« <DVD>不思議の国の二人のアリス【激団しろっとそん】 | トップページ | チョゴリの地 虚の墓【劇団タルオルム ノリペハルラサン】120210 »

2012年2月11日 (土)

お伽草紙/戯曲【劇団うりんこ】120210

2012年02月12日 芸術創造館

お伽話という子供向けの簡単なイメージ、うりんこというかわいらしい劇団の名前。
そんな先入観が、この作品は気楽に簡単に見れるという何の根拠もない考えに至らせたようです。
舞台を見て、だいたい気づきます。
何とも幻想的な雰囲気に、端の椅子に座って自由に語られている老人。
手にはつっかえ棒に結びついたひもを持っている。昔、鳥を捕まえたりする時の罠が舞台全体を覆っているような状態です。舞台を捕まえることがこの老人にはいつでも出来るという状態。
苦手な複雑な構造をしている作品だなと気構えます。
このまま観たら、間違いなくやられます。
慌てて、喫煙所でスマホを使って、ネットで検索。
どうやら、この太宰治原作の戯曲はメタフィクションのスタイルをとった作品になっているようです。
ただ、出てくる個々のお伽話はユーモアに溢れており楽しく見れるとか。

で、結局、途中力尽きました。
最前列で気合い満々に控えていながら、思いっきりウトウトするという大失態です。
本当に申し訳ない。
いい訳させてもらうと、厳しいスケジュールで徹夜明けでしかこの公演は観れなかったので、何とか観に行こうとしたことがまず一つ。
もう一つは、この戯曲は防空壕で泣く子供に父親が自分で作ったお伽話を読み聞かせる設定なのです。だから泣きやまさないといけない。子供を泣きやますには寝さすしかありませんね。だから、心地よくなってしまったのは、この作品の本質は突いていると思うんですよね。
だからといって、寝ていいわけありませんが・・・  すいません。

上述したように、戦時中、高速砲の音が鳴り響く中で防空壕に身を細める家族。
そんな中でぐずりだす子供に父親が、創作のお伽話を聞かせています。
舌切雀、瘤取りじいいさん、浦島太郎、カチカチ山、桃太郎、ぐらいだったかな。
この戯曲自体が太宰治原作ですから、それを読み聞かせる父親は太宰自身として捉えるのかな。
そうしたら、あの自由に振る舞っている舞台上の老人は何者なんだ。
なんて、色々考えながら、とりあえずはこの男の手が入り込んだお伽話を聞いています。
で、このあたりで記憶が飛び始めています。

気付いた時は、さらにややこしい構造になっています。
語り手でもある父親が、全ての設定を否定するようなことを言い出している。
戦時中でもないし、お伽話だって偽物、自分だって存在しないみたいに。
じゃあ、自分はこれまで何の話を観ていたんだと不安にさせるような感じです。
この手法、幾つかこれまでも観たことがあり、何とか作品の構造を理解しよう理解しようと一生懸命観ていたことを、それ全然間違ってますからねと言わんばかりに崩してきます。
理詰くめでしか観ようとしない客への制裁みたいなものでしょう。
たいがい、ぽか~んとなって帰路につく。今回も例外ではありませんでした。

作品構造うんぬんはともかく、個々の創作されたお伽話は一風変わったものです。
子供が見てもケラケラ笑って楽しめるという感想が多いのですが、これ、子供はどこを笑ってるんだろう。
太宰の性格や時代背景なのか、自虐的であり、どこか社会批判もこもっている。その批判も変えていこうとかのメッセージでは無く、厭世感みたいなものが付きまとっているような気がして仕方がありません。
このほんわかしたお伽話ですらこんな印象を持たすのですから、他の作品ではどれほどのものなのか。
きちんと読んだことありませんが、それはもう嫌になってしょうがない気持ちにさせられるんじゃないでしょうか。
ちょっと面白くて笑えたシーンは数々あるのですが、それは全て役者さんの抑揚あるメリハリの効いた演技にゆだねるもので、話自体に笑える要素があるとはとても思えないのですが。

まあ、奇妙な作品です。
きちんと観れていてもさほど感想は変わらなかったかもしれません。
難しいです。
お伽話なのに難しいです。

|

« <DVD>不思議の国の二人のアリス【激団しろっとそん】 | トップページ | チョゴリの地 虚の墓【劇団タルオルム ノリペハルラサン】120210 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: お伽草紙/戯曲【劇団うりんこ】120210:

« <DVD>不思議の国の二人のアリス【激団しろっとそん】 | トップページ | チョゴリの地 虚の墓【劇団タルオルム ノリペハルラサン】120210 »