アノドア【家和○組】110701
2011年07月01日 芸術創造館
旗揚げ公演。
ホームページを拝見した限りでは、素人・玄人入り混じり、そのつどメンバーが集まるようなプロデュース公演をする劇団のようです。
そのため、趣味で芝居をしたいからという感覚の方もいらっしゃるとのこと。
こういう情報をあらかじめ見てから観劇した影響もあるのかな。
やっぱり、普段と違って、何か観ていて微妙な不安定さがある。
知り合いとかだとまた話は違うのでしょうが、見ず知らずの私のような者が観に行く限り、違和感がどうしても・・・
こういうものを感じると、いくら話が面白くても、それを十分に味わいにくくなります。
話はとても良かったですけどね。
もっと感動した、最高だったとまで感じられなかったのは、上述したようなところが影響していると思います。
話のテーマとしては、家族なのかな。
独りじゃない。何もしてないようでも、誰かの支えになっていたり、支えてもらっていたりする。
だから、何も心配することない。今、自分がしたいことをすればいい。
支えてくれていた人にありがとうと言えばいいし、今度は支えてあげればいい。また、支えてもらってもいい。
家族だから。
といった気持ちになる話でした。
作品名のとおり、舞台は二つのドアをとおして進みます。
一つは引きこもりの男が暮らすアパートの部屋のドア。
男はそのドアから部屋の外に出られません。
昔、ある事件から実家を追い出されるような形になってしまい、そこに住んでいます。それ以来、家族を憎むようになっています。
と言っても、その家族も今はもういません。事故でみんな亡くなってしまったのです。
部屋の中で男はずっと家族を憎み続けます。いや、そうではありません。そうすることにより、前に進まず、逃げているのかもしれません。本当は家族を部屋の中で愛し続けているのです。
もう一つは実家のドア。
アパートに住む男の部屋には毎日、顔を出してその部屋に居ついている女がいます。
兄の妻です。つまり義姉。
義理の弟が心配なのでしょう。血のつながりが無いとはいえ、今となっては唯一の家族。自分が少しでも支えにと思っての行動でしょう。
でも、それだけではありません。
彼女にとって男は支えの対象でもありますが、同時に支えられてもいます。
この義姉、実家に戻れないのです。事故のショックなのか実家のドアを開けて中に入れない。
彼女もまた逃げ続けており、前に進んでいません。彼女は部屋の外で家族を愛し続けています。
こんな二人がお互いの気持ちが通じ合って分かりあえるまでの話が描かれます。
周囲には大家さん、男がよく見ているテレビで人気のダンサー・歌手、妊娠している謎の女の子。
それと、空想世界の自分の今、向かわないといけないところへ連れて行ってくれるバスの運転手。
二人がごく普通の男女なので、周囲のキャラはかなり個性的に設定されており、話に緩急をつけているようです。
こんな周囲の力添えもあって、最後にはハッピーエンドを迎えます。
ドアという境界線、そこを通過するということを、一歩新しい人生に踏み出すような形でとらえられ、分かりやすい話でした。
ただ、何らかの違和感を感じたのも事実。
私が拝見したのは初日。受付も含めてちょっとバタバタしていた感じでした。
これを書いている本日は、千秋楽。きっと、そのあたりも補正してより素晴らしい作品を演じられているかもしれません。
いい話なので、それを存分に客に伝えてくれていたらいいなと思います。
| 固定リンク
「演劇」カテゴリの記事
- 【決定】2016年 観劇作品ベスト10 その3(2016.12.31)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その2(2016.12.30)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その1(2016.12.30)
- メビウス【劇団ショウダウン】161209(2016.12.09)
- イヤホンマン【ピンク地底人】161130(2016.12.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント