48年と当日チラシに書いてあったから、けっこうなお歳なはず。その割には、声がしっかりされているし、動きも細かなところでちょこちょこ動かれていて機敏。元気いっぱいって感じです。いわゆるコテコテのボケみたいなオーラです。

楽しい作品でした。
そして、この劇場にとてもマッチした作品だったように思います。

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