« <DVD>ちゃらんぽらんな夜に・・・。【劇団伽羅倶梨】 | トップページ | オーバーマインド【関西大学万絵巻】120106 »

2012年1月 6日 (金)

<DVD>しまうまの毛【突劇金魚】

先日、同作品の本を読んで気に入ったので、DVDも購入。

本を読んだ時に、あまりにもさくさく読めるのでびっくり。
内容うんぬんではなく、読みやすい文章、自分に合った文章というのがありますよね。
これがぴったりはまった感じでした。
何だろうな。思ったとおり、ストレートな表現されているのが分かりやすいのかな。毒っ気が全く無い。
今、登場人物が思ったことがそのまま文字になっているような感じで、とにかく読みやすいんです。

この劇団は、これまでに2本観劇しています。
穏やかな不思議空間を創り出すイメージ。少し病的で歪んだようにも見える。
説明しづらいのですが、心地よい気味悪さみたいなものを感じながら、終始、どこかで漠然とした不安感を持つようなことが多いように思います。
この作品は、本を読んだ時点では、少しこれまでとは異なったイメージでした。
病的、歪み、気味悪さはベースに残っているのですが、どこかたくましく、明るく、元気になるような印象も残る。
話自体は重めでけっこうどろどろしていて、そんなことは感じにくいはずなのですが、全体的にはむしろ軽いタッチで描いてるなあと思いました。

DVDを観て驚いたのは、本では感じれなかった不思議空間が出来あがっていること。
これなら、この劇団の作品だと理解できます。
本では寮やら動物園やら現実的な空間で日常に存在する登場人物が動いているイメージでしたが、舞台になるとそこがおぼろげになる。
場所がどこかはぼんやりしているし、登場人物も艶やかな色彩の衣装も相まって現実とは程遠い世界を感じさせる。
それでいて、話がフワフワ浮いているかと言うと、これも違う。
登場人物の存在感ははっきり感じ取れるし、現実よりも厳しいどっしりしたものを平気で見せつけてくる。
現実と夢の間の不安定な世界を奇妙な感覚で、心地よく観るといった感じか。

あらすじは本もDVDも販売されているので、そちらを見ましょう。
ちなみに本は1600円。
本とDVDセットだと2900円。演劇ファンなら、どうせ、DVDも観てみようかなと思うはずなのでこちらのセットを初めから買った方がお得です。私は結局、本買って、このセット買うことになったので。HPで通販しているはずです。

舞台は寮。恐らく精神病患者が集まったところ。鉄格子に囲まれた動物園みたいなところ。
その屋上から、動物園が見えている。
舞台に登場していない役者さんは、舞台の周囲で待機。閉じ込められた閉鎖空間を演出か。

寮に住む人は、みんな、心が病んで傷ついている。
寮の管理人と名乗っている人ですら、そうです。
だから、ここは普通の寮だとは感じれない。
病んだ人が集まった場所で、そこで何らかのポジションを決めて集合体を創っただけの空間に見える。

自傷行為、父親への異常愛、同性愛・・・
愛に飢えていると書いてしまうとあまりにも単純過ぎますが、簡単に言うとそんな感じ。
そのために、愛に異常な執着を示す。
お金を渡す、簡単に体を許す、愛する人を監禁する・・・
どろどろした話です。でも、嫌悪感は全く湧きません。
むしろ、ありがとう、良かったねと人から言われて、最高の笑顔を見せるこの寮の住人たちの姿は、見ていて恥ずかしくなるような純粋な乙女の姿。

自分で自分を閉じ込めている少女達。
セカイ対アタシというフレーズが載っているが、何と闘っているのだろう。
誰かを守る、誰かの役に立つ。そんなことで自我を認識しようとしている。
自分で自分を囚われの身にしておきながら、自分の存在価値は相手にゆだねて依存する。
複雑だ。
思うことはただ一つ。この子たちは弱い。
敵を作らないと生きていけないし、その反面、愛することも愛されることも強く求める。
現実は思いどおりにいかないし、いっぱい傷つく。だから、必死に自分を守る。

最後、この寮に迷い込んできた男たちは、同じようにこの寮という閉鎖空間に閉じ込められる。
男たちも弱く、ここが傷つかない心地のよいところなのだろう。
寮の少女達を品定めするような男子トークは、男の愚かさを含めた滑稽なものを感じる。女性が描いた、女の手のうちでしたたかに転がされて、気づかず楽しんでいる男への皮肉めいた印象。
ここは本では全く感じられなかったブラックな部分。
本では少女の痛々しさが強く残るラストだったが、こちらではそれをあまり感じない。
少女達はこの世界で、痛々しく傷つきながらも生きていくだろう。外の世界を恐れているが、きっとそれはそれで生きていけるような気がする。そこで、また自分を守る世界を創る力を感じる。
一方、男は・・・。きっとつぶれるような気がする。
そんなところは、矛盾するが少女達のたくましさ、強さを感じる。

本では、少しエロいシーンが散発する。
明らかなSEXを思わせるようなところなど。
話の進行上、必ず出てくるはずなので、いやらしい書き方だがやっぱり期待していた。
綺麗な役者さんが揃っているのだ。舞台でどうするのかは、もちろん想像する。
やっぱり面白い独特の演出するんだなあ。
昨年、観た一人芝居のある作品のように、食べるということで表現したり、単純に視線や表情だけでそれを感じさせたり。
こういう表現がまた、SEXという現実をおぼろげにして、この作品の不思議な雰囲気を作っているように思う。

自分のその時の気持ちによって、感想も変わるような作品かもしれない。
理屈でどうとかじゃなく、その時の自分の感性そのままで色々感じ取れる作品。
また、いつの日か観直してみたい。

|

« <DVD>ちゃらんぽらんな夜に・・・。【劇団伽羅倶梨】 | トップページ | オーバーマインド【関西大学万絵巻】120106 »

演劇(DVD)」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: <DVD>しまうまの毛【突劇金魚】:

« <DVD>ちゃらんぽらんな夜に・・・。【劇団伽羅倶梨】 | トップページ | オーバーマインド【関西大学万絵巻】120106 »