プラズマバンドワゴン【化石オートバイ】110626
2011年06月26日 インディペンデントシアター2nd
う~ん、なかなか面白いメタフィクションですなあ。
と偉そうに新しく知った言葉を使いました。最近、ある方のブログを勉強のために読んでいて知ったのです。
個人的にすごく好きな設定があって、ある登場人物が拾った本を読んだりして、場面が切り替わって、その本の内容を演じたシーンに、そして最後は元のシーンに戻ってエンディングを迎えるみたいなやつ。
つい先日もそんな設定の作品を観て、どう言えばいいのかなと思っていたら、意外にすぐ答えが見つかりました。
そうです。私はメタフィクションが好きなんです。
そして、もう一つ好きな設定が。
時間軸をずらした話をパラレルに進ませながら、いつの間にかそれがつながるようなパターン。
これはけっこう多いと思います。
登場人物の過去や未来のシーンから、現在の状況がちょっとずつ分かって、最後、うまい具合に融合するみたいな。
あまりにも複雑すぎると付いていけないのでダメなんですがね。
この作品は両方ともその要素が入っています。
その設定が非常に面白かったなという感想です。
ただ、面白く笑えるという点では前作のスタンプラリーの方が上。その代わり、今回の作品はちょっといい話に仕上がっているようです。
清掃業者のある男。
特に何もなく普通に暮らしている。
日々同じことの繰り返し。
ある日、依頼先のアパートに行く。
部屋の片づけを依頼される。
そこには数十年かけて書かれたたくさんの原稿が。
そっと手に取り、読んでみると・・・
ある男。
何か地図を見ながら、ビル街を歩いているとどんどん入り組んだ道に。
たどり着いたところは見たこともない大都会。
50階建ての高層タワーがそびえる。
そこは外の世界で生きていけなくなった人たちが集まり生活する世界。
最近、その世界で稲妻が発生して、人を傷つけるという事件が発生している。
何やら姿の見えない怪人がそれに関わっているという。
その謎を解明するべく、事件に巻き込まれる男。
事件のカギは高層タワーの50階にあるという。
知り合った仲間たちと50階へ向かう男は、この事件の真相を知る。
その真相は・・・
DVDを初めて出すそうなので、控えておきます。
というか、けっこうボリュームあるので、書くのしんどい。
50階へ向かうまでに、真相が徐々に明らかになっていきます。
その真相を知るためには過去に起こった重要な事件が絡んでおり、その時のシーンが盛り込まれながら、現在の50階へ向かう様が描かれるわけです。
50階への道は、前作と似ていて、RPGのように山あり、谷あり。
何役もの様々なキャラクターに扮した役者さんが、次々にスピード感あふれて登場するところは、全く飽きがきません。
関西を代表する役者さん方なので、それはもう面白さが絶賛と書きたいところですが、前作に比べればそこまでではなかったというところが正直な感想。
前はもっとたたみかけるくらいのかぶせ方で笑わしてもらいましたが、今回はまあ面白かった、さすがだなというくらい。
ただ、これには理由があって、事件の真相がとても切ないのです。
単なるドタバタコメディーではないのです。
その発端を描く過去のシーン、そしてそれが現在までつながっている切ない事実が明らかになるにつれて、そちらへの心の傾きの方が大きくなってしまったようです。
この切ない中にも何か運の悪い男だなあという雰囲気が、演じる平林之英さん(sunday)にぴったりでした。
やがて、この世界での事件は解決します。それは同時にこの世界の崩壊につながります。
住んでいた住民たちはもう一度外の世界へ目を向けて生きていかないといけません。
そんな原稿に書かれたことを読み終えた男は、また普段の生活に戻ります。
特に何かが大きく変わったというわけではありません。
でも、ちょっとしたことに気づいたり、感謝したり、小さなものにこだわらなくなったり。
原稿に描かれた人たちの優しいくて強い気持ちは、ほんの少しだけ、男を動かしたみたいです。
個性的な役者さんの魅力的な演技を見せながら、心温かいストーリーをバランスよく描いた作品。
個人的には、今回の役者さん達なら、もっと色々な技もってるだろうという感じですが、あまりやり過ぎても肝心の話を殺してしまうのかもしれません。
面白かった、そしていいお話だったと同時に想わせる素敵な作品だということでしょう。
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