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2012年3月 5日 (月)

スターラインエクスプレス【それかん劇団有馬九丁目】120304

2012年03月04日 一心寺シアター倶楽

最終的に落ち着いた感想から述べると、とてもいい作品だと思う。
そして、それを恐らくは高めれるところまで必死に高めた形で出してこられた創り手側の熱意は存分に伝わる。
ただ、ここに至るまでが大変だった。
観劇中、そして観劇後、このブログを書いている今に至るまでに混乱した頭を整理するのがどれだけ大変だったか。いや、実際に今でも整理しきれてもいない。
こんな公演をされた皆さんには、いいもの見せてくれてありがとうという気持ちとこんなの見せてくれて恨むよという気持ちが同時に存在する。

上述したように、感想が書きにくい。
頭が混乱しているから、書きたくないぐらいだ。
どれくらい書きたくないかというと、観た人しか分からないだろうが、フレアにもう十分あなたは頑張ったから無理しないでいいのよと言ってもらえれば、その胸に優しく包まれて眠りにつきたいぐらいだ。
不幸なことに周囲にそんな人がいないから、一応筆を進めるしかない・・・

あらすじは当然、書くの無理。

結局のところ、この作品が語りたいところはこうなのかな。
一人の女子高生が、自殺を図るぐらい自分にとっては大きな悩みを抱えて、銀河鉄道に乗って、壮大なる銀河への旅に出る。
そこには、愛や人への優しい想いが存在しており、その悲しみの中で前へ進んで生きようとしている人の姿を見る。
はるかなる惑星を結びつけようとして失敗し、絶望の中でも強く生きていく決意をした人との触れ合い。そこにある真実の愛。
これが、自らの悩みの小ささを気づかせ、自分を見つめなおして新たな道を切り開こうとする。
要は一人の女の子の成長物語。その成長が銀河鉄道の旅という体験だった。
んっ、つまり銀河鉄道999か。
機械の体を求める人間の愚かな欲望が、宇宙という壮大な中での様々な経験によって薄れ、もっと大切なものを掴むんだものね。
まあ、あれだね。つらい時には人の話を聞いたり、空を見上げれば、そんな自分のつらさなんてちっちゃい、ちっちゃいとなるようなものかな。

設定ははるかなる未来。銀河連邦が成立し、惑星間を結ぶ銀河鉄道が開発される。
しかし、開発中に大事故が発生。開発は中止になり、銀河連邦は惑星間の移動を禁ずる。
それから、数年のある駅のホーム。
女子高生が自殺を図ろうとする。ワルツ・ネロさん(劇団展覧劇場)。ちょっと女子高生っぽくなくて、ずいぶん大人びているが、それはまあ関係ないだろう。それを一人の駅員が止めるところから話は始まる。
舞台には中央に四角の枠が土俵みたいな感じでおかれている。そこに役者さんが上がると芝居が始まる。
その周囲には他の役者さんが待機し、効果音や状況描写をする役となる。
ステージタイガーの演出ですな。
作・演のザキ有馬さんが所属されることになったので、何か分かる気する。

駅員の一人語りが始まる。るらさん(劇団カオス)。
約10分。詰め込むだけ詰め込まれたようなセリフ。素人から見ても相当なものだ。
なかなかの甘いマスクに、キレのある動きも交えた語りはかなり魅力的だ。かっこいい。だから非常に腹立たしい子だ。
唐突に書くが、この作品、分かりにくい。
その一つの要因がこれだ。凄いと思うし、ダラダラしゃべっているのでは決して無く、迫力もある。相当な鍛錬を積んだというこの作品に対する役者さん方の向上心溢れる気持ちは本当に伝わる。だから、面白い作品だったと感じている。
ただ、それと話の理解は異なる。かなりの説明セリフ。
初めから、小説とかでこの作品を読んでいるならばいいのだが、初見ではかなりのとりこぼしをする。
以後も、この長く情報量がかなり多いセリフはあらゆる役者さんにおいてずっと続き、このとりこぼしはどんどん蓄積する。だんだん不安になって必死に聞き取ろうとするのだが、意外にそんな時のほうが集中して聞けないものだ。そのため、最終的にはかなりを見逃してしまったというところに落ち着いてしまう。

救われた女子高生だが、自らの悩みは大きいと思っている。
駅員の真摯な想いも今は通じない。
そんな中で、銀河鉄道に乗ることになる。
この銀河鉄道、上述した事故で今は動いていない。それを動かせる人間。開発者のアンブラという者。
奪取してどこかへ行こうとしている。

そこからは様々な惑星でのエピソードが描かれる。
申し訳ないが、ここは全然覚えていない。だから、この部分中心に出演されていた役者さんの記憶も飛んでいる。
観ていた時は覚えていたのだが、恐らく情報量が私の頭のキャパオーバーになって、消しても大丈夫な部分を削除してしまったらしい。
ここも少し気になっている。何でそんなことになったのか。もちろん、私が悪いのだが、そうさせてしまう見せ方の欠点もあるのではないかと感じる。
この後、話は核心へと向かうのだが、作品の伝えたいところはほとんどそこに集中しているような印象を受ける。そのための前座として、そこに至るまでの多くの謎を解明する部分として、この惑星旅行は機能しているのだろうか。その絡み方が不十分で、無くしても大丈夫だと愚かな私の頭ではあるが、そう判断したなら、この部分は作品の中でしっかり機能していないように思う。
この中盤は非常につらい時間帯だった。
相変わらず情報はどんどん入ってくるし、ポロポロ取りこぼす中で、何を取捨選択すればいいのかも分からない。

アンブラは連邦警察に捕まり、楽園という惑星に連行される。
ここからも中盤ほどではないが、あまり理解できていない。
ただ、この終盤の展開の加速はかなりテンポがあり、観やすくなる。
多分、間違ったことを書いていると思うが、私はこう捉えてしまっている。まあ、それでこの話を感動するものとしているので、それはそれでいいかなと。
この惑星では人間を別人にしてしまう。終着駅としての捉え方で、999では人を機械にする惑星みたいなものだろう。
今のアンブラは本当のアンブラではない。過去に作り変えられたみたい。
その過去のアンブラと出会ったのがフレアという女性。
フレアはつらく苦しんでいたアンブラの救いであった。
そのフレアはいつの日か自分から去っていった。そして、自分と同じように違うフレアになっている。その違うフレアが今のアンブラのすぐそばにいる。
といったことが分かる。再三書いているあの長い説明セリフから必死に聞き取った情報だ。捻じ曲がっている可能性は大きいが。

今のアンブラ、城本悠太さん。今のフレア、藤本麻胡さん。
過去のアンブラ、ひのきの森さん(劇団万絵巻)、過去のフレア、土江優里さん(ar9stage)。
感覚的だが光と影のような形になっている。
過去のアンブラは鉄道開発で非常につらく苦しんでいる。これが影の姿。
その時、出会ったフレアは彼にとって女神のような存在。これが光の姿。
今のアンブラは、苦しみから逃れたように明るい。実際によく分からないが、小ネタをチョコチョコはさみ、その明るい姿を印象付けている。光の姿。
今のフレアは、過去のアンブラを知っており、彼の人生に悲しみやぶつけようの無い憎しみを抱いている。逆に今のアンブラが彼女にとって救いであるのかな。影の姿。
光同士、影同士で向き合えなかったという悲しみ。
これが二人の各々の想いが通じ合い、光や影を越えた存在同士として分かり合えるような展開。
アンブラが過去の自分を見つめ直す。
過去のアンブラの一人語りシーン。つらさや行き場の無い苦しさへの想いが切々と語られる。
それを見ている今のアンブラ、今のフレアの表情が非常に印象的である。
自らのつらかったことをかみ締めながら、自分を応援したいかのように涙を見せる今のアンブラ。
変わったことへの悔いなのか、抑え切れない悲しみを涙に溢れさせる今のフレア。
ちなみに過去のフレアは非常に優しい微笑を見せる。土江さんはたしかへむぷろだったかなあ。何かの役で同じような笑顔を拝見しており、それがすごく印象的だったのだが、今回もやっぱりいい。あれにはやられる。

旅から戻った女子高生には悩みの原因となった男が待っている。
まあ、ひどい男に騙されて失恋してたというわけだ。ひどい男は、ザキ有馬さん(ステージタイガー、ar9stage)。
ひどいことを言われるが、大きな経験をしてきた彼女にとってはもうそんな言葉は何も感じない。目の前に自分とは違う小さな男がいるだけ。
一瞬、男を蔑むように一言述べただけで、後は周囲を巻き込むような満面の笑顔。完全にふっきった姿。女は男を切る時、こういうことするよね。もっともひどい失恋返しではあるが。小気味のいい終わり方。男である私は、相手側に立ってしまうので苦笑いだが、彼女の成長を強く感じさせられる。

といったところかな。
まあ、正直、分かりにくい作品だった。
こういうのは小説で読んでから観た方がいいだろう。
それでも、何らかの魅力を伝えてくるところは、さすがといったところか。
若き力で押さえ込まれる。それはそれでいいものだ。
まあ、偉そうな書き方をするが、脚本や演出は、より万人の客にいい作品だと思われるような見直しのポイントはたくさんあるのではないか。
かなり一方的に情報をどんどん押し付けるような形になっていることは否めないように感じる。
といって、よく言われるマスターベーション作品になっているようには思えない。
私も気持ちよかったから。

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コメント

はしご観劇する予定だったんだけどな〜f^_^;)
残念!神戸から一心寺まで40分では無理でした…
次の機会の愉しみにとっておきます♪

投稿: TAKU | 2012年3月 6日 (火) 21時00分

>TAKUさん

コメントありがとうございます。

Twitterで無理だったんだなあ、残念と思って見ていました。
正直、すごく迷ったんだけどね。
姫子ちゃんはDVDでしか観てないんだけど、その迫力は最高で、いつの日か生で観れたらなあと思ってたんで。

まあ、こちらも若い学生らしい熱き姿が見れて良かったです。
私のお気に入り学生劇団、万絵巻はじめ、カオス座、はちの巣座・・・とたくさんの劇団が集まっていましたが、まだまだこれから観る機会があるでしょう。

神戸大学、遠かったでしょ。
何か、学生劇団を観に行くと、大学構内に入るのがちょっと気恥ずかしいよね。

投稿: SAISEI | 2012年3月 6日 (火) 21時59分

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