ハニー・ファンタジー【劇団ヴァダー】110702
2011年07月02日 神戸アートビレッジセンター KAVCホール
劇団としては初観劇になると思います。
さすが、もう21回も公演されているだけあって、思っていた以上の迫力ある舞台でした。
作品名のとおり、ファンタジー。
RPGゲームのように個性豊かなキャラを持つチームが、魔物を倒しに行くといった感じの話です。
そこに各々のキャラ、魔物のこれまでの背景を描きながら、話を進めていく。
この部分はあまりファンタジーではなく、社会問題も含めた現実的な話題になっています。
楽しいキャラだけを見ていれば子供も楽しめるし、深い話を色々と考えながら見るという大人の観方もできる。
子供も楽しく観れる作品を目指しているという前説のとおりで、なかなか面白かったです。
舞台は魔法リハビリ学校。
好奇心旺盛明るく元気な女の子、いつも食べてばっかりくよくよして頼りないけど優しい男、知識・人生経験ともに豊富なしっかりしてそうでちょっと抜けてる中年男、ほとんどしゃべらず何を考えているのかよく分からない女の子。
みんな、何らかの理由で魔法が使えなくなり、ここでリハビリを受けています。
いつも元気で生徒の味方の優しい先生と、とにかく厳しい校長の下、学校生活を過ごします。
この学校、地下に封印した魔物がいます。
魔物とは魔法使いが溢れる怒りや悲しみの感情をコントロールできずになってしまった物。
そんな魔物を見てみたいという好奇心だけで、地下に向かった4人組は・・・
虐待を受けたことから憎しみの塊になったもの、娘を失った深い悲しみ・殺した人たちへの激しい憎悪を持ち続けるもの、みんなから相手にされないつらさから自尊心が大きくなり過ぎたもの。
そんな魔物と自らの過去を打ち明けながら、心を通じ合わせていく4人組。
心穏やかになった魔物が浄化された時、・・・
4人組のキャラが秀逸。
元気な女の子:中島由美さん、頼りない男:牛島龍馬さん、中年男:友田かずをさん、よく分からない不思議な女の子:岩切千穂さん。
特徴を生かしたキャラ設定は、話をRPGのようなゲーム感覚にとらえさせ、次どうなるのかと一緒に冒険しているかのような錯覚に陥らせてくれます。
魔物の特徴的なキャラクターも、もちろんそれに大きく貢献。
その反面、魔物が抱える悲しい過去、4人組がのリハビリが必要になるくらいの悲しい過去は、現実的でとてもファンタジーからは逸脱している話。
深く考えてしまえば、とてもファンタジーっぽい衣装やこの魔法使いという設定自体に違和感を感じるぐらいのものです。
その矛盾する感覚をうまくバランスを取りながら、話を進めるなあといったところが、なかなか魅力的だったように思います。
時折、入り込むダンスも幻想的なものをイメージさせ、作品の世界観にどっぷりつからされます。
さすが、歴史があるだけあって、引き込み方は見事なものです。
次回は11月。
これだけのものを見せてもらえるならば、足を運ぶ価値は十分にあるでしょう。
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