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2012年1月 2日 (月)

<DVD>ネバーランド【少年社中】

また、お借りしたDVD。
忙しい、忙しい・・・

ピーターパンをモチーフにしたファンタジー作品。
華やかな舞台に、ファンタジーらしい個性的なキャラの役者さん方。
アクションも豊富で、登場人物達が円形舞台を所狭しと飛び跳ねる。
DVDでこの迫力。間違いなく生だったら、もっともっと感動していただろう。

大人になってしまった永遠に子供でいれるはずのネバーランドの住人が現実と向き合いながら、自分探しをしていく。
テーマとしても非常に好きな分野だ。
ただ、残念だったのは、この作品の意表を突くオチがそのテーマをぼかしているように感じた。
隠されたネバーランドの秘密にそう感じさせられる。
よくこんなに話を膨らませれるなあとは思いますが。

かたや、ずっと子供でなどはいられないという永遠の否定からの成長を語りながら、もう一方でネバーランドの永続性・輪廻を語っている。
この二つがどうも結びつかない。言ってることは分かるのだが、どうもしっくりこない。
もちろん、ネバーランドの永遠は本当の永遠では無く、作り出していくものだという形なので、これも永遠の否定ではあるのだが、変な理屈付けが必要になる。ぱっと感じさせて欲しいのだ。
それに循環していく永遠なので、そこに成長や変化は見い出せなかった。
個人的には、確かにありきたりの終わり方ではあるように思うが、終止符を打つという形の方が分かりやすかったように感じる。

小説家を目指していたが、もうあきらめてお母さんになる決意をしているウェンディー。
芸術家を辞めて、武器商人として生計を立てるジョン。
売れない役者で、固定した職に就かず不安定なマイケル。

かつてはネバーランドでピーターパンと遊んで暮らした彼女らも、もういっぱしの大人になっている。
今日は事故で死んだ両親のお葬式。
もう、本当に子供ではいられない。守ってくれる人はいなくなった。自分達で生きていく大人にならないと。

そんな中、あのピーターパンがやってくる。
でも、その姿は・・・
すっかり大人のピーターパン。もう空も飛べない。
フック船長の手によって、ネバーランドの住人がみんな大人に変えられたらしい。

ネバーランドの危機を救うために、かつてのように島へ向かうみんな。
そこには、懐かしいティンカーベル、フック船長や海賊たち、インディアンたちが大人の姿で待っていた。
そして、ピーターパンの影としてこれまで生きてきた者も・・・

姿は大人になっても、まだ子供でいることを望むネバーランドの住人たち。
大人になっても、まだその覚悟が出来ていないウェンディーたち。
そんな者たちが絡み合う中で、ネバーランドに隠された秘密が明らかになっていく。

話の流れはこんな感じ。
実際は、キャラの個性が豊かなので、かなりユーモアがある展開で進みます。
秘密はここでは書きません。
あまりにも意表を突き過ぎているのが、感銘を受けるより、芯を揺らがせたように思っているからです。

先日、機械城奇譚を拝見しているので、役者さんが何となく覚えている方が多い。
何人か目を引いた人をピックアップ。

ごく普通っぽい感じの方なのだが、すごく内面的な魅力を感じさせる大竹えりさん。
ウェンディー役。母親という優しさをとても感じさせる演技。
お母さんになるという設定だから当然なのだが、ピーターパンやフック船長にとっての母としての存在であることも明らかになる。このあたりは、秘密を記載していないので分からないと思うが。
フック船長に母親になってと言われて優しく微笑む表情は、全てを包む優しい母性そのもの。女性じゃないとこの笑顔は絶対できないように感じる。

ピーターパンの井俣太良さんは、機械城奇譚では銃かあ。イメージ違う。
必死に動き回り、汗を飛ばし散っている姿が印象的。子供と大人、自らの宿命への葛藤や覚悟を決める表情は実に真に迫っている。

フック船長は唐橋充さん。
ユーモア溢れる演技で、ところどころに笑いをはさみリラックスさせる。
そんな中での重要な役割をしっかりこなされる。
唯一の大人なんですよね。全てを知っており、自分がするべきことも分かっている。その覚悟がたくましくもあり、切なくもあり。悲しい役どころです。
全てを守るために覚悟を決めたピーターパンとの最後の決闘シーン。ネバーランドの秘密に仕組まれた結末の決まった闘いの中での覚悟をもった振る舞い。これは大人であり、男であるなあと。
愛するネバーランド、そしてそこの住人たちを必死に背負ってきた事実が涙を誘います。

ピーターパンの影、椎名鯛造さん。
影なのに何でこんなに純粋でキラキラしてるんだと思うぐらいの輝き。役作りが出来てない、けしからん、特にイケメンで動きもかっこいいのがけしからんとか最初思ってましたが、実はここが重要なポイント。これでいいわけです。
影の闇を本当に暗さで表現したら、この作品台無し。元々のオーラもあるのでしょうが、内面の子供のような純粋さが見てるだけで感じられる素晴らしい演技でした。

少女役の平山薫さん。
何だ、この人。どっかのファンタジー世界から抜け出してきたお姫様か。
生で見たかったよ。

ネバーランド住人の子供の一人、岩田有民さん。
設定上、大人になるのだが、その大人っぷりが本当のおじさん。
それが面白いところもあるのですが、子供の中では重要な役どころで、みんな子供でいることを望むのに、この方だけ大人への覚悟を決めます。でも、何をしていいのか分からない。
そんな中で、不条理なことへの適応など大人としての行動を学んでいきますが、それでも未だそれを許さない子供の心が残っている。要は中間段階を演じています。
なぜ子供から大人への葛藤が生み出されるのかを具象化した大事な役どころです。

ティンカーベルはザンヨウコさん。
この方だけ、すごく覚えている。久しぶりに拝見できて感激。
一人芝居で拝見して、面白く、一人芝居というのもあるけど心情変化を巧みに表現される方だなあとずっと気になっていました。
初めて、こういう長編作品で拝見しましたが、やっぱり思ったとおりの魅力あふれる役者さんでした。
大人になった妖精をふてぶしい形で演じて笑わせながら、ピーターパンやウェンディーたちが本当に大人になれるように道案内します。ずっと見守り続け、これからもずっとどこかそばにいてるよという子供から大人へと向かう際の覚悟を決める勇気を与えてくれる存在でした。

ワニ神、森大さん。
ワンポイントで登場され、好き放題されていきました。
強烈なインパクトで、自らのワールドを作ってしまう凄い方です。

これくらいにしておこう。
他も目を引いた方いらっしゃるのだが、疲れました。

何か、書いている間に、最後のシーンとかを思いだすと、この終わり方はこれではこれでいいのかなとも思えてきました。
でも、やはりどこかしっくりこないものを感じます。
最後、ある姿になっているピーターパンが切ないのかなあ。自分だけ全てを知っていますからねえ。
そこまでして、ネバーランドを守るということは、本当に全ての人の願いだったのだろうか。
永続性、永遠なる循環をどこかで終止符を打つことこそ、真の大人の行動でもあるのではないかとも思うのです。

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