それでも地球は回っている【大阪大学劇団六風館うつせみ公演】110910
2011年09月10日 芸術創造館
我が母校ということだけでちょっと観に行ってみたんだけど、すごく良かったな。
科学と戦争という葛藤をガリレオの名言をベースにしっかりと描いています。
脚本は神田圭祐さんか。HPで調べたけど、本当に学生なのか。こんなすごい話を創りあげれるのかあ。
所属は工学部。私は20年以上の先輩ですな。遠く離れた後輩だけど何かやっぱり嬉しいなあ。
(以下、一応ネタバレ注意。大したことは書いていないので、白字にはしません。公演は日曜日まで)
それでも地球は回っている。ガリレオの名言。
宗教裁判の中で発した言葉という説もあるが、実際は裁判後に言っていた言葉らしい。
彼は、裁判でかたくなに地動説を主張して自分の名誉を守るよりも、まだまだ自分がしなくてはいけないことがあった。そこで終わるわけにはいかなかった。
時は進んで、ナチスが政権を奪取したドイツ。
ユダヤ人への迫害によって優秀な科学者たちもドイツを去っていく。
かの有名なアインシュタインもその一人。
アメリカに亡命したアインシュタインは連合国家の下で原爆開発の研究を推進する。
狂気的なナチスに開発を成功させてしまえば、多くの人達が不幸になる。この信念の下に。
しかし、その開発は日本において悲惨な数多くの犠牲者を排出する。
戦後、アインシュタインは責められる。
ドイツ人であったために、ドイツに残って研究を進めていたかつての同僚たちが戦争に自らの研究を利用されないように隠し通したのに対して、自分は・・・
アインシュタインは、その後も研究を進めるが、科学を戦争に利用されることのないように科学者の独立した自由を守る基盤を作って死を迎える。
それはガリレオが、地動説を完璧なまでに証明し、一切の反論を受け付けないレベルの書物を残して死を迎えたことに通じる。
科学者が、最後まで逃げ出さずに自らの信念を貫き、自分がやれることを精一杯やり通した誇りを感じさせるような話だった。
今のすぐ辞めてしまう政治家あたりに見せたい作品ですな。
そして、自分自身にも。
どこまで史実に忠実なのかはよく知りませんが、分かりやすい流れで、どうしても一般受けしにくい難しい科学の世界をうまく表現しています。
そこに渦巻く人としての感情の起伏は見事に表現されていたように感じます。
偉そうに書けば、個々の役者さんを見た時は若干の違和感を感じるものの、全体的にはこの作品の世界が大変よく伝わってくる。
観る前は、これは絶対寝てしまうなと思っていましたが、いやあ全然。
話の展開にどんどん引き込まれて、興味深く観劇できました。
終演後、少しつぶやきましたが、史実を下に映画を見ているかのような重厚な雰囲気の中で最高級の作品をいつも見せてくれるバンダムクラスステージという劇団をイメージしました。
あまりにも凄すぎる劇団なので、比較してしまうのはバンダムさんに失礼かもしれませんが、分かりやすい褒め言葉として名前を挙げさせていただきました。
12月の新人公演も行ければ足を運びたいですね。
豊中キャンパスか。懐かしいな。
20年ぶりにちょっとフラフラと寄って楽しませてもらおうかな。
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