ルルドの森【イズムプロデュース公演】110606
2011年06月05日 芸術創造館
これは怖いな。
怖いのと事件の真相はいったいどうなんだという気持ちがどんどん膨れ上がり、相当舞台に引き込まれてしまった。
しかし、何でそう思うんだろう。
かなりえぐい猟奇殺人事件を扱った作品とはいえ、テレビや映画でもまあ似たようなものはいくらでもありそう。
でも、きっと今回のような恐怖はきっと感じないんだろうな。
そこが言葉では伝えにくい演劇の魅力なのだと思う。
逆に演劇よりも映画の方が絶対いいよと言う人の気持ちも、こういう作品を観ると分かる気がする。
それにしても、2時間の間、異常な世界に普通に引き込んでくる作品や役者さんの力はすごいものだ。
過去にも何度か公演されている有名な作品のようです。
ネットで見た限りでは、2008年にもロクソドンタで公演されている。
役者さん見ると、私のお気に入りの石神禿さん(ステージタイガー)も出演されている。どの役だったのかな。この猟奇的な雰囲気が漂う作品で見てみたかったな。
猟奇的な連続殺人事件。
脳や肝臓など体の一部が綺麗に持ち去られた異常な事件だ。
管轄の警察署が動き出す。
責任感、部下からの信頼厚い上司に、4人の部下。
主人公とも言える精神的に少し病んでいる男、その男の面倒を任されている友情厚い男、後輩に当たるが気が強く男を毛嫌いしている女、その相棒のちょっと頼りない男。
容疑者の女性が見つかり事情聴取を行うが、どうも昔の人気テレビドラマ「ルルドの森」が重要なキーワードになっていることが分かる。
その時のヒロインをカルト的に崇拝する者も多く、容疑者はその一人。
殺された者もそのヒロインと深く関わった者ばかり。
そんな中、精神的に病んだ男は容疑者の友人と出会い、同棲を始める。
この友人もヒロインを崇拝する者の一人。
やがて、事件に隠された「ルルドの森」の恐ろしい秘密が明らかになる。
秘密の中には、人食いによる他人との同一化の概念が入り込んでおり、そこにはおぞましい考えと同時に、そこまで追いつめられた愛が感じられる。
常軌を逸脱しているようだが、そもそも常軌すら何なのか分からない
たとえ死んでも、何が残っていればまだ世界に存在することができるのか。
何があって、何を失ってそのような考えにまで行き着いたのか。
複雑な感情が渦巻く中、最後に分かる事件の真相に驚かされる。
愚かで汚くも感じるが、その反面、美しく崇高な考えであるような気もしてしまう。
舞台は奥の方に棒が数本立っているだけで特に何もない。
そんな舞台が、役者さんと美しい照明、迫力ある音で幻想的な空間になっていた。
ぞっとさせられ、恐ろしくも美しく素敵な作品でした。
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