アイ・アム・ウェイティング・フォー・ザ・マン【NMS】120115
2012年01月15日 コモンカフェ
中崎町ミュージアムスクエアと称して、昨年からずっと行われている二人芝居。
主宰の石原正一さんと個性的な役者さんががっつり絡む企画です。
実は初めての観劇。
どうして、観に行かなかったんだろう。二人芝居だから避けてたのかな。
戯曲を演じるという言葉も抵抗を無意識に感じていたんだろうなあ。
この作品を観てもったいないことをしてたなあと強く思いました。
演劇の魅力をたっぷり味わえる素晴らしい作品でした。
演劇はこれから先、ずっとあらゆる形で自分を楽しませてくれる。そんな確信を得ました。
まあ、東京で全作品、幾つかの作品は大阪でも再演があるそうなので、それは観に行きたいと思っています。
コモンカフェはDOLCEで通っていた劇場。
小さいことを知っており、囲み舞台という噂が流れていたのでどうするんだろうと思ったら、本当に周囲に一列の席が並べられていた。
役者さんを観るのか、客同士が観合うのかよく分からない雰囲気。
まず劇場内に入ると、その異常なほど緊迫している雰囲気に圧倒されます。
こういう時は防衛本能か必ず出口近くに座ってしまいますね。
囲まれた舞台の中は帽子が散乱。
その中に女性が一人死んでいます。死んではいませんが、ぴくりともしない。七味まゆ味さん(柿喰う客)です。
柿喰う客の公演後のアフタートークで役者さんは、その舞台が終われば役じゃなくなるので無表情なデスマスクになるというようなことを言われていたのを聞いた覚えがあります。
それを考えると、これから始まる作品に出演する役者さんは生まれる前なので、あんな状態なのかなと思ったり。
この作品のベースになるゴドーを待ちながらも自らの存在を確かめていくような話なので、最初は存在していないようなところから始まるのかなと考えてみたり。
観客参加型の設定で進むゴドーを待ちながらといった感じです。
帽子をかぶることにより、石原さん、七味さんは役を得た役者さんになります。
帽子は腐るほど散乱しています。
それがどんな存在にすらなり得る世界、自らが何者なのかを確定させない世界を意識させながら、話が進みます。
原作にもあるように、ゴドーを待つ二人には来客がやってきます。
二人芝居で役が足りませんので、そこは選ばれた観客がやります。帽子を被れば、その存在になるという世界ですから。
本当に舞台に上げられて思いっきり芝居させられてるのはびっくりでしたね。客いじりなんてもんじゃなく、もう出演ですから。
繰り返されるシーンはどんなことを描いているのかな。
何となくつながりを感じるのですが、はっきりと分かりませんでした。
あれだけある帽子。どんなに繰り返しても、結局は決められた同じ帽子を被るんですよね。
何度やり直しても、同じ。違う人にはなれんし、自分は自分。ゴドーを待ち続けないといけない。
でも、その中で各々の存在感は間違いなくしっかりと浮き上がってきている。だから単に繰り返している訳ではない。
それが行き着いたところに自我なんてものがあるのかな。
最後はそれがしっかり自分たちで見えたから、行こうというような言葉につながったのか。
不条理劇は読み手の解釈でいくらでも好きにできるのが、良くもあり悪くもありですね。
魅力あるお二人を使って、あの有名な作品でこんな形の公演にしてしまうのにはとにかく驚きです。
色々な形で表現するという面白さは味わえば味わうほど貪欲にそれを求めるようになりそうです。
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