BOOK第3巻【ピースピット】110320
2011年03月20日 精華小劇場
観方も大体分かり、本編がどう進むのかとともに、どんな行間が潜んでいるのかが楽しみになってきました。
この巻はほとんど行間のお話。
2巻とはうって変わって、物悲しいエピソードが語られます。
「マリーベルの鎮魂」
本編では国王になった長兄と国を去って冥界の力を得ようとしている次兄の完全戦争の準備がなされる内容です。
いよいよ、戦いあう星の下に生まれてしまった兄弟の悲劇が佳境へ向かうといった感じです。
でも、その行間では、次兄による冥界との契約により、瘴気病という不治の病が蔓延し、滅んでしまう村も出てきます。マリーベルもそんな1行で滅んでしまう村。
自分の愛する人、愛する村を滅ぼしたくない気持ちから、BOOKを改竄するものが現れます。
この巻あたりから、改竄に次ぐ改竄が大きな矛盾を生み出してしまい、次の巻へまともに進めないような状態になっていることが理解でき始めます。
そして、これまでの巻でも時折登場している、他の物語からこのBOOKを救いにやってきた猫の騎士、何かをしようとしている黒幕のゴーストライターなどの存在が大きくなり、本編と行間の関係がより密接に近づいてきて区別が分からなくなってきます。
1、2巻では目を引く役者さんを2名ほど挙げていましたが、だいぶ話が分かってきたので、各キャラクターの魅力がふんだんに出ていることが感じれるようになって、難しくなってきました。
その中でも、この巻ではやはりBOOKを改竄し、村を救おうとする神父役の山浦徹さん(化石オートバイ)でしょうか。ピースピットではもうおなじみのベテラン役者さんですが、こういう優しさ溢れる演技は相変わらずすごく魅力的でした。
後は、これまたおなじみのベテラン役者さんになりますが、三谷恭子さん(売込隊ビーム)。お子さんが生まれたということで、久しぶりに拝見しましたが、真面目な状況からちょっとお茶目な感じにさっと切り替わり笑いを誘いだすところなんかはすごく自然な魅力を感じます。声も綺麗でよくとおる。声が聞こえにくいことの多い小劇場では安心して観劇できる役者さんの一人です。
いよいよ収拾がつかなくなってきたBOOKの世界。
さらなる混沌を経て、最後どうなるのかが気になって、早く次のページへ進みたくなってきます。
観劇する者にとっては厳しい作品です。
どれか1巻だけしか見れないのはすごくモヤモヤしそう。
5巻全てを観るだけの時間を限られた期間内に準備しないといけないのですから。
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