ワスレガタミ【モンキーレンチ】110504
2011年05月04日 シアターカフェ Nyan
芝居が濃いいなあ。
狭い劇場で、これぞ演劇といわんばかりのセリフの言い回しに動き。
これはこれでけっこうはまります。
映像をうまく使って舞台の臨場感を出されているのが印象的でした。
2本立て。
最初はからゆきさんの悲しい史実を基に作られた作品。
新しい勤め先も決まり、携帯を変えたのか連絡がちょっととれなくなっているけど彼女がいる普通の会社員。
破格に安い家賃で住み始めたマンションの一室。
安いだけあって、童女の幽霊が現れる。
聞けば、明治生まれの14才。確かに姿恰好は明治を思わせる。
それにビーフジャーキーやカルピスなど今の普通の食べ物を知らない。
自分がなぜこうしているのか分からないらしい。
一緒に住んでいる中、人相学にたけていることが分かる。
新しい勤め先の社長や彼女などの写真を見せるといいかげんな人であることを見抜き、難を逃れる。
そんな恩もあり、何とか成仏させようと、まずは記憶を蘇らさせようとするがなかなかうまくいかない。
ある日、童女はテレビに映った東南アジアの映像を見て、自分はここで死んだと言い出す。
それはからゆきさんの悲しい過去を語る映像だった。
こんな時代もあったんだなと思い出させられる話。
会社員役の中山治雄さんのかなりオーバーリアクションの芝居と童女役の白亜さん(ゲキバコ!)のかわいらしく無邪気で純粋な雰囲気の中に潜む哀しみの見事な表現に圧倒された。
2本目はよく分からなかった。
これも戦時中生まれ、満州、サハリン収容所を経て、帰国した男の話。
裸一貫で大工を営みながら、愛する妻と3人の息子を立派に育てて亡くなった男の3回忌が舞台。
妻、3人の息子に各々の妻が集まっている。
残された手帳には、経歴など色々なことが書かれている。
その中に体の部分を用いた言葉(例えば、目が利くとか)がたくさん羅列している。
苦労しながら懸命に真面目に生きてきた男の生涯を表しているかのよう。
ただ一つ、書き忘れている言葉。喉仏。
何となくは分かるんだけど、だから何なんだろうといった感じ。
3回忌という悲しみにくれるわけでもなく、大盛り上がりするわけでもない静寂な中、語られる言葉にしんみりと聞き入った。
先ほどは童女役をされていた白亜さんが今度は妻、つまりおばあちゃん役。
1本目と全く違う。さすがは女優。変化っぷりがすご過ぎる。
劇団としては初観劇でしたが、演劇作品らしい感じでした。
2本目の静寂なシーンなどは、単なる映像作品だとあの雰囲気は多分出せない。
今回は番外公演みたいなので、ちょっと本公演も注目したいと思います。
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