ストリッパー物語【劇団大穴】110608
2011年06月08日 一心寺シアター倶楽
劇場主催のつかこうへい追悼企画第2弾。
公演期間が短く、たった2回しか公演がない。
第1弾の熱海殺人事件を見逃しており、これも厳しいかなと思っていましたが、観れてよかった。
いや、本当によかった。
名作を、どこもそうでしょうが真摯で懸命なこの劇団によって作り上げられた作品を観れて。
自然に引き込まれ、涙があふれてくる(我慢しましたが)。
強い力を感じる素晴らしい作品でした。
古き時代のストリッパーの話。
ひもの男とブロードウェイみたいな大きな夢を見ながらもストリッパーに留まる女性の切ないお話です。
希望や夢の語りの中で、常につきまとう惰性やあきらめみたいな負の感情が渦巻いており、全体的には暗い印象。夢という光が純粋に語られるから、影の部分がより深く刻まれている。
もどかしさや良い結末を迎えないだろうという不安を感じながら観ることになる。
今でもこんな話はあるのかな。
もう時代が変わったのだろうが、色々な気持ちは強く伝わってくる。
形は変わっても、きっとこんな切ない話はちらほらしているのかもしれない。
ひもの男、マツイカヅアキさんの途中しばしば入り込む、心情を苦しいまでに一人で語るシーンは圧巻。
気持ちが伝わってくるというのはこういうことを言うのだろう。食い入るように聞いている自分がいる。
ストリッパー、山口紗貴さん。強かったり、弱かったり。真剣だったり、おちゃらけたり。揺れ動く感情が表現されるたびに物悲しい。影絵を利用したストリップシーンは息をするのも忘れるくらいに見惚れる。そして、涙がこみ上げてくる。SEXで人を泣かすなんて、なかなか出来ることではない。
基本的に暗く、切ない話なのですが、観ている間ずっとそうというわけではない。
ちょっとした政治的時事ネタや役者さんの個性的な笑いがところどころに盛り込まれる。
つか作品原作を知らないので何とも言えないが、これが劇団のアレンジならば、緩急の付け方が私のような素人にはとても観やすい。
とにかく、すごいなというのが感想。
つかさんもこの劇団も。そして、こういう企画を考える関西の劇場が。
アフタートークショーには、現役ストリッパーの春風るなさんが登場。
本当に舞台でストリップをされました。
一番前に座っていたので、目のやり場に困る。ただ、よく本物のストリップはエロいよりも芸術を感じるなんて言いますが、何か分かる気がします。
ダンスの美しさの方が確かにエロさを超えてしまっている。
それよりもトークショーでは、ちょっと電池切れちゃったんじゃないのかなと思うぐらい、ぽけ~っとされている。
ストリップされていた時のオーラとかが完全に消えるのでびっくり。いい意味でも悪い意味でもプロですな。
2回しか公演が無かったのが残念。
もう一度あれば、多分優先して観に行っている。
でも、こういう作品は1回切りだからこそいいのかもしれませんがね。
劇団大穴はこれで活動休止。それぞれ色々なことに挑戦されるみたい。
皆さん、ご活躍いただきたい。こんな素敵な作品を作る劇団の役者さんですから。
もう少し、違う作品も観てみたかったけど、最後にこの作品を観れてよかったです。
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コメント
劇団大穴代表のマツイカヅアキです。
演出と役者としてはヒモ役やらせていただきました。
台本はほぼ変えてないですが、ラストのファイティングマリのシーンは、完全に僕が書き足しました。あと、オリジナルは司会という役がないので、そのシーンも僕が書きました。
演出は、かなり違うと思います。
特にスクリーンを使ったストリップシーンというのはオリジナルではやっていないので、最初からやろうと思っていました。あのシーンで一番みせたかったのは、明美が服を着るところでした。
戦争が終わってからの、アメリカと日本の関係を書いた作品です。ストリッパーとヒモです。日本はアメリカのヒモでありながらも誇りは同じラインでいようという話しでした。それより大事なのは愛なんですが。
長くなってすみません。
ブログに感想書いていただき、ありがとうございました。
突然のコメント、お許しください。
ご来場ありがとうございました!
投稿: マツイカヅアキ | 2011年6月15日 (水) 08時16分
>マツイカヅアキさん
うわ~、すごい方からコメントいただいた。
2年前に観劇し始めた頃、コメディーユニット磯川家で拝見した時から面白い役者さんだなあと思ってたんです。
舞い上がっています。
作品の解釈まで書いていただいてありがとうございます。
とてもいい勉強になります。
原作を観てみよう、もっとつか作品を味わってみようと思わせられました。
なので、今、その後の追悼企画も全部観ています。
私にとっての最初のつか作品。
この劇団、マツイさんの演出で、観劇できたことをとても嬉しく思っています。
皆様、それぞれの道へまた進まれるようですが、また何らかの形でお姿を拝見できることを楽しみにしております。
月並みですが、応援していますのでご活躍ください。
ありがとうございました。
投稿: SAISEI | 2011年6月15日 (水) 18時06分