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2011年5月16日 (月)

俺のカー・オブ・ザ・イヤー【売込隊ビーム】110514

2011年05月14日 ABCホール

さすがだったな。
何か影や悪意みたいなものを終始感じさせられるのに、なぜか面白く話が進行する。
いい結末は迎えないなとは思っていたけど、最後にその影みたいなものが強烈に突き刺してくる。
観終えて怖さや不安が残る。

DVDを含め、幾つかの作品を拝見して思っているこの劇団の一つのパターン。
全く楽しいだけのパターンもあるんだけど、ここの場合は今回のような方が似合っているように感じる。

作品名のとおり、舞台に軽トラが一台。

軽トラの持ち主。
優柔不断が外面に出てしまっているようなしっかりしない男。
ある日、軽トラ周辺で何かをしようとしていた女性に、誘われるままにドライブに出て関係を深めてしまう。
彼女がいるのに。

彼女にばれて、3人で話し合いをするそんな最悪の日。
軽トラに乗って出発しようとすると、15年ぶりの友人が現れる。
この友人とは学生時代に、ある組のやばい仕事、どうやら死体運びをこの軽トラを使ってやっていたみたい。
友人は最近出所し、まだ足を洗っていないようで、もう一度仕事を迫ってくる。

一方、女性セールスマン二人組。
軽トラを営業車にして、何やら怪しげな物ばかり販売している。
会社はある組が関わっているみたい。

軽トラの近くをウロウロする男二人組。
組員みたい。
それも一人は組長の弟。
ふざけたじゃれあいをしながら車上荒らしをしようとしている

おとなしそうな中学生。
女性セールスマンの運転する軽トラに引かれそうになる。
なぜかかばんにキリを隠し持っている。
そういえば最近はやっているパンク事件。
父は最近出所したばかりだと言って、姿をくらます。

並行して進む話は、全てどこかで接点があり、やがて謎が解明されていく。
キリ事件の犯人は、絡む組とは、女性セールスマンの会社とは、男が浮気した女性は、・・・
何かを隠し持って生きている人ばかりが迎える結末は・・・

軽トラの下で、二人芝居状態のシーンがけっこうある。
女性セールスマン、男と友人、男と浮気相手の女性、組員。
この会話の掛け合いが絶妙でとても面白い。
特に三谷恭子さんと都留﨑夏子さん(ブルドッキングヘッドロック)の女性セールスマンの先輩後輩コンビは絶賛。これだけで2時間ぐらいは聞いていられる。ただ面白いだけでなく、内容も謎解きにしっかり絡んでいるのだが。

何かを秘めた中学生は辻るり子さん。同劇団のトバスアタマでも同様な役だが、ストレスがたまって何かをしでかしそうな雰囲気が恐ろしいくらいににじみ出ており、すごいはまり役。

途中、色々な謎が解明されてきて、ちょっと怖い展開になっても、それをいったん壊して暗い雰囲気を作りださない。店員役で、どこかストーリーとは外れた位置に常にいる草野憲大さんの役割なのかな。

役者さんたちが、うまくバランスをとってスムーズに話を展開しているなあと感じる。
旗揚げ15年にもなる劇団の大きな力なのだろう。
わざわざ、そんな風に書いたのはこれでいったん休止するみたい。
どういう休止なのかはよく分かりません。
チラシには、体制の改組みたいなものらしいですが、劇団名も変わるかもとか書いてあるし。
どちらかと言うと客演で拝見する役者さんが多いので、これからも多分舞台でよく見かけるのでしょうが、やっぱりこの劇団の独特の雰囲気はこれからも味あわせて欲しいですね。

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