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2011年5月23日 (月)

DOLLY【ムーンビームマシーン】110522

2011年05月22日 インディペンデントシアター2nd

まず、切なかったなあ。
ネタバレになってしまいますが、キラキラ星で涙が出そうになるなんて、なかなか無いんじゃないでしょうか。
役者さんが純粋にけがれの無い雰囲気を出す方だからなおのことでした。

感想としてはこれですが、舞台としては圧倒されるくらいのエンターテイメント性の高い作品でした。
ここは前回公演もそうですが、まずオープニングでしびれます。

開演前からけっこうすごいイベント。
役者さん方と、何とあのいいむろなおきさんによるパフォーマンスショー。
すごいですねえ。お得感満載です。一番前で観ていたので、迫力満点でした。

さて、作品としては題名にあるドーリーがキーワードになっています。
ドーリーというのは人間そっくりの人形。
単なる人形ではなく、その場にいなくても念じるだけで、その人の思いのままに動かせる。もちろん、人形が触ったり味わったりする感覚も伝わってくる仕組みです。
そんなドーリー達が集うテーマパークがドーリータウン。
そこでは、元々いる単なる人形とともに、色々な人たちが人形になって、現実では味わえない人生を楽しんでいます。
出ていく時は、あらかじめ設定しておいたその人の大切な物を思い浮かべて使うと人形が停止する鍵を用います。

このテーマパークの創始者はある博士。
死後は歌を唄う単なる女の子人形が仕切っています。

そんなテーマパークにやってきた少年が主人公。
病気がちで外に出れない少年は、この架空世界で楽しみます。
ところが、事件に巻き込まれることになります。

博士の死は、実は博士の弟子とある組織の陰謀だったことが発覚します。
その組織の人間がドーリーとなって、このテーマパークを停止させようとしているみたいです。
博士の弟子が罪を悔やんですべてを告白しました。
それに協力した単なる人形もいるようです。

テーマパークを停止させるには、女の子人形がある歌を唄った時。
でも、その時何が起こるかは、この時はまだ分かっていません。
衝撃の結末・・・

DVDが販売されるみたいなので、あまりネタバラシにならないようにしておきます。
本当は自分が見返した時のために、覚えている間に書き記しておきたいのですが、まあ、印象に深く残った作品なので、後からでも思い出せるでしょう。

上には記しませんでしたが、ドーリータウンには本物の人間も入り込んでおり、これが人間が操る人形との深い絆を描くエピソードも含んでおり、ところどころに感動させる部分が盛り込まれています。

まあ、何と言っても、博士の死やドーリータウンの存在意義が最後に全て明らかになった時に切ない気持ちになります。
ラストの女の子人形が歌を唄う中で、ある決断をした主人公の男の子、そして博士の死に関わった人形との会話は涙でした。役者さんは高依ナヲミさん、寺本奈央さん、土性正照さん(劇団赤鬼)。
観ないと分からないでしょうが、明るく純粋な雰囲気を最大の不安の中でしっかりと出す寺本さんの精一杯の笑顔と全てを悟り、優しく穏やかな表情の土性さん。
その中で未来への希望たっぷりに唄う高依さん。
演劇作品を観る醍醐味はこうところにありといった感じです。映像・活字など他の表現手段では伝えられないことだと思います。

最後にちらっと少しブラックな要素を入れるのは脚本を書かれているSarahさんが好きなのかな。
単に終末を迎えるのではなく、時はまた繰り返すといった感じは、前々回作品だったかドロテアノヒツギを少し思い出しました。
前々回の時も少し感じたのですが、こういう場合は、どう捉えればいいのかな。
また、同じこと、過ちを繰り返すかもしれないよという毒があって皮肉っぽい感じなのか、今度こそまた違ったみんなが幸せになれる結末を迎えられるので今の悲しみを希望に変えようって感じなのかな。
まあ、どちらにとっても尾を引かせるという意味では、うまくやられちゃうなと思いますが。

役者さんであと二人。
組織の人間のドーリー、福地教光さん(バンダムクラスステージ)。自劇団の公演でもそうですが、狂信的に暴力をふるう姿があまりにも真に迫っていてちょっと震えます。
今回はシーンでいいむろなおきさんと戦いあうところがあるのですが、お二人ともすごい体のキレなので、迫力抜群でした。

ダンサーさんも多く出演されており、様々なシーンの美しさはかなりのレベルだと思います。
パントマイムなども盛り込まれたりして、楽しませるという点では関西小劇団の中でも一級品ではないでしょうか。
この劇団らしい、素晴らしい作品でした。
次回は12月だと言っていたかな。ここも優先で観に行く劇団になりそうです。

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コメント

SAISEIさんこんばんは☆
書き込み失礼します。

ムーンビームマシン『DOLLY』、トミー・タッカー・福地教光(バンタムクラスステージ)です。
この度はご来場いただきましてありがとうございました!!
いつも舞台を観て下さって、感想をあげてくださって、
参考にも励みにもさせていただいています。

僕たちの作った舞台が少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。


それでは失礼致しましたm(_ _ )m

投稿: 教光 | 2011年5月24日 (火) 01時59分

ご来場、誠にありがとうございました!
いつもブログに書いて下さり、感謝を申し上げます☆

今後とも、お楽しみ頂ける作品づくりを目指して参りますので
ムーンビームマシンを何卒、宜しくお願い申し上げます。

ムーンビームマシン
主宰・Sarah

投稿: Sarah | 2011年5月24日 (火) 03時37分

>福地教光さん

こちらこそ、つたない感想を読んでいただいてありがとうございます。

ブログも少し拝見しましたが、暴力芝居はやはり同じように思っている方が多いんですね。
今、LINX'S 02のDVDを鑑賞中ですが、優しいMCっぷりと舞台での迫力のギャップに改めて驚いています。

年末までまだまだ色々と舞台で拝見できそうですね。
楽しみにしております。
ご活躍を。

投稿: SAISEI | 2011年5月24日 (火) 11時03分

>Sarahさん

コメントありがとうございます。

相変わらずの迫力ある作品を存分に楽しませていただきました。
そして、いつもながら少しほろりと・・・

今後も益々期待しています。
最高の作品で私たちに衝撃を与えてください。

ありがとうございました。

投稿: SAISEI | 2011年5月24日 (火) 11時09分

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