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2011年12月17日 (土)

ちょんまげの木の下で【The Stone Ageヘンドリックス】111216

2011年12月16日 トリイホール

大きなちょんまげの木の下で繰り広げられる3つのエピソード。
3組の二人芝居。
個性的な役者さん方の組み合わせによって、三者三様の素敵な作品でした。
ちょっぴり切ない愛に心締め付けられたり、ただただ大爆笑したり、静かな空間での素敵な親子愛を堪能したり。

3作品間で気持ちを切り替える必要は無く、全てにありがとう、ごめんなさいなどのキーワードが入れ込まれていて、話の芯に優しさがしっかりうかがえます。
作・演の朝田大輝さんの心温かさが滲み出ているようです。

ほっこりした気持ちで楽しく、そして笑いながら観劇でき、ご出演の役者さん方の魅力をより一層感じられました。

(以下、ネタバレ注意。公演終了まで白字にします。大した文章では無いですが、間違いなくネタバレして観劇に影響を与えると思いますので、たまたま、ここにたどり着いて、これから観る予定の方は絶対に見ないでください。
そんな時間があるなら、トリイホールへ向かってください。素敵な時間を過ごせるはずです)

「憑いてるっ!!」
渡辺毅さん(ゲキバカ)と竜崎だいちさん(ミジンコターボ)

何をやってもツイてない男。
今日も仕事で失敗。転勤して大阪に来てから悪いことばっかり。もう、仕事辞めようかな。
大きな木の下でペットボトルのサイダーのふたを開ける。
すると、何やらチアガール姿の女性が現れる。幽霊?
女性は怯える男をなだめすかして、状況を話す。
成仏するために、自分の生前の写真を探して欲しい。遺影が無いらしい。
2人は色々なところを駆け巡り、写真を探す。
思いもよらぬところで見つかった写真。
これで遺影が。親孝行できる。
そして、2人は・・・

何が印象に残ってるか、そのまま正直に書いてしまうと、渡辺さんの大汗と竜崎さんのミニスカートからチラチラするものですわ。
最前列なので目のやり場に困る。
大汗かくのも納得がいく、全ての感情表現の演技が熱い。
ひどくビビり屋さんの設定ですが、まあ、色んなものに対してオーバーリアクションでビビる。
ガキ使の世界のヘイポー、顔負けです。あんなのと比較したら失礼か・・・
女性の方は、明るく元気な姿をずっと見せます。
それだけに懸命に探してくれる男へのありがとう、迷惑かけてごめんなさいの時折見せる表情がとても心を締め付ける。
この男を通じて、家族や生前に関わった人たちへも向けた言葉なのかなと思うとキュ~っとなります。
基本、ちょっとしたおふざけを入れ込んだりして面白い印象の強いお二人ですが、しっかりしたものを持たれているからこそ出来る表現なのかもしれません。
渡辺さんの男気、竜崎さんの乙女心が引き出されている温かい作品でした。

「おてんばルーシー」
中井正樹さんと片山誠子さん(ソラ豆)

何かから必死に逃れてきたルーシー。
大きな木の下にたどり着きます。記憶を失って、自分が置かれている状況がいまひとつ把握できません。
そこには木の穴から抜け出せなくなった怪しい男。
引っ張り出して何とか助け出します。
話している中で状況が分かり始めます。
ルーシーは女王蜂。スズメバチの襲撃にあって、恐らく仲間たちは女王にすべてを託して逃がしたのでしょう。
残った仲間を助けたいと言い出すルーシーの願いを聞いてあげることはできません。
元戦士だった熊蜂の男はスズメバチにかなわないことをよく知っています。
話をそらすために男はルーシーに日々、無駄な特訓を始めます。
でも、ルーシーがすべてを知る日がやってきます。
飛び出すルーシーに、男は戦士の最後の誇りを・・・

まあ、これはあらすじはどうでもいいと言えばどうでもいい作品です。
話がそれますが、私は普段、研究関係の仕事をしています。
実験をしたりしますが、明らかに危険な物質同士は絶対に混ぜません。各々、隔離して保管しておくぐらいです。
普通の研究者はそうです。仮に混ぜる時でも、その危険性が少なくなるような他の物質も加えて混ぜるのが基本です。
でも、ひらめきを持つ一風変わった研究者は、そんなこと気にもせず、混ぜたりします。それを混ぜることによって、数多くのリスクを負いますが、とんでもない発見が得られる可能性があることも事実。

この作品の凄さは、明らかに危険な役者さんを混ぜ合わせたところにあると思います。
それも、単独で混ぜる二人芝居という形で。
ここに作・演の朝田さんの素晴らしさを感じます。
で、思ったとおり大爆発していました。
会場が笑いの連鎖反応で。
成功なのか失敗なのかは知りませんが、作った側はさぞかし、見ていて満足されたことでしょう。

「うさぎとダンス」
緒方晋さんと蔵本真見さん(突劇金魚)

大きな木の下のお店で出会う二人。
若い女が口を開きます。

うさぎという女の子のお父さんになって欲しい。
男は意味が分からず怪訝ですが、知らず内にその気に。
その日から、若い女性の親子になるためのレッスンが始まります。
男も父親になる自信が付き始めた頃、若い女からある告白をされます。
若い女は・・・

まあ、これぐらいの文章でもどんな話か分かりますよね。
オチが分かった上で話が展開する会話劇です。
書いてしまうと若い女はこの男の本当の娘。つまりうさぎ。離婚した奥さんが身籠っていたみたいです。
その母も先日事故で亡くなり、一人っきりになってしまった。
そんな時に昔、母から聞いた父のことを思い出して、こんなことをしたようです。
兎は寂しいと死んでしまう。本当かどうかは知りませんが、皆が良く知る話をテーマにのせた綺麗な作品です。
他の作品もそうなのですが、この作品は特に役者さんの魅力が引き出されている。
いつも七変化するので正体がいまだにつかめない蔵本さんですが、今回は実の父を前に正体を明かせない中で、かなりおどけた天然っぽい役どころです。照れ隠し、もどかしさ、一緒にいれる喜びなどの感情が伝わってきて、微笑ましく、幸せな結末になればいいなあと思わせるような演技です。
元々、かなりお気に入りの役者さんなのですが、最前列で拝見できたので、まあ綺麗なこと。相当な美人さんですな。ずっと魅入っていました。隣を見ると緒方さんでしょ。美女と野獣だなあと思ったりして。
そんな緒方さんの方も、ところどころ笑いをいれるものの、いつもとは違い、静かで真面目な雰囲気を漂わせます。それがとても素敵。不器用なので静かに語らずとも気持ちを伝える。男の魅力満載でした。これはこれで、すっかり魅入ります。
最後、二人のぎごちないダンス。親子の誕生。
これから、きっと、じっくり時間をかけて、もっとお互いのテンポがあった素敵なダンスを踊れるようになっていくのだろうな。
ちょっと涙が・・・

心温まる、いい時間をもらえます。
どういう意味なのか分かりませんが、ちょんまげの木の下で語られる素敵な話を楽しみました。

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演劇」カテゴリの記事

コメント

初めて小劇場系の舞台を観る友人を連れて、今日観てきました♪
竜崎さんと片山さんは知っていましたが、ここの劇団は私が初めてだったので、初めて舞台を観る友人がどんな反応をするのか心配だったのですが、
楽しんでくれたようで、前説の方のCDを買ってました( ̄▽ ̄)

投稿: まゆ | 2011年12月17日 (土) 22時27分

>まゆさん

あっ、またいいところを選んで観たねえ。
ここなら楽しんでもらえたでしょう。
男優さんも、皆さん、魅力的だったでしょ。
一番、最初の渡辺さんが所属されてるゲキバカなんか、東京ではかなり有名みたい。
来年早々、大阪にやって来られるので観に行きます。
いい男っぷりが揃った劇団だよ。

前説、セプテンバー酒井だな。
最近、よく出没されるんだあ。
私もファンです。

楽しんでもらえて良かった。
演劇のことを知ってもらえるとすごく嬉しいね(゚ー゚)

投稿: SAISEI | 2011年12月18日 (日) 10時36分

SAISEIさんにそう言ってもらえると嬉しいです♪
すてきな演者さんたちでしたねー!
お話は「おてんばルーシー」が好きでしたが、演者さん、皆良かったです。どのお話も素敵でしたね!!
竜崎さんのチラチラは刺激的でしたね(* ̄ー ̄*)
大学生の時あんな格好してたことがあるので、あんなに見えるのか~となんだか恥ずかしくなりました。
私が観た回は最後にトークショーがあったのですが、緒方さんの危ない生活を知ってびっくりしました・・・

私は大学の授業でたまたま観たMONOがきっかけで演劇を見るのが好きになったのですが、それが友人にも伝わったならとても嬉しいです。

投稿: まゆ | 2011年12月18日 (日) 19時02分

>まゆさん

前説、トークショーといい回を観ましたねえ。
日程の都合で何も無い回しか観れなかったからなあ。

おてんばルーシーは究極の飛び道具だね。
あんな役者さんはなかなかいない。
蜂を見たら、また思い出すだろうなあ。

へえ~、これはまた随分とアクティブな学生生活を。
あれ、困るんだよね。
観劇の集中の妨げになる(゚ー゚)
まあ、今年は自分を応援だね( ̄▽ ̄)

MONOは床下のほら吹き男が初見かなあ。
その後も多分、観続けているはず。
派手さは無いけど、演劇らしい作品で面白いよね。
DVDも数本あります。
大学でそんな勉強してたんだあ。
色々と秘密を隠し持っとるなあ。

投稿: SAISEI | 2011年12月18日 (日) 23時52分

行けそうな日がたまたまその日だったのですが、お得な回でした♪

究極の飛び道具!まさにそんな感じですね~♪
あれで攻撃されたらかないません( ̄▽ ̄)

私の卒業間際くらいから、大学がやたらとコミュニケーションだのアートだのを取り入れるようになっただけで、
私はまったく違う分野なんですけどね(^-^;
たまたまとった授業で舞台を観てくるように言われただけなんです。
それで友だちと一緒に観たのが劇団とっても便利の「オトギバナシ」とMONOの「地獄でございます」だったんです。
MONOはその後のは全部観てます♪
確かに派手さはないですけど、5人のメンバーのキャラクターが好きです(*^-^)

投稿: まゆ | 2011年12月19日 (月) 23時42分

>まゆさん

「地獄でございます」、DVD持ってるよ。
地獄だか、銭湯だかなんだか分かんないところでシュールに繰り広げられる世界。
役者さんの魅力が出てるいい作品だよねえ。
あとは、「なるべく派手な服を着る」。
以後は全部、私も見ています。

次は3月だね。
ABCで会えるかな。

劇団とっても便利は知らなかった。
HP見たけど、テレビとかでも活躍されてる方が多いところですね。

どっちも京都の劇団。
う~む、大学は京都だな。
と、いらぬ推理をしてみる(゚ー゚)

投稿: SAISEI | 2011年12月20日 (火) 14時22分

DVD持ってるんですね~!
舞台を映像で見るのが不思議な感じがして、あまり観たことがないです。
舞台で観るのと雰囲気違いますか??

「地獄でございます」は、初めて観るには、そこそこなお年の方たちが室内で上半身裸だったのでけっこう印象的でした(^-^;
劇団とっても便利はブラックな内容のミュージカルをするところだったと思います。
あの頃はまだそんなにテレビに出ていなかったような??
「オトギバナシ」と「complex」を観た後は、雰囲気が違ってきた気がして観に行かなくなりましたねー(><;)

MONOは3月の公演も観に行きます♪
お会いできたら嬉しいです(o^-^o)

京都ではないですが、関西圏の大学ですね
どっちの公演もHEP HALLでしたしね
勉強したことをまったく活かせてないので・・・内緒にしときます(笑)

投稿: まゆ | 2011年12月22日 (木) 01時12分

>まゆさん

DVDは雰囲気が違うというより、格段と落ちてしまいますね。
観劇歴が浅いため、昔の作品をどうしてもといった時に見ています。

確かにあの作品はずっと上半身裸かあ。
そこそこのお歳なのに、よく頑張ってますねえ。
劇団とっても便利は、色々と調べると・・・
もう活動はなさそうですな。

MONO本公演、日程が合って、お会いできれば本当に嬉しいですね。

推理外れたかあ(゚ー゚)
まだまだ、謎が多いな。

投稿: SAISEI | 2011年12月22日 (木) 12時34分

DVDはやっぱり落ちてしまうんですね~
過去の作品が見るためには仕方ない選択ですね・・・

初めて観た演劇だったので、えらいもん見た!と思いました(笑)
とっても便利のミュージカル面白かったんですけどね~・・・残念です。

MONOの公演に行く楽しみが増えました

そんなに謎にしているつもりはないですが・・・掘り下げてもたいして何もでてきませんよ(゚ー゚;
私は勝手に、SAISEIさんにけっこうな親近感を覚えてます(笑)

投稿: まゆ | 2011年12月22日 (木) 22時35分

>まゆさん

DVDはまさに仕方ない選択ですね。
でも、基本的には出して欲しいなとは思います。
全部が全部観れるわけじゃないですものね。
劇評家でも無理なのに、私たち一般人だったらなおのこと。

MONOでお会い出来たらいいですねえ。
もう予約は始まってるみたいだけど、予定が立たないからなあ。

ブログ上とはいえ、たくさんお話しできて、しかも私の今はまっている徳島出身。
芝居もお好きみたいだし、私も勝手に親近感持ってます(゚▽゚*)

さて、私はクリスマスに向けて、観劇三昧+接待仕事です。

投稿: SAISEI | 2011年12月23日 (金) 12時11分

今日、赤鬼を見てきたんですが、隣の隣の席に
これに出ていた蔵本さんがいたので、思わず話しかけてしまいました。
かわいい方なので間違いない!と思って勢いで話しかけてみました。勢いだけだったのでちゃんと感想を伝えれなかったのが残念です

普段は、人に話しかけるのにものすごい考え込んでしまう方なので、SAISEIさんをお見かけしても話しかけられるかどうか・・・
今日も出てこられてた役者さんに話しかけられなくてとてももどかしかったのです・・・

MONOはトークショーのある日に観に行きたいと思って、とりあえずチケット買っちゃいました

親近感持っていただいてありがとうございます♪
実は、コメントしていないときもブログをときどき覗かせていただいていて、もう1つ、共通点があるような気がしています。
気のせいかもしれませんので、それはまたいつか(゚ー゚)

よいクリスマスを!!!

投稿: まゆ | 2011年12月24日 (土) 23時17分

>まゆさん

赤鬼、観られたんだあ。
名作ですからねえ。
ちょっと悲しい結末なのが赤鬼らしくはないですけどね。
田川さん、可愛らしくておもしろかったでしょ。

蔵本さんと話されたんだあ。いいなあ、いいなあ(*´Д`*)
私も何度もお見かけしていますが、とてもあの清楚なお嬢様風のオーラにぶつかっていく勇気はないです。
そう、感想きちんと伝えられないんだよね。
よかったですぐらいしか結局言えない。
だから、いつもTwitterとかで少し絡めた方に、先日少しつぶやかしてもらった者ですとご挨拶するのが精一杯。
私もお話しした役者さんはほとんどおりませんわ。

私も話しかけにくいオーラあるみたいだから、多分、声かけにくいだろうな(゚ー゚)

MONOは仕事上、早めに予約するとキャンセルになる可能性が高いからなあ。
観に行くとなると他公演とぶつかりにくい、平日を考えているけど。
トークショーの回かあ。覚えておきます。

共通点は気になるなあ。
何だろう。
まゆさんはブログとかしてないのかな。

よいクリスマスを。
もう私のクリスマスは終わりましたので・・・
でも、イブのショウダウンの作品は相当な名作でした。
こちらをお薦めしたかったぐらい。
あ~いう素晴らしい作品で優しい気持ちになって、誰かとちょっとディナーにでもしゃれこみたかったよ。
普通に帰って、ブログ書いて、徹夜で仕事したからねえ。

投稿: SAISEI | 2011年12月25日 (日) 10時23分

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