さかな【太子堂事務所】120324
2012年03月24日 シアトリカル應典院
う~ん、う~ん、何で、何で。
ちょっと・・・
(以下、私のこの作品に対するちょっとしたこだわりからきた感想になっています。日曜日まで公演があり、誤解を招くといけないので、終了まで白字にします)
2010年にこの作品を芸術創造館で拝見しています。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/100411-13a3.html)
すごく印象に残っている作品で、2年経った今でも、いい作品を幾つか挙げてと言われれば、この作品を挙げると思います。
最後がすごくいいんです。
サトラレであることを、女性に告白します。普通だったら、もう避けられてしまい、縁が切れてしまう。
主人公はそんな人とばかり、これまで出会ってきており、友人も数少ない。
でも、この女性は、そんな人の心を読めることを気にするどころか、かっこいいと言って、私の心を読んでみてと遊びながら彼とじゃれあいます。
ベッドに寝転がってSEXを思ったり、水槽の中の魚を見て食べようと思ったり。
それに対して、男はツッコミながらの暗転で終わり。
そんな人と出会っていたことに、とまどいながらも、ちょっと照れたように彼女の遊びにツッコミを入れる男と純粋に人を思える彼女の無邪気な姿が、音楽とともに軽快に演じられ、幕が閉じます。
少し、尻切れトンボっぽいところがあるのですが、ようやく訪れるであろう彼のこれからを思うととても幸せな気持ちになるのです。
が、今回、ラストがほとんどカットされています。
女性がかっこいいと言った後、それで暗転。
これでは本当に尻切れトンボに思えます。
再演があることが分かった時から、ずっと、またラストシーンを見て、幸せな気持ちになろうと、楽しみに楽しみにしていた公演だったのですが・・・
残念、極まりない。ショックでした。
何であそこをカットしなくてはいけないのか。
作品構成にケチをつけるのは素人考えでいいことだとはないことは分かっていますが、それだったら途中、もっと削ってもよさそうなところがあるのではないか。それに公演時間は100分。5分、伸ばせばあのシーンが出来るじゃないか・・・
自分に自信が持てない様を見事に演じられていた田辺学さんと天然で無邪気な女性の雰囲気を醸し出す桝寛七月子さんのコンビがとてもはまっていただけに、さらに残念。
2010年に拝見したときは、水槽に関して何も考えずに見ていました。
さすがに、あれからたくさんの作品を観たので、それに意味があることもようやく分かった気がします。
さかなは男、水槽は部屋と考えていいのかな。
大きな舞台設定の中に、同様の空間を小さく存在させる。
決められた時間に適量のえさを与え、水温もしっかり管理されているような環境でしか生きられない熱帯魚。自分のことを理解できる数少ない人たちに守られていないと生きていられない男。閉鎖的な水槽と、隣人や地縛霊、限られた友人しか出入りしない部屋は、似た空間に思えます。
そこから、外の世界に男が旅立つきっかけが、外からたまたま入ってきた女泥棒だったということでしょう。
ラストは大海に男はその女とともに泳いでいくだろうということを匂わせます。
途中、遠洋漁業なんかの話も出てきますが、そのあたりも大海をイメージさせる伏線になっていたのかもしれません。
そんないい話だからこそ、女性が男を連れ出す導き人であることをもっと感じさせて欲しかった。
全否定的な書き方になってしまいますが、私の中の名作がたった少しラストを削られたことで崩れてしまいました。
この作品、2001年から何回も公演されている作品らしいです。
また、いつの日かもう一度拝見して、2010年の感動を再び味わえることを願ってやみません。
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