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2012年2月 8日 (水)

<DVD>朝まで生ゴヅラ【笑の内閣】

体調がずっと悪いので、少し観劇をお休み。代わりにDVDを鑑賞します。
薬が全然効かないので、ちょっと毒っぽい物を味わっておこうかなとこの作品を選択。

第2次内閣作品。2005年(2012年2月9日訂正:初演は2005年ですが、DVDは2008年再演バージョンでした)ですね。
今の笑の内閣のイメージからすれば、どうしたんだ、ずいぶんおとなしいじゃないかという雰囲気は否めませんが、それは、作品の設定もあって全体的にキャラがおとなしめなのが理由。
それと、珍しくラストをちょっと感動的に収束させようとしている。最終的にブラックさは残っているが。これは意外な展開でした。
ただ、時事ネタを盛り込んだ、痛快な社会風刺はこの頃から健在なのがよく分かる作品です。

あんなことあったなと懐かしむ話もある中、今でも十分通じる昔と変わらない問題も描かれている。
そして、今の社会を既に予測していたのかと思わすようなネタも。
さすがだなと感心しつつも、やっぱりおバカな展開に大いに笑う。
でも、体調は治らない・・・

(以下、ネタバレしますので、これから買って観るつもりの人はご注意ください。せっかくなので、次回公演の時にでも買って、10年ほど昔を振り返って、今の日本を考えてみましょう。ついでにコント集がお薦めです)

ダメ総理の新内閣に巻き起こる事件を描いた作品。
昔、田村正和が出演していた総理と呼ばないでみたいな感じかな。

若狭湾沖に放射能汚染によって生み出された巨大生物ゴヅラをめぐって、奮戦する内閣。
筆頭の総理は秘書に頼り切った優柔不断なダメ男。
大臣たちは、大きな権力に従順、老害そのもの、自分の選挙のことしか考えない、女優あがりの政治知らず、宗教をベースにしか物事を考えない・・・、そんな人たちの集まり。
まともな対応が出来るはずもなく、事態は悪化する一方。

いよいよ自衛隊出撃という時に、様々な方面からの横やりが。
動物愛護団体、中国、アメリカ、北の国、幕僚長・・・
その対応に四苦八苦する総理。
そんなことしているうちにゴヅラは上陸。
ひこにゃんは城を守れず、豊郷小学校はありがたいことに崩壊する、琵琶湖わんわん王国の犬は大脱走・・・

そんな内閣が最終的に出した案は毒入りぎょうざでやっつける。
ところが、この案にも横やりが。
それは政界を取り仕切る最大権力を持つ人とアメリカによる密約で生まれた地元民の多くを犠牲にする案。
アメリカには逆らうな、アメリカがすることは常に正しい。そんな理論で攻めてきます。
国民を守る原点に立ちかえった総理は、自らを犠牲にして、その案との対決を決断します。
その思いに、あの煮え切らなかった大臣たちは・・・

と、最後はちょっとした青春ドラマかのように一致団結。
最終的にはそれほどうまくも行かず、ブラックな終わり方をしますが、結果はどうであれ、本当の現実も少しはこんな感じで進んでもいいよなあなんて思いも出てきますね。
自己保身やら、自己の利益優先の考えはなかなか捨てれるものではありませんが、たいがいの場合、それはその時一瞬のことだけ考えているだけで、長期的視点に立てば、その考えを捨てることこそ、自分にとっては最良の選択であるなんてこともあります。
それを見極めるのが難しいわけですが。

この作品の場合、自己利益優先のアメリカの案を叩きつぶしているのですが、Noと言ったこの事実は日本にとって長期的にもきっと最良の選択になっているのでしょう。
ただ、問題自体は実は、どちらの案を選択しても解決されていません。
それは、作品が締められる言葉で表されているように、核の力がある限り、またゴヅラは生まれるということです。
2012年を生きる私たちは、当時よりもっとこの言葉が心に突き刺さるはずです。
先の時代を読んだ見事なラストでした。

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