コズミックラテ【劇団赤鬼】110318
2011年03月18日 ABCホール
作品名からは想像もつかない内容だった。
宇宙ファンタジーみたいな感じだと思ったら全く違う。
どちらかというと、過去作品の「そして、神の戸びらは開く」と似た感じかな。
まあ、この劇団お得意の冒頭の現代シーンから、過去シーンへと切り替わり、謎解きをしていくスタイル。
単なるお涙頂戴のハッピーエンドにはせずに、より現実的な幸せを感じさせる終わり方。
そこには、この話が終わった後に、自分たちの力でもっともっと幸せを手に入れていくんだろうなと思わせるような、ある意味、勇気を与えてくれる素敵な形で終わらせています。
(以下、ネタバレ注意。公演は日曜日まで。公演終了まで、以下の文字は白字にしておきます)
詳細は5月にDVDが販売されるようなので、そちらを参照。
私が思い出せるように、少しだけ記しておきます。
冒頭シーンは、女性宇宙飛行士の旅立ちを見送る同窓生たち。
彼女の高校生の頃からの夢がかなう時。
同窓生たちの高校時代のシーンに切り替わる。
合唱部。名目だけの部活。
学校になじめない者たちが集まった、はきだめと呼ばれているクラブ。
火災により家族を失い人を信じられなくなり、自殺を考えている女性。彼女が宇宙飛行士の夢を持っている。
柔道部の試合でライバルを死なせてしまった女性。
毎日いじめられているおとなしい男。
友達がいなく、不細工なので好きな男性に相手にされない女性。
そんなクラブに新しく特進クラスの優秀な男が入ってくる。
5人は特に仲良くすることもなく、ただダラダラと部活を過ごす。
毎日、周囲から虐げられる合唱部。
彼女たちはこんな生活から別れを告げるため、卒業式にある計画を打ち立てる。
卒業式をボイコットし、催眠ガスを式場に撒き散らす。
みんなが眠りについている間に自殺をする。
起きた時には自分たちが虐げていた者たちが目の前で死んでいる。
一生、その者たちの心の中にトラウマとして生き続ける。復讐。
決行の卒業式までに全員で一致団結して準備を始める。
でも、一人だけ計画を潰そうとしている男がいる。
特進クラスの男。
彼はいつも自分の未来を空想した日記を書いている。
そこには、知り合った同窓生たちのこんな悲惨な結末など描いていない。
彼が描く未来。これが冒頭シーン。
いよいよ卒業式。
そして・・・
上述したように、ハッピーエンドで冒頭シーンのような未来で終わりという形ではありません。
それはそれでいいようにも思いますが、まあ現実はこんなところだろう、でも幸せになってよかったじゃんみたいな気持ちになれる終わり方。
これがとても素敵だなあと思います。
実は最悪のバッドエンドシーンがそろそろ終わるなという時間帯に演じられ、本当にそれで終わりそうになります。
多分、観ていた方ほとんどそう思ったのではないかと思いますが、本当にまさか・・・といった感じでした。
もちろん、そこから転換するのですが。
ちょっとびっくりしてしまった。あの心温まる作品づくりをする劇団赤鬼がこんな裏切りをするなんてと一瞬切れそうになりましたね。
特進クラスの男は座長の行澤孝さん。相変わらずの無力でもひたすら頑張るという雰囲気は演技なのか、この方の本性なのかは分かりませんが、観ていてとても伝わってくる。
この方を観ているだけで何か癒されます。
こんな感じで、演技なのか本当にそうなんじゃないかと区別がつかなくなるくらいに役にはまってしまった演技を見られるのも、この劇団の作品の特徴の一つだと思っています。
印象に強烈に残ったのは全めいなさん。
新人さんとして劇団に入った頃から何度か拝見しており、ちょっとおかしな役で拝見することは多いのですが、今回は本当に強烈だったな。
そんな目で見ていたからかもしれませんが、まだちょっとおっかなびっくりみたいな演技を他のベテラン役者さんに比べるとされているなあなんて思っていましたが、もうすっかりプロになられていました。
こんなこと書くと、何を観ているんだと言われそうですが、全体を通して一番印象に残っているのは、役が高校生とかの影響もあるのでしょうが、女優さん全員、すごくかわいい。
何度か見とれて、話の流れに一瞬付いていけなくなることがありました。
観劇初心者だった頃によくやった失敗を久しぶりにやってしまいました。
相変わらずの素晴らしい出来。
作品と一緒に幸せになって、劇場を後にしました。
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