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2011年9月26日 (月)

Drop【ほどよし合衆国】110925

2011年09月25日 芸術創造館

初演からずっと観続けている劇団なんですが、ずいぶん雰囲気が変わりました。
私にとってはいい方向に。
若々しさはずっと変わらず、初演時はそれが魅力的だったのですが、前々回公演ぐらいから、それが騒がしさやまとまりの無さに見えてきていたのです。
今回は若々しさを出しながらも、落ち着いた非常にまとまった綺麗な仕上がりだったように思います。

この劇団は初演から今回で5回目ですが、涙を浮かべないで帰ったことがありません。
必ず泣かされます。
変に熱かったり、名セリフがあったり、奇をてらったことは全くしていないラストなんですが、これが妙に涙を誘います。

人と一歩踏み込んで付き合えない女子高生。
決して人嫌いというわけではありません。優しいオーラが出ているのか、人によくお願いされることも多いようです。
それに対して邪険にはしませんが、最後まで深く関わることはどうしても拒絶してしまう。
そんな女の子の人物設定を冒頭の道行く人に話しかけられたりするシーンで簡潔に植え付けます。
ちなみに最後も同じシーンになりますが、この時には女子高生に心の変化があったことを分からすようなシーンに変わります。
全く同じ演出を化石オートバイのプラズマバンドワゴンで見ました。
非常に分かりやすいので好きな演出です。

そんな女子高生の通う学校に外国人留学生が兄弟でやってきます。
日本語が話せる兄に対して、弟は全く話せない。
そんな意思疎通が困難な弟の面倒を見ることになった女子高生が、色々と起こる事件の中で人と接することって何だろうと考え始め、そして人と深く対峙することを克服するまでの話が描かれます。

女子高生役は塩尻綾香さん。どうもこの劇団は若過ぎて、役者さんがなかなか覚えられない。何となく拝見したことがあるような気がするのですが、定かではありません。
どこか踏み込めない人付き合いの仕方をしているという雰囲気がすごく伝わる演技です。何をどうしているのかはよく分かりませんが、セリフの口調や動き・表情でそれが感じられます。
他にもたくさんの女子高生役がいらっしゃりますが、ちょっと顔と名前が一致しない。
ただ、皆さん非常に自然な演技で話に入り込みやすい。
ここもちょっと変わったなあと。
ややオーバーアクションで、くどめの演技をする役者さんが多かった気がしましたが。演出によって色々と変わるんですかね。

この女子高生の話の合間に学校の掃除人が3人出てきます。
MousePiece-reeのお三方、上田泰三さん、早川丈二さん、森崎正弘さん。
コントのようにテンポよく、面白トークを繰り広げます。かなり笑えます。
最初は何で出てきてるんだろう、面白いのはいいけど本筋の妨げにならないかなどと思っていたのですが、実は関わっていることが分かってきました。
この作品の伝えたいのであろうメッセージの一つを別の角度から見せているようです。
本筋の進行に合わせて、話の流れを説明するかのような感じです。
確かに単に女子高生の話だけで進めば、単純な学園ドラマみたいな感じにしかならないかもしれません。これを、この味のある男たちがうまく深みを出していたのだと思います。

最後、意思疎通出来ていなかった女子高生と池に落ちた留学生が手をつながないといけないシーンがあります。
すごく伏線がしっかりしていて、女子高生には友人を同じような状態で助けてあげられなかった過去、留学生には手をつなぐということが許されない異文化の問題があります。
互いにそれを乗り越え、そして理解し合う。その結果が手をつなぐという行動に結びつきます。
この短いシーンですが、電子音やスポットを当てた綺麗な照明で素晴らしい盛り上がりを見せます。
短時間に一瞬で全てを表現し、客を感動させる。こういったうまさが、また涙を誘うのです。

人っていいなと思わせるような作品でした。
普通の人がちょっとしたことを乗り越えて、一歩踏み出す。
そこにはやはり自分と重ねた思いがあり、勇気と元気がもらえるのです。

作品と全く関係ないのですが、この日ちょっとかわいそうだったな。
小さなお子さんを連れたご夫婦が来られたのです。
歌や踊りの楽しい芝居ならともかく、この劇団の感じでは子供が何時間も黙ってられる訳ありません。
私は観劇中のちょっとしたおしゃべりもひどく嫌います。
集中途切れるから。
だから、子供がうるさくしたら嫌だなあと。
観始めて数分でもう何かしゃべりだしている。でも、まあ何とか耐えられるレベル。
その後もちらほらしゃべったりするけど、こちらも我慢して観ていました。まあ仕方ないなというレベルだったので。
最後の15分ぐらいで足をどんどんしたりし始める。
それでも、まだ別に許せるぐらいのレベルだったのです。
でも、親のとった判断は劇場から子供を退出。
まだ観る~と泣きわめく子供。皮肉なことにこの日、一番騒がしくなりました。
劇場の外からも聞こえるまだ観たいと泣き叫ぶ声がかわいそうで・・・
そりゃあ観たいよ。ラストのいいシーンな。子供だから分からないなんてバカにしちゃあいけない。
子供の方が私たちよりももっと何かを感じていたかもしれないよ。

最近、後輩とメタファーを多用した訳の分からない難しい作品がいつまでたってもきちんと観れないような話をしていた時に話題になったのですが、子供が読む絵本みたいだと。
めくっていくたびに色々な世界が広がり、その前後のつじつまが必ずしも合ってないけど、読み終えて何かを感じることが出来る絵本はまさにそんな作品そっくり。
ということは、純粋な子供なら当たり前に分かることなのではないだろうか。
私のような人間は、いつの頃からか物語のような理論で構築される話しか読まなくなって、演劇作品もそうなっていないと拒絶を起こすのかもしれません。
だから、きっと子供が感じることってすごく大きいのだと思う。
強制退出させられてしまった子供もきっと。

こういうのを見ると複雑です。
どうしてあげたらいいのか。
うるさくされるのは嫌。でも見せてあげたい。もちろん、子供だけでなく、お子さんのいる親にも。
子供がいるから観劇はもう出来ないなんてちょっと寂しい。
何かうまいこと出来るといいんですけどね。

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