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2012年1月28日 (土)

両家の言い分【劇団吹田市民劇場おむすび座】120128

2012年01月28日 吹田市文化会館 メイシアター小ホール

今の結婚における社会問題的なところを描く真面目な作品かと思っていたら、とてもコミカルな話だった。
前作が教育問題をモチーフにした考えさせられる作品だったからね。
それにしては面白役者さんが出演されるなあとは思っていたのだが。
まあ、もちろんそんな結婚においてぶつかる問題も組み入れながらの話ではあるのだが、結婚式というテンションの上がった状況下での互いの思惑がぶつかり合うドタバタコメディーと称していいように思う。

面白い脚本に、味のある役者さん方がうまくマッチしており、楽しい作品に仕上がっています。
贅沢言うなら、もう一歩、細かなところで完璧に仕上げていれば文句なしだったのですが・・・

新郎39歳、新婦35歳。
互いに一人っ子で大切に育てられている。
ようやく手に入れた幸せ。
でも、幸せいっぱいといった感じではない。自分たち以外の親族のことも考えなくてはいけず、その調整に悩んでいる模様。

新婦の両親。父は婿養子。気を使いながら色々と苦労しているようだ。夫婦仲はそれなりにうまくやっているみたい。
母の両親、つまり祖父母。
祖母は最近、病気で倒れたみたい。祖父は苦労した時代を生きてきた昔気質の人物。結婚に関しても、しきたりなどにうるさい。
最近、二世帯住宅を建設。
新婦は嫁ぐので、自分と退院する妻、そして娘と婿で暮らす。
んっ、どうもそんな雰囲気ではないような・・・ 老人ホームにでも行けと言われるのか。

新郎の母。夫を亡くし、その夫の両親も亡くしている。市議会員の弟の助けを借りながらも、立派に新郎を育ててきた。
夫の家筋は立派な家系。弟も社会的地位の高い議員。
結婚式でもいい加減な扱いを受けるわけにはいかない。

結婚式の席順など、両家の言い分がぶつかる中、さらには新婦がすでに妊娠?
激突を避けるために、必死に取り繕うコーディネーター。混乱を招く新婦のおかしな友人。
結婚披露宴直前に巻き起こる、両家のドタバタの行方は・・・

といった感じの、経験したことが無いので分かりませんが、よく結婚において言われる問題を少し大げさにコミカルに扱って話を展開します。
理解しやすいテーマでもあり、互いの意見を聞きながらの第三者立場としてどうするんだあ、大変なことになったんじゃないのお、みたいな他人事感覚でニヤニヤして観れます。

役者さんがいいんでしょうね。キャラの特徴付けがとてもはっきりしており、観ていて大変味わい深いものがあります。
新婦の父親、田中博和さん。婿養子という言いたいことが言えない微妙な立場でありながら、柱として微妙な存在の哀愁ある振る舞いが自然と笑いを誘います。
祖父の吉良徹さんも昔の考えを捨てることなく今の社会を生きる老人の姿を現実的に演じられています。妻を思う気持ちを溢れさせるシーンなどは、映像とも相成って、今、失われているような結婚という形の愛の深さを思わせる演技です。

新郎新婦は、多田志典さん(U・WA・SAの奴等produce)と前田夏季さん。
多田さんは相変わらずかっこいいなあ。どこかナルシスト風に決めていながら、それを許させない方向にもっていかれて少しおどける感じはこの方の特徴的な魅力の一つです。
前田さんは、いつもどおり。少しサディスティックな飄々とした笑いの取り方や綺麗な外観が好きなんですけどね。今回はウェディングドレス姿を拝見出来ただけで、足を運んだかいが十分あります。
このお二人は、シーン転換で毎回活躍されます。両家の控え室を舞台を対称に転換するのですが、それをちょっとした小ネタ風にされます。暗転中の客を飽きさせない面白い演出です。

コディーネーターがおさみきさん(劇団暇だけどステキ)。今回はこの方にチケット予約をお願いしました。
両家に巻き込まれながら、毒のある接し方で笑いを取りながら、話を進めていく役どおりのコーディネーターです。
言葉のギャグは失礼ながら不発も多かったですが、多様な表情、仕草だけで、ブラックユーモアを醸し出す魅力はなかなかのものです。登場されたら、何かは必ず舞台に残していくという貪欲な姿勢が面白かったりします。

最後に100点満点と評価できない理由。
これは、素人がとやかく言うことではないと思っているので、ちょっと気になったぐらいではこのブログに書きません。
書かざるを得ない気持ちになって仕方なく書くということはご理解いただきたい。
セリフの噛みやウロ覚え。そして、多分、演出ではないと思うのですが、掛け合いのタイミングずれ。
あれだけ頻発されるとさすがに作品としての評価を落とさざるを得ません。
どうしても十分に稽古してないのではないかとか、公演に関する劇団としての思いを悪く思わざるを得なくなります。
そこだけが非常に残念です。
こんなことを思いながらも、楽しく心踊る舞台だったなあと感じているだけに、もう少しだけでいいのでこの点での仕上がりがよければ最高だったのになあと思っています。

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