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2011年5月 2日 (月)

孤空通信【浮遊許可証】110429

2011年04月29日 インディペンデントシアター1st

あ~、モヤモヤするよ。
この終わり方。

普通、こういう結末になるだろうというような、分かりやすい設定に、話の進み方なのにそうじゃない。
ものすごくあいまい。
現実に近いと言えばそうなのだが、心がすっきりしない。
これが手なのかな。

舞台は小さな食堂。

名シェフとして店を賑わせた男は、彼の愛する女性と彼女や店を慕う者を残し、この世を去る。
ずっと行方をくらましていていた亡くなった名シェフの幼馴染が店に戻ってくる。
彼も残された店の女性を愛している。
ここで店をもう一度盛り上げでもできればかっこいいところだが、いかんせん腕が追いつかない。
彼女と約束した1年経ってもスープすらまともに作れず、店はもうおしまい。

そんな日の夜、百年に一度の流星群が店を直撃する。
そこに現れた、先代の名シェフ。
彼は幼馴染にスープの作り方を教える。
女性がずっと望んでいた先代シェフのスープ。
店はいきなり大繁盛。

でも、彼女と1年前に約束したスープは・・・
これは先代のスープ。確かに彼女が望んでいたもの。
この約束だけは守りたい。
先代のスープに手を加える。
完璧なレシピが狂った結果は・・・

時間の経過があるような書き方をしていますが、実際はたった一晩の出来事です。
まるで夢を見ているかのような話、そして実際観ている者もそんな気になってしまうような独特の雰囲気が終始漂います。
最後はまあ、先代シェフは去り、残った男と女がハッピーエンドみたいな形を想像しませんかね。
そうでないわけでもないのですが、それがはっきり描かれません。
たった一晩の奇跡が起こったわりには、次の日はまた普通の日が来るみたいな印象をもってしまうような終わり方でした。
言葉でうまく書けません。とにかくもやもやする。

目を引いた役者さん。
というか、今回はこの方目当てでしたから当然なのですが、石神禿さん(ステージタイガー)。
幼馴染のダメな料理人役。
今回の役のように、一生懸命、でも能力不足、葛藤、でも純粋に不器用に頑張る・・・、こんなイメージが私の中ではぴったりの役者さん。
表情や動きなども、すごく上のイメージを印象づけさせます。
とっても優しい雰囲気で今回も非常に良かった。

当日チラシに書かれていましたが、作・演出の坂本見花さんはコトバをとても大事にされているみたい。
作品中にも童話のようで温かくなるようなコトバが散りばめられていました。
そんな素敵なコトバを見つけながら、心温まる話を観て、なぜかただ温かくなるのではなく、ちょっとした不安感とともに劇場を後にするみたいなことを楽しめる劇団なのかもしれません。

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