BOOK第2巻【ピースピット】110319
2011年03月19日 精華小劇場
あ~、やっぱ面白かった。
いきなり、第1巻の感想をくつがえさないといけなくなりました。
すごいし、面白い。
やっぱり、1巻は大作を前にして、だいぶ構えて観ていたんだな。
観直したいよ。
しかし、これは観方を覚えないとなかなか厳しい作品です。
多分、2度目はもっと細かなところを余裕をもって観れて面白くなることでしょう。
初演を観ている方は入り込みやすくていいなあ。
作品初観劇では、第1巻の観方の練習を経て、ようやく楽しみが分かりつつあるといった感じです。
「アレハントの忘却」
全容は未だ理解しきれていませんが、小説「BOOK」に描かれた登場人物たちの本編とともに、その行間に隠れてしまっているが存在している行間の住人たちの世界も一緒に話を進めていきます。
そんな行間の住人たちの中には、このBOOKが小説の世界だと気づき、原著に手を加え、自分たちに都合のよい話に改竄しようとする者が現れます。
当然、このことが本編に矛盾を生じさせるため、それを防ごうとする者たちとの対立が始まるわけです。
例えば、第1巻の本編。
ある国の王室で生まれた5つ子。
長兄は悪い魔女と次兄の策略にはまり、辺境の村へ幼き頃に追いやられます。
成人した長兄は、その運命を知り、18年振りに祖国へと向かいます。
といった、よくファンタジー小説にありがちなお話。
でも、この話の行間には、数行の記載しかなくとも、長兄が育った村の人たちの人生も存在しており、そんな話が一緒に盛り込まれます。
2巻も同様。
戻った長兄は、次期国王になるため、王室の学校で勉学に励みますが、次期国王の座を失うことになった次兄との対立を深め、御前試合で決闘を行うことになります。
これまた、自然な流れ。
ここでは、同じ王室の学校の名も無き生徒の話が行間に存在しています。
観方が分かってくると、本当に本を読んでいるかのようにとても楽しく面白い。
同様の形で進むと言われる1~4巻に、最後すべてが明らかにされる5巻。
これはかなりワクワクさせる作品です。
1巻の感想で記載できなかったので、2人ほど目を引いた役者さんを記しておきます。
片岡百萬両さん(ミジンコターボ)、石神禿さん(ステージタイガー)。ともに行間の住人です。
原著を改竄して単なる村人Aで終わらせないようにしようとする石神さんに、そんなことはしないけれど同じように隠れた存在で終わらせないように村を飛び出し活躍の場を探す片岡さん。
ともに取った方法は違えど、自らの存在の場を必死に求め、向こう岸が見えないけれど一生懸命泳ぐような生き方をする二人。
そんな姿が、各々の個性的なキャラを引き立たせながら、心を奪われるような演技をされていました。
2巻は、菊池祐太さん(コメディーユニット磯川家)、辻裕美さん。
これまた、行間の住人。
1巻と違って、少しコメディーっぽく、二人の迷コンビぶりが描かれます。
このコンビの掛け合いがとても楽しい。
隠れた行間にも、こんなおかしな話が進んでいるんだなあと。改めて、この作品の設定の面白さを認識させられます。
これは完全にはまります。
面白い本を途中で読むのをやめることが出来ないように、この作品も最後まで観ないと気が済まないでしょう。
そして、いい本に出会った時、それを何度も読み返すように、また始めから観たいと思うのではないでしょうが。
残念ながら、公演日程の都合上、それはかないませんが。
DVD化を求める声が多いというのも何か理解できるような気がします。
今週は、BOOKという本の読書週間ならぬ、作品の観劇週間になることでしょう。
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