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2011年9月20日 (火)

アラユル【劇団乾杯】110919

2011年09月19日 FLOAT

もう好き放題に騙されて、びっくりさせられて、あっけにとられて、凄いと思わされて、深く感じさせられて・・・
何なんだよ、この劇団。

帰り、大雨だったんだけど、それすら、この劇団の演出じゃないのかと思わすくらい、巧妙で人をおちょくった公演でした。
これだけ、客を掌で転がせば、さぞかし満足なことでしょう。
薦められて観に行ったんだけど、予想以上に素晴らしい公演でした。

今から思えば、開演前からもう騙されてる。
他の方は騙されてないのかな。よく考えればおかしいんだけどね。
いや、劇場となる倉庫のシャッターが開くと、ごはんとおかずというのれんがかかっているのです。
そして、受付の後ろには定食などのメニューが貼ってある。
食堂の店員っぽい恰好をした人が、受付横で軽食と飲み物を販売している。
私は本当にここは普段、このあたりの人が食べにくる食堂なのかと本気で思ってた。

開演時刻が迫っても、シャッターが開いたまま。
外が丸見えの状態で客は座っている。車とか人が通るのに開けてていいのと思いながら始まるのを待ちます。
受付には、先ほどの食堂の店員っぽい人が1人残って、日経新聞を読んでいる。
もうすぐ始まるよ、大した度胸だなあ、態度でかいなあとか思っていると、外から女性がおなかを抱えてやってくる。
これは役者さんだといくらなんでも分かった。そして、この時初めて受付にいる人も役者さんだったんだあと。
女性はおなかをすかせている。定食を頼んで食べる。会話の掛け合いが面白い。
ゆっくり食べる。すべての動きがスローモーションになる。外を歩く人も。
やがて新聞配達の人がやってくる。
ここで二人芝居があると聞いてやってきたと言い出す。パンを踏むという許されない行為をする芝居らしいじゃないかと因縁をつけ、なかなか帰ろうとしない。
店員が舞台監督を呼び出し、男を追い出す。
そして、アナウンス。
間もなく開演しますと。そして舞台セットを組みだす。
今までの話の意味が分からない状態。最初は冗談だろうと思っていたが、本当にこれから開演するという雰囲気が漂う。
しばらくして、先ほどの役者さんが衣装も変えて登場。

アンデルセンのパンをふんだむすめが原作のこの公演の作品アラユルが始まる。
今、この記事を書くためにこのアンデルセン作品を調べたが、全然関係ないじゃん。
パンを踏むのは踏むけど。ここも騙しだったのか。
先生と生徒のコントのような授業が始まる。
時間割に沿って話は進む。ナンセンスギャグが連発する。
言葉遊びを使った面白いセリフが特徴的。スピーディーにテンポよく。
シャッターの外に出たりと意表を突くことをされながらも、楽しく笑いながら観る。
生徒がパンを踏むシーンの瞬間、先ほどの新聞配達人が登場して、前半終了。

いったん休憩。
ここは本当に休憩。ジュースを飲んだりする。

そろそろ後半が始まると思ったら、先ほどの食堂のセットが用意され始める。
やっぱり戻るんだ、でもどうつながるんだろうと思ったけど、これが意外につながる。
違和感は無い。
学校の先生と生徒、食堂の店員と客がだんだんオーバーラップしてくる。
先ほどの続きなので、女性が食べ終わる。
店を出る前にトイレに行こうとすると、先ほどの新聞配達人が登場。
2人に危害を加えようとするので、また舞台監督登場。それを銃殺。さらにやってきた人まで同じく。
バタバタの中でなぜか向かいのビルとの銃撃戦が始まる。
一応、これも一番最初にネタ振りはされている。
男も銃殺。

舞台が転換する。ラストシーン。
役者さんはその場で着替え始める。
役はもちろん先生と生徒。
このあたりでもう境界線が無くなっている。
出来上がった舞台は飛行機。実はこの公演のチケットが飛行機の搭乗券になっている。技が細かい。
シーンは遠足でニューヨークに行くところ。
一応、先ほどの学校のシーンと流れはつながっている。
映像で機内の注意事項や時刻が表示される。
日付は9.11。
そう、あの日を再現している。

なぜ、ここで9.11を持ってきているのかはよく分からないが、初演から9年経った改訂という作品の時代背景の組み込みの一環なんだろうか。

意表を突かれ過ぎて。
澤森春世さん辻中和美さんの絶妙でテンポのいい掛け合いだけでも凄いのに、それに輪をかけて様々な仕掛けを出してくる。
恐ろしいくらいに力を見せつける劇団だ。

隣に座っていた方の話によると、ここは平気で様々な仕掛けをしてくるらしく、昔はタクシーがやってきて、役者さんが乗ってどっかに行ってしまったこともあるらしい。

これは公演があれば観に行かないといけないな。
ただ、公演はあまりされないみたいだが。
運よく見れて良かった。

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コメント

良いアプローチです。
「パンをふんだ娘」の物語は、実はしっかり活かさせています。
構成は典型的なダブルプロットなのですが、そのカモフラージュさせ方が絶妙に上手いのです。
『舞監@日誌』に掻い摘んで解説いたしました。

投稿: ツカモトオサム | 2011年9月22日 (木) 04時42分

>ツカモトオサムさん

ブログ、ネタバレを避けて、恐らく千秋楽後に追記されるのであろうと心待ちにしてました。

作品名の解釈は、9.11というショッキングな事件により、これまでの当たり前に過ごしてきた世界は様相を変え、アラユルことが起こりえる世界が始まり、そこを私たちは生きていくんだよみたいな感じで捉えていました。
まあ、遠からず近からずみたいな感じでしょうか。

アンデルセンの意味合いは拝読してよく分かりました。
モチーフにしていると言われると、どうしても話のあらすじをなぞった作品になっていないとおかしいみたいな感覚があるので、妙な違和感がありました。
その話から伝えられるメッセージは、確かに共通項がある。
色々調べるとトラウマが残るストーリー・音楽で有名な作品なんですね。このあたりも何らかの意味合いを持たせているのかなと思いました。

笑って観ながら、色んな仕掛けに驚かされる。
単純に楽しい公演でした。

お薦めいただき、ありがとうございました。
見逃すところだった。

投稿: SAISEI | 2011年9月22日 (木) 15時52分

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